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 ベリベルはノルン達と別れた後、自分の勤める店であるウイッデン防具加工店への帰路についていた。いつもよりも大分軽い背嚢に違和感を覚えふと考える。

(そういえばこんなに少ないのは久しぶりっすね。)

 といってもベリベルがこんな事を始めてまだ数日である。少なく感じる今日ですら普通の冒険者であれば大漁の部類である。段々と感覚が麻痺している事に気が付いていない。

(それにしてもノルンの旦那の言う事ももっともでさぁ。おでも自分の身ぐらい守れねぇでどうするんでさぁ。)

 親方に相談してみよう、そう思いながら店に入る。


「お、ベリベルおかえり。今日は早かったんだな。」

 売り子をしていた同僚の一人が話しかける。店内は冒険者で溢れていた。何故か最近良質の防具が安く売られているのである。この機会に買い替えようと群がっていた。

「へい、今帰りやしたぜ。ノルンの旦那は今日はもう宿に帰ったみたいで明日また来るって言ってらしたんでさぁ。親方に伝えたいんですがどこに居られるんですかい?」

 現在店の工房はフル稼働状態である。どうやらこの同僚は貧乏くじを引かされたみたいだ。

「工房に居ると思うぜ。素材届けるついでに会って来いよ。」

 そう言って奥を指差す。

「わかりやした。店番お疲れさまっす。」

「ほんとだぜ。俺も工房にいきてー。」

 あそこでじゃんけんに負けなきゃなぁ。とぶつぶつと言っている。それに頭を下げて店の奥の工房にベリベルは歩を進めた。その目は職人達を見守るウイッデンの姿をとらえる。

 工房はまさに戦場と化している。打ち鳴らされる金属音に魔術師と思われる人と図面を片手に相談する者。大きな煮鍋をかき混ぜる者、裁縫に勤しむ物など様々である。皆に共通しているのは少しでも良い物を作るという気概であった。

「親方ぁ!今帰りやした。今日の獲物っす。」

 ウイッデンの所まで歩いていったベリベルはその背中に話しかける。

「お、なんだ早いじゃねぇか。ノルンはどうした、今日はこねぇのか?」

「へい、また明日来るって言ってやした。そんで今日の分はそん時に欲しいって伝えて欲しいって言われてきやした。」

「適当だなぁ。まああいつらしいわ。んでなんだ、それが今日の獲物か。どれどれ、オーガが……、二体分か。十分すぎるな。おいてめぇら!手が空いてるやつぁこいつを処理しろ!」

 笑いながら獲物を確認したウイッデンは周りの者に檄を飛ばす。威勢の良い声と共にすぐに職人がやってきてベリベルから奪うように背嚢を持っていった。

「おうベリベル。時間があるみてぇだし丁度いい、お前の今まで感じた事手帳に纏めてあんだろ?見せてみろよ。」

 そう言われたベリベルは嬉しそうに懐の手帳を取り出す。

「へい!どうぞ!」

 渡されたウイッデンはそれを受け取るとしげしげと読み出した。

「おいおい、数日ですげぇ量だな。あー、なになに。こりゃノルンの装備品の考察か、んで次にお嬢ちゃんのやつで、なんだこりゃ。ガントレットの図案じゃねぇか……、それにこっちはレガースにレッグアーマー……。……。」

 最初は楽しげに見ていたウイッデンだが徐々に黙って真剣にそれを見ていく。ウイッデンの周りだけ何ともいえない空気が漂っていた。

(あれ?もしかしておで何かどじったんですかい?)

 その空気を肌で感じたのかベリベルは体を小さくさせる。

「おいベリベル……、おめぇ。」

(ひぃぃぃぃっ!すいやせんすいやせん!)

「おめぇ、やるじゃねぇか!この短期間にここまで考えられるようになるたぁ立派なもんだ。やっぱ可愛い弟子には旅をさせるもんだなぁ!」

 そう言ってバンバンとベリベルの背中を叩く。

「へ?あれ?へい……。」

「なーにしょぼくれてんだ、めちゃくちゃ良くなってるぞおめぇの設計。ただノルンの為の装備品ばっかりだけどな!」

 そういって笑い出す。ウイッデンの言うとおりノルンの事ばかり見ていたベリベルはその装備品の構想で頭の中が一杯である。

「そんでよ、おめぇどうすんだ?まだ続けるか?別に今のおめぇなら何でも作らせてやるよ。少なくともその手帳に書いてある図面はすげぇよ。絶対に他の奴に見せんじゃねぇぞ、俺もつくらねぇからよ。」

 手ばなしの賞賛を受けたベリベルは困惑していた。そんなことは考えていなかったのだ。確かに工房で何か作りたいとは思うがそれよりも今このときの経験の方が大事であると頭ではないどこか違う所で感じていたのである。

「親方……、お言葉はありがてぇんですが、その……、もう暫く、ノルンの旦那がもうおめぇなんていらねぇよって言うまで、冒険に付いてっちゃ駄目ですかい?自分が馬鹿なこと言ってるのは百も承知なんすが、頼みます。この通りっす。」

 その言葉を聞いたウイッデンは大きく頷くと回りに聞こえるように大きな声で喋った。

「よくいった!聞いたかお前ら、あの気弱なベリベルがこんな事言うなんて今日はめでてぇ日だなおい!おいおめぇらあれもってこい!」

 周りで聞いていた職人達が一斉に囃し立てる。その中で倉庫から持ってこられた武具一式がベリベルの前に置かれた。

「こいつはお前の体に合わせて作った鎧だよ。職人総出で作ってやったんだ感謝しろ。おめぇにはなんだかんだ言って危険を押し付けちまったからな、その報酬だ。うちの工房の粋を集めてるんだぜ?」

 そういわれてベリベルは目の前の鎧を見た。漆黒の全身鎧である。大きな特徴は肩についている大きなショルダーシールドと背中に背負うようについている大きなラウンドシールド。恐る恐る屈みこむとベリベルはそれを観察しだした。

「これは……、ミスリルと黒鋼の合金じゃないですかい!しかも軽い。もしかして重量軽減……?それに楯に彫られたこの紋章、対物理障壁と対魔術障壁の複合紋章じゃないですかい。しかも裏は全面オーガの皮張り……。裁縫に使ってあるのもミスリル銀の糸じゃないですか!……親方ぁ。」

「何泣いてんだよ、おめぇにはまだまだ素材取ってきてもらわなきゃなんねぇからな。死んでもらっちゃこまんだよ!」

 明らかに照れ隠しである。これだけの仕立てをしようと思ったら金貨200枚は要るのではないだろうか。ぶっちゃけるとコストがかかりすぎて売れそうにない。

「ほら泣いてんじゃねぇ!おうおめぇら、今日は皆で飲みに行くぞ!晩までに作業にひと段落つけとけよ!」

「「「へい!」」」

 職人一同泣いているベリベルに声をかけていく。

「おうベリベル、そのレガース設計したのおれなんだぜ。靴に重量軽減なんざ初めてで手間取っちまったが俺の生涯で最高傑作だ!」「俺のガントレットは更にすげぇぞ!剥ぎ取りする為に間接部が動きやすくするのに苦労したんだぜぇ。しかも水を弾くコーティングを何層も張っといたから血もつかねぇ!」「見ろよこのショルダーシールド、完全に鎧と一体化させてるんで少々殴られようが何されようがびくともしねぇぞ。俺の試算じゃオーガに殴られたって傷一つつかねぇよ!実際に今度殴られてどうだったか俺に教えてくれよ!」「はははは!」

 それからもこのギミックがすげーんだとかここに苦労したんだぜとかこの造りは流石のおめぇでも気がつかなかっただろとか口々に囃し立てていく。

「皆……、ありがてぇ、ありがてぇ。おでがんばりやす親方。これに見合ったもん絶対とって帰ってきやす。」

 それを聞いたウイッデンが笑いながら言う。

「おめぇが頑張ってもしょうがねぇだろ、せいぜい死なねぇよう丸くなってりゃいんだよ。」「「ちげぇねぇ!」」

 

 その夜、ぐでんぐでんになるまで飲まされたのは言うまでもない。



-------------pf



 ベリベルが飲まされていたころ、ノルン達もバーバの宿屋で酒を飲んでいた。仲間が増えた記念で乾杯をしたのはもう昔の話で、(飲み食いの代金を何故か全額ノルンが出したが。)今は各々自分の部屋で寛いでいる。

 ベッドの上で横になったイルアリアハートは先ほどのことを思い出していた。

(ノルンさんは悪い人じゃないです。むしろかなり良い人のようです。言動で損をする感じの人みたいですね。それに喋る内容や立ち振る舞いがどう見ても見た目の年齢と合いません。そういう種族の人なのですか。もしそうだとするとそれなりに年を重ねているのかもしれないですね。その、私の裸を見ても全く動じませんでしたし……。)

 そこまで考えてイルアリアハートは自分がノルンの事ばかり考えている事に気がつき赤面する。

(こほん。ユラルルさんが冒険者になって10日ぐらいという事にも驚きました。確かにその状態では新しく仲間は必要ないですね。火炎魔術が得意と言っていましたがどれぐらいまで扱えるのですか。ノルンさんのお仲間ですし、普通に考えるのはやめた方がいいですね。きっと第5階位ぐらい使えるんです。そう思わなければ後で耐えられないかもしれません。)

 そうか、別にうだうだ考える必要なんてなく、聞けばいいのか。仲間なのだから。そう思い自分のことを考え出す。

(そんなことよりも自分のことです。どうにかして役に立てるようにならなければいけません。)

 イルアリアハートは考える。

(剣士はノルンさんがいます。それに小柄な私では戦力になりません。却下です。攻撃を行う魔術は使用できませんし……。そういえばノルンさんの話されていた神官は破城槌を持っていたとか。私にも……、いえそれは多分不可能ですね。恐ろしく常識はずれな感じがプンプンします。そうなると私にも扱えそうな物と言えば、弓、ですか……。でも扱った事がありません。すぐに使えるようになる為には弓よりも弩のほうがいいのかも。迷宮に潜るならそちらの方が取り回しが効きますし。非力な私でも扱えるかもしれません。)

 段々と考えがまとまっていく。ノルンのような規格外は別として普通は体格がよくなければ前衛は勤まらない。その点で言えばイルアリアハートが前衛など死にに行くようなものである。そして魔術。一人が使える魔術は1種類とされている。それはより世界と同化するために一系統に絞った方が効率が良いから、というよりも複数の属性を一緒に理解する事など人には出来ないのである。その為魔術は基本的に1系統しか扱えない。例外として紋章術は刻み込む技術が必要なだけで系統には属さない。それと同じように契約魔術も自分ではない他所から力を持ってくるためその縛りを受けない。しかし神聖魔術は違う。世界を理解する事の代わりに神を理解しなければならないのだ。力を他所から持ってくることには変わりないのだがそれは大本だけである。実際には魔力は自分の物を使うし信仰も欠かせない。とても制限の多い魔術なのである。

 イルアリアハートは広く識れ渡るメーヌではなく、その上位であるメリアンヌの名を与えられている為、実際にはその縛りは受けず、契約魔術と同じように扱えるのだが本人は知らない。

(そうと決まれば明日にでも武器屋に行って弩を購入しなければ……。でもその前に……、ノルンさんに相談してみた方がいいかもしれません。)

 そう結論付けると善は急げとばかりに立ち上がった。そして化粧台の鏡の前に立つ。

(髪はこのまま纏めたままでいいですね。服も別に変じゃありません。)

 イルアリアハートは鏡の前で一回転する。そして納得したのか部屋を出て行った。

 とても年頃の少女らしい行為だったが本人は全く気がついていない。


 部屋を出たイルアリアハートはノルンの部屋へと向かう。心持ち緊張しているのは仕方が無い事である。夜半に女性が男性の部屋を訪ねるのはあまり行儀の良いことではない。それを意識したのか扉の前に立ったイルアリアハートは自分に言い聞かす。

(これは相談です。決して疚しい事ではありません。ノルンさんも一緒に考えてくれると言いました。)

 自己弁護を済ますと扉をノックする。

「イルアリアハートです。相談したい事があってきました。入ってもいいですか?」

 そうすると暫く待っても返事が来なかった。

(おかしいですね。人がいるような気配はするのですが。)

 そう思いながらドアノブをまわしてみる。そうすると鍵がかかっていなかったのか扉は普通に開いた。まずいのではないかと思いながらも自己論理で完全武装したイルアリアハートは扉を開ける。


 そこにはベッドの上で横たわるノルンとその上に跨りくっつくほど顔を近づけているユラルルの姿があった。


「……、すいませんでした。お邪魔のようなので退散します。」

 そう言うや否やすぐさま扉を閉めると自分の部屋へと大股で帰っていく。後ろで何か聞こえるがイルアリアハートの耳には届かない。どしんどしんと擬音が聞こえてきそうなほどである。実際には小柄なイルアリアハートではそんな音は立たないのだが。

(不潔です。不誠実です。ありえません!そうならそうと言ってくれればいいんです。これじゃあ私が馬鹿みたいじゃないですか。)

 なにがそこまで彼女を怒らせているのかそのイルアリアハート自身が分かっていない。

(最悪です。はぁ、明日どんな顔で会えばいいんです……。)

 そうしてベッドに横になると布団をかぶる。しかし思考が頭を回転させなかなか眠りにつけない。悶々とした夜を過ごしていくのであった。



------------pf


 イルアリアハートの歓迎で夕飯と共にお酒を飲み騒いだ後ノルンは自室に戻ってきていた。今日も樽一つ丸々飲んだ彼はいい気分でベッドに横になる。ユラルルが押しかけてくる前にもう寝てしまおう、そう思いごろんと寝そべった。いい感じに眠気が襲ってきたころ部屋のドアが開く。もちろん鍵はかかっていた。

「ノルンもう寝ちゃった?」

 入ってきたユラルルはそう尋ねる。

「いんや、起きてるよ。ま、もう寝るけどな。」

 そう言ってベッドで寝返りを打ち少しスペースを空ける。

「そうなんだ。一緒に寝ていい?」

 ベッドのすぐそばまで来ると屈みこんでノルンに甘えるように囁く。

「勝手にしろ。どうせ駄目だっつっても来るんだろ?」

「ふふっ、そうだよー?じゃあ失礼するね。」

 そう言ってユラルルは布団の中に入る。丁度ノルンは壁の方へ体を横にしておりユラルルに背を向ける形となっていた。その背中にユラルルは喋りかける。

「ねぇノルン。どうして私のわがまま聞いてくれるの?」

 あくまで囁くように、甘い息遣いがノルンの耳を微かに揺らす。

「別にそんなつもりはねぇよ。ってかわがまま言ってる自覚があんならもっと自制しろよ。」

 その言葉には非難するような感じはなくあくまでも優しい響きだけがあった。

「……。」

「……。」

 少しの静寂の後ユラルルは口を開く。

「……、もしかして私が娘かもしれないから?」

 その言葉に動揺したのか明らかにノルンの体が強張る。

「……あ?ちげぇよ。お前だって言ってただろ、おめぇの親父さんかも知れねぇやつは2mぐらいの大男だって。」

「うん、そうだけど、そうなんだけどね……。」

 そう言うとユラルルはノルンを強引に自分の方へ向きなおさせる。

「あ?おい、なんだよ。」

「ねぇ、本当の事教えてよ。私もっとノルンの事知りたい。」

 いつもの甘えるようなちゃかす様な口調ではなく真剣な言葉を紡ぐ。

「……。」

「……。」

「……だからちげぇって言ってんだろ。話はそんだけか?」

 そう言うと会話を打ち切ろうとする。ノルンは今更自分が親だと名乗り出るつもりなど毛頭ない。本心がどうであろうとも。

「私ごまかされないよ?ノルンが時々見せる表情ってお母様みたいだもん。それに、昼間に言ってた事私覚えてるんだから。ノルンが言ってた人ってナーユさんの事でしょ?お母様もいってたもの。ムキムキで同じ女性とは思えないぐらい体格のいい女傑だって。特徴だっておんなじだったよ?破城槌を持ってヴォルグと一緒に魔物の群れに突っ込んでいくんでしょ?それで硬い魔物はナーユさん、剣で切り裂ける魔物はヴォルグがって聞いたもん。」

 ユラルルはノルンを見つめる。その顔はお酒のせいだけでは無い赤みを帯びていた。

「……。はいはい、俺の知り合いに良く似てたんだよ。ただそれだけだろ?」

「もーーーーっ!人が真剣に聞いてるのに~!毎回毎回そんなおざなりな返事でごまかされると思ってるのー?」

 そう言ってユラルルはノルンに馬乗りになってぽかぽかと胸を叩く。

「あー、うざってぇ。大体お前俺がもし仮にお前の父親だったらどうすんだよ。」

 え?と叩く手を止める。その顔は全く考えていなかったという顔だった。

「う~。そうだよね、どうしよっか。お母様の所に首に縄つけて連れていこっか?」

 考えるだにぞっとしない。それだけは勘弁してくれとノルンは顔の前で手を振った。

「ふふーっ。どうしよっか?ううん、そんなことしないけどね。もし父親だったら思いっきり甘えるの。これでもかってぐらい。だって今までずっとほっといたんだよ?それぐらいの罰はあっても良いじゃない?」

 そういって満面の笑みを浮かべる。

「……今でも十分甘えてるじゃねぇか。」

 口の中だけでもごもごとそう呟いた。

「え?今何ていったの?ねぇねぇ、もう一回いってよー。」

 そう言ってユラルルは顔を近づけてくる。そしてそのままお互いの吐息が感じれるほど近づく。お互いが見詰め合ったその時。


 カチャ。


 音のした方へ目をやった二人が見たのは扉を開けて入ろうとするイルアリアハートの姿。目が合った瞬間何か言おうとして口を開いたノルンよりも先にイルアリアハートが言葉を発する。

「……、すいませんでした。お邪魔のようなので退散します。」

 そういうとあっという間に扉を閉めた。

「おいちょっと待て!勘違いすんじゃねぇ!」

 追おうとしたノルンは上にユラルルが居ることで動けない。

「おい、こういうとき普通弁解に行くだろ?だから降りてくれねぇか。」

 しかしユラルルは動かない。むしろ更に体を下げて抱きついてくる。

「おいてめぇ、分かってんのか?まずいだろ、何がまずいかわかんねぇけど!」

「ふふーっ。いいじゃんもう、寝ちゃおう?」

「はぁ~~~~、明日どんな顔して会やいんだよ……。」

「別に普通にすればいいじゃん。それに親子なんだから一緒に寝ててもおかしくないよ?」

「まだ言ってんのかよ!あーもう、もう寝る。考えるのもだりぃ。」

 そう言ってノルンは目をつぶり寝始める。

「うんお休み。」

 二人は寄り添ったまま眠りについた。



----pf



 部屋に充満する魔力に最後まで全員気がつかなかった。満ちた魔力が部屋を外界と遮断し、音を絶っていたのである。その魔力が部屋を覆い全てを食らおうとした瞬間、ノルンの右腕の刺青が仄かに蒼く煌き一瞬にして魔力が霧散する。そして魔力は部屋においてある黄金に輝く果実へと吸い込まれていくのであった。


 

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