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 ユラルルが起きると、そこにはノルンが居らず、窓の外の日もかなり高い。

 寝起きの目をこすりながらユラルルは起きた。


「あれー、ノルンもう起きちゃってるんだ。起こしてくれたらいいのに。」


 夜遅くまで悶々としていたことが原因で起きるのが遅れたというのにノルンのせいにしている。

 ベッドから立ち上がると化粧台の前まで行き顔を洗う。

 そして櫛で丁寧に髪を梳くと着替えを済まし、ユラルルは1階へと降りていった。




「イルちゃん、バーバさんおはよー。」


 いつもの通りカウンターでのんびりしているバーバと、弩の手入れをしているイルアリアハートに声をかけた。


「おうおはようさん。っていってももうすぐ昼だがな。」

「お早う御座います。」


 ユラルルの挨拶で手入れの手を止めたイルアリアハートはユラルルへと向き直る。


「ノルンさんからの伝言があります。今日はおやすみにするので各自で必要な事をするようにとのことです。」


 そういうとまたイルアリアハートは手入れに戻る。

 今度は矢を取り出して壊れていないか、羽が破れていないかなどのチェックをするようである。

 見ていてどことなく嬉しそうでもある。


「そうなんだ。じゃあイルちゃん、お金頂戴?ちょっと買い物行って来るよ~。」


 イルアリアハートの隣に座ったユラルルが自然に言う。

 それにイルアリアハートは渋い顔をする。


「参考までにお聞きしますが、何を買うつもりで、どれぐらい必要なのですか?」

「金貨5枚ぐらいあれば足りるかな~。石鹸がほしいの。」

「……。」


 イルアリアハートはため息をついた。

 金貨5枚あれば今整備している矢が5千本は買えるのではないだろうか。

 普通の矢よりも奮発して買った矢であるのにそれだけ買える。

 粗悪品の矢であれば何万本と買えそうである。

 しかしイルアリアハートは思う。

 確かに必要経費かもしれない。

 最近ユラルルに毒されて自分も使ってしまっている石鹸を買うなとは言いづらい。

 しかし金貨5枚。

 イルアリアハートの金銭感覚に照らし合わせると無駄以外の何者でもない。

 しかし、パーティーの資金としてはそこまで打撃というわけでもない。

 支出より収入の方が圧倒的に多い現状が判断を鈍らせる。


(いえいえいえいえ、何を考えているのですか。無駄です。無くても何も問題はありません。)


 イルアリアハートは頭を振った。

 パーティーの財布の紐を預かると決めたのである。

 こんなところで、ハイどうぞ、と軽く金貨5枚など渡してよいものか。

 いや、断じてよくは無い。


「あ、そうだ。ウイッデンさんの所の職人さんがね、イルちゃんに来てほしいんだって。なんでも試着してほしいとか。」

「試着……ですか?私は特に防具などは頼んでいないはずですが。」


 イルアリアハートは不思議に思う。

 採寸すらしていないのにどうして試着なのだろうと。

 イルアリアハートは知らないことだが、職人達の頼みでベリベルがイルアリアハートの大体のサイズを職人達に報告しているのであった。

 無駄に職人スキルの高いベリベルによって、サイズの殆どを目視で看破されているなど思いもしないだろう。

 

「私も前ね、色々作ってもらってて楽しかったよ?一緒に行かない?ね?」


 イルアリアハートは思った。

 もう既に自分の武器の整備は終わっているし、(今している整備は2回目である。)特にやる事もないので付き合っても良い気がする、と。


「いいですよ。そういうことでしたら一緒に行きましょう。昼ご飯はどうしますか?食べていきますか?」

「あ、そうだね。バーバさん、ご飯ちょーだい。」

「おう、ちょっと待ちな。おーい、飯を二人分だ!」「へーい!」


 ちなみにバーバの宿屋は一階が恐ろしく綺麗になったせいで、酒場ではなく食事処となっていた。

 そのため、お昼のランチも頼めたりする。

 といっても現状はメニューを決めたり値段の設定や、従業員の確保をしている状態ではあるが。


(ふふふっ。何とかして石鹸買うんだからっ!)


 相変わらずなユラルルであった。







-----------pf






 一方その頃、リィンによって無理やり連れ出されたセレスティは街の上空で浮いていた。

 下から見ればその豪華なドレスのスカートからドロワーズが見えたであろうが、高すぎて豆粒にしか見えない。

 吹きつける風も強いはずであるが、セレスティの周りではそよ風程度しか起こっていない。


「リィンちゃん、その、やっぱりだめです。……今ならまだ間に合いますし、その、帰りませんか?」


 やはり幼いといっても一応は王族である。

 一般人よりもかなり高い教養と貴族としての常識を持つセレスティは乗り気ではない。


『ほら、下を見てみて。すっごくいい景色だと思わない?』


 セレスティの発言などどこ吹く風といった様子でリィンが言う。


「え、あれ、ひゃあ。……すっごく高いです。……うわぁ、街ってこんな風にできてるんですね。それに、すごいです。あんなに遠くまで見えます。」


 周りの草原から南に広がる森、王都へと繋がる街道とその脇にある畑。

 それらが良く見えた。


『ふふっ、世界は広いわね。行ってみたいでしょ?』

「え……あ……、うん。その、行ってみたいです。」

『じゃあまずは街に行ってみましょ。』


 セレスティの篭絡を簡単にすると街の中へと飛んでいく。

 リィンの頭にはとても偏った知識が思い描かれていた。

 吸収した人員に偏りがあったのか、悪戯好きな性格は更に増し、その行動に拍車をかけていく。


(ふふっ。確か、お姫様がお忍びで街に繰り出して素敵な王子様に出会うのよね。あ、それだったら変装もしなくちゃ。)


 リィンは少しだけセレスティに侵食する。

 その変化はセレスティの鮮やかな赤色の髪を黒く染め上げ、瞳を紫へと変えていく。

 見る人が見ればすぐにばれるだろうが、ぱっと見ただけではわからないだろう。

 更に、無駄に力のあるリィンはセレスティに幻惑の魔術をかける。

 着ているドレスはそのままでも、普通の人から見れば町娘の服装に見えてしまうだろう。

 セレスティの知らない所で勝手に事態は進行していた。




 街の路地へと降りたったセレスティの背中の羽が光りの粒子となってその体に、正確には背中の刺青へと吸い込まれていく。

 そして姿を隠していた幻惑の魔術が解かれる。

 そこには黒い髪を丁寧に編み上げている一人の町娘の姿が。


『それじゃあ行くわよ?わからないことは全部教えてあげるから。』


 えらそうな事を行っているようであるがリィンは生後0ヶ月である。

 

「うわぁ……私ね、一人で街に出るのって、初めてです。あ、リィンちゃんもいるから一人じゃないですね。」

『ふふっ。それじゃあ行きましょう?私も実際に来るのは初めてだから一緒ね。』

「え?リィンちゃんも、初めてなんですね。私とおそろいですね。」


 そうしてセレスティは微笑むと大通りへと出て行った。





 大通りは人の数も多くお店も沢山出ていて賑わっている。

 セレスティの降り立ったところは西地区の一角。

 適当に降りた結果であるが、そこにはあまり上流階級のものはいないためにセレスティはともかく、リィンにとっては好都合のように思えた。

 

「うわぁ、すごいです。街ってこんな風にできていたんですね。」


 まるで村から出てきた田舎者のように物珍しそうに周りを見やる。


「あ、あそこのは宿屋って言うんですよね?看板に書いてある絵を、見たことがあります。あれは……呉服屋さんでしょうか、リィンちゃんはわかりますか?」

『そうね、あそこは呉服屋さんよ。ちょうどいいわ、入ってみましょう?』


 もはや目新しい事が目白押しで当初の不安も綺麗さっぱり消えていたセレスティは、とことこと呉服屋へと入っていく。


「いらっしゃいませ。当店にようこそ、何か御座いましたらお気軽にお声をおかけください。」


 店に入ったセレスティに男の店員が丁寧に挨拶をする。

 どうやらこのお店はそれなりに高い高級なお店のようであった。


「は、はい。では、お店を回ってまいります。貴方も楽にしておいてください。」


 何気ない受け応えだが店員は怪訝な顔をする。

 服装こそ普通の町娘の格好であるが、オーラが全く違う。髪も振り返るほどに輝いており、肌も恐ろしくきめ細かい。

 店員は高級なこの店で長くやってきているのだ、冷やかしかそうでないかぐらいすぐにわかる。

 その点で言えば、この、見目麗しい少女は間違いなく上流階級の者である。


「……よろしければ、ご説明や試着のお手伝い、採寸もいたしますがどうでしょうか?申し送れましたが私、ゼオノクスと申します。お客様のお名前をお聞きしてもよろしいですか?」

「え……その……私は、その、セ、あ、ちがっ、あの、り、リリンです。ゼオノクス、お願いしてもいいですか?」

「はい、リリン様。喜んで。」


 普通に自分の名前を言おうとしてリィンに止められる。

 そして出てきた名前も最初にリィンの名前を間違って呼んだものだった。

 あたふたとしながらもきちんと振舞おうとする所が微笑ましい。


「ではリリン様、こちらへ。」


 そうしてあれこれとゼオノクスからお勧めされた服をすべて試着する事に。

 もちろん全てゼオノクスが持っている。


「こちらが試着室となります。……もし私めの手が必要でしたらおよびください。」


 そうして一着の高そうな服を持って試着室へと入っていった。


(うわぁ、こういう服、着てみたいと思ってました。どうかな?リィンちゃん似合う?)


 そうして体の前で服を合わせる。

 服を合わせたところで気がついた。

 自分の髪と瞳の色が変わっていると。


「ひゃあ、え……あれ、どういうこと……?」

 

 頭の上でピコピコとクエスチョンマークが跳ねている。

 その疑問にリィンがすかさず答える。


『ちょっとね、お忍びっぽく見た目だけ変えておいたの。すぐに戻せるから安心して?』


 その言葉に安堵すると渡された服を着ようとするが、そこで手が止まる。

 今着ているドレスを一人でどうやって脱ぐのかも、着るのかもわからないのだ。

 今まで一人で服を着ることなど無かったために出来ないのだ。

 仕方なくセレスティはゼオノクスに声をかけた。


「ゼオノクス、私を、着替えさせてもらえますか?」


 その言葉にゼオノクスは頷き、声をかけて試着室に入った。

 しかしそこで絶句する。

 先ほどまでの服装などなんだったのかという、見事な純白のドレス。

 見ただけでわかる気品と溢れんばかりの可愛さ。

 子供から脱しきれないその姿は、儚い美しさがあった。

 しかしそこはプロである。

 震える手を何とか押さえ、セレスティの着替えを行っていく。

 その合間に話しかけた。


「リリン様はお忍びか何かでこられたのですか?」

「え……その、あの。……はい。あの、私がここに来た事、黙っていてくれませんか?」


 可愛らしく見つめる瞳にゼオノクスは内心興奮していた。


(ぐはっ!可愛らしすぎるっ!!)


 間違いない、こいつは変態紳士だ。


「リリン様はリリン様で御座います。私めのお店にこられたお客様です。

 それ以上でもそれ以下でも御座いません。先ほどの事は私の胸にのみしまっておきます。

 リリン様、出来ましたよ。どうぞご覧ください。」


 そういってゼオノクスは鏡へとセレスティを導く。

 そこには美しい少女が写っていた。

 少しベージュがかった白色の股下までのワンピースにデニム素材っぽいショートパンツ。

 膝下まであるロングブーツ。

 ショートパンツの下に覗く太ももが素晴らしいと言わざるおえない。

 もちろん、ワンピースの下の肌着や下着にもこだわりぬいている。


(こんな逸材は見たことが無い!脳内に保存しておかなければ。)


 表情には全く出さないという、無駄にレベルの高い店員である。


「お気に召されましたか?もしよろしければ他の物も試着なされますか?」


 さり気無く勧める店員。

 そう、何を隠そうこのお店、呉服店は呉服店でも、若い少女専門の呉服店である。

 その変態的な趣向と無駄な技術の高さで服のレベルは高いが品位を疑うため、北地区ではなく西地区に店を構えるこの店の名前は、ゼオノクス呉服店。

 一般人は、入ってすぐに気がつき出て行くお店である。

 しかし、根強い人気があるために未だに売れ行きが良いのも事実であった。

 その店主兼店員兼職人を勤めるのは変態紳士のゼオノクスである。

 セレスティは恐ろしい所に足を踏み入れているのであった。


「うわぁ、可愛いです。ゼオノクス、他の物も着せて頂けますか?」

「はい、喜んで。」


 そうして長い間セレスティは着せ替え人形となっていた。



-------pf



「またのご来店をお待ちしております。」


 ゼオノクスに見送られて店を出たセレスティは最初に着ていたワンピースとショートパンツ姿である。

 その手には紙袋。気に入った服が沢山入っている。

 最初に着ていたドレスも入っているため結構な重量があるのだが、無駄にリィンの魔術で持ち上げている。

 一文無しであったはずのセレスティであるが、ゼオノクスは快くツケで構いませんといってセレスティに代金をもらう事無く服をあげていた。

 収入に不安の無いゼオノクスだから出来ることであったが、真実は違った。


(もう一度来店してもらわなけらば。ああ、創作意欲がわいてくる……!)


 まごうことなき変態であった。



-------pf



 店を出たセレスティはホクホク顔で通りを歩いている。


「ツケで構いません、ですって。ツケって何のことだったんでしょう。リィンは知っていますか?」

『ふふっ。それはね、セレスにあげますってことよ?貴女が可愛いからくれたんじゃない?』

「え……もう、リィン、だめですよ。からかっているって、私でもわかります。」


 そういいながら、ふふっと笑う。ツケってなんだったんだろう、と思いながら。




 通りを歩いているとそこかしこに兵士がうろうろとしている。

 いつもとは違い、とても張り詰めているようである。

 それを見ながらもセレスティはのんびり歩く。

 兵士達が探しているのが自分だとは、もはや頭の中からは消え去っていて気がつかない。

 

「あ、あの看板は知っています。お兄様が防具屋さん、って言ってました。」

『そうよ。入ってみる?』

「はい。見てみたいです。……その、リィンちゃんがいて、良かったです。私一人だったら、その……心細くて泣いていたかもしれません。」

『大丈夫よ、言ったでしょ?セレスがセレスである限り一緒にいてあげるって。

 まだまだ色々な事を見せてあげるんだから、こんなところで立ち止まってはいられないわよ?』

「……そうですね。リィンちゃん、ありがとうございます。」

『ふふっ。』


 そうしてセレスティは魔窟へと足を踏み入れた。



「へいらっしゃ……ぁ……。」


 威勢よく放たれそうになった店員の言葉は尻すぼみに消え去った。

 そこにはセレスティを凝視する店員の姿。

 可愛い少女を目の前にして言葉を失っている。

 修行が足りないとゼオノクスに言われそうだ。


「お、お嬢ちゃん、うちの店に何かようかい?」


 未だ上ずった声の店員が話しかける。

 どうやら危ない世界に足を踏み入れてしまったようだ。


「その、えっと、何か用事というわけではなくて、少し興味があったので、来ただけなのです。その、ごめんなさい。」

「え?ちょ、お嬢ちゃん!その、なんだ、別に用事が無けりゃ来ちゃいけねぇって訳じゃないからな!こんな男臭いとこでよけりゃ覗いてってくれよ!」


 店員は普通に話しかけたつもりでも、セレスティにとっては盗賊に襲われたのではないかという程の恐怖であった。

 顔が怖かったというのもあるが。

 店員のやけっぱちの説得が功を奏したのか、セレスティの表情も元に戻る。


「えっと、その、ありがとうございます。では案内をお願いしても、いいですか?」


 そのセレスティの言葉に一瞬きょとんとするものの、店員はすぐに笑顔になると意気揚々と店舗の案内をする。


「こっちが肌着の上に着るコーナーで、あっちが軽装の物を置いた所、んで、こっちがローブとかマントだな。

 それでここからは重装の装備品が置いてある。あくまで見本だよ。

 オーダーに合わせて作り直すから、お嬢ちゃんのものだってすぐに作れるぜ?」


 店員の説明に、うわぁ、とか、綺麗ー、とか、かっこいいです。などなど相槌を打ってついていくセレスティ。

 お店を一周し終わった所で入り口に戻ってきた。


「ありがとうございました。とても勉強になりました。」


 そういって微笑むセレスティ。


ズキューーーーン


 その場に膝を突く店員。

 どうやら致命傷のようだ。


「え……え……?どうしたんですか?その、大丈夫ですか?」

「俺はもうだめだ、俺の制作棚に入っている物は燃やしてくれ、頼む。」


ガク


 そうして店員は倒れこんでしまった。

 そこに店の奥からユラルルとイルアリアハートが出てきた。

 ユラルルは機嫌良くしているがイルアリアハートは物凄く疲れた顔をしている。


「あれ?職人さん、何してるのー?遊んでたらまたウイッデンさんに怒られちゃうよ?」

「へい、ユラルルさん、今日もお綺麗ですね。その、さっきのことは親方に話さねぇでくれると助かるんですが。」


 倒れていたはずの店員はまるで最初から立っていたかのように瞬時に立ち上がるとうまい事を言う。


「えへへ。お綺麗って、うまいんだから。じゃあ黙っておいてあげる。

 あれ?その子……か、可愛い~~!」


 一瞬でセレスティの前にしゃがみ込むと、ユラルルは紙袋ごと抱きしめた。


「ひゃあ、その、ううーー……。あの、その、離して、ください。」

(ううー、リィンちゃん、助けてくださいー。)


 心の中でリィンに助けを求めるが、返ってきた答えは無情である。


『無理ね。その子、物凄く強力な魔法無効化がかかってるから何も効かないみたい。食べちゃってもいいなら方法はあるけど……。』


 そんな会話をしている間にもユラルルの襲撃は進む。


「うわぁ、凄い綺麗な髪。あ、肌もつるつるだ~。すごーい!」

「うう……。」


 そうしてひとしきり弄られた後に開放される。


「そういえば、貴女の名前を聞いても良い?」

「はふぅ。えっと、その、名前、ですか?その、私は……リリンって言います。貴女は?」

「私はユラルルだよ?ふふっ、もし良かったらお茶しない?良いところがあるんだぁ。」


 そういって提案をする。

 ユラルルはまだこの獲物を逃がさないつもりのようだ。


「えっと、その、お茶、ですか。そういえば、お腹が少しすきました。」

「じゃあちょうどいいね!一緒にいこっか。」


 そういいながらセレスティの手を引いて行く。

 

「あ、紙袋持ってあげるね。ふんふふ~ん♪」

「あ、はい。よろしくお願いします。」


 何の危機感も無くついていく。

 大通りには未だに溢れる兵士達。

 どうやら各お店から住宅、工房まで、全てをしらみつぶしにしているようだ。

 そんな中、堂々と通りを歩いていく3人。


「なんだか、兵士さんが多いね。何かあったのかな?」

「そうですね、何かあったと見て間違いないでしょう。ですが私たちには関係ないでしょうね。」


 他愛無い会話をしながら歩く目的地は、新装開店バーバ喫茶であった。





 






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