勘違いな2人 第三弾
シリーズ第三弾です
いつもは互いに想い合い仲良く過ごしていた。マキシムとジェイミーだがこの日は違った。
本日は別々の授業を受けていた。いつもと同じくマキシムはジェイミーを迎えに行くのだった。
マキシムは待ち合わせ場所の扉を開ける。
「ジェイミー、一緒に帰…………ジェイミー? その人と何しているの?」
「え? マ……マキシム? こちらはね」
資料室でジェイミーは1人の男性と抱き合っていたのだった。
「マキシム……聞いて」
「ジェイミー……ごめん。少し冷静になりたいから」
そう言うとマキシムは全力で、その場を後にするのであった。
「ま……待って、マキシム……」
ジェイミーは追いかけようと廊下に出るも既にマキシムの姿はない。
「ジェイミー、ごめん」
「エイダ、いいのよ……でも誤解を解かないと……」
困った様に笑うエイミーであった。
2人は一緒に王城へと向かうのだった。門番に挨拶をするジェイミー。門番は2人を見て、その場に留まるように伝える。そして1人の門番は走る。ジェイミーの父である宰相の元に。
「宰相殿、大変です。ジェイミー様が」
「ジェイミーがどうした?」
門番は慌てて宰相に、ジェイミーが男性と来た事を報告する。
「ジェイミー様が殿方と手を繋いで」
「ん? マキシムなら、いつもの事だ」
「いえ、違うのです。ジェイミー様は違う殿方と王城へ」
「は? ジェイミーがマキシム以外と?」
「はい」
ジェイミーの父である宰相と門番は急ぎジェイミーの元へ向かう。
「宰相殿……あれです」
「…………ん? あの男……?いや……あの方は」
「あっ、パパ。あのね、マキシムがね」
「……ジェイミー何があった?」
ジェイミーは先程の事を話す。
「マキシムに、嫌われた……私は婚約解消」
「……勘違いしても仕方ない。事情を話しに行くぞ。エイダ様もいいかい?」
頷くエイダであった。
マキシムの私室へ向かう途中で王妃と会う。
「あら、ジェイミー、マキシムと何かあったの? マキシムは血相を変えて……あら?」
悲しそうに王妃を見つめるジェイミーであった。
「あの……王妃様、私……」
「事情があるのね。何があったか教えて。そちらの方も一緒にね」
ジェイミーは、歩きながら王妃にマキシムとの間にあった事を話す。
「そうだったのね。私も一緒に行くわね。ジェイミー大丈夫よ」
「王妃様……」
マキシムの部屋の近くに行くとマキシムの部屋のドアは少し開いており中から声が聞こえる。
「マキシム、元気だして。私が側にいるから」
「マリ……私は……どうしたら。ジェイミーは……私の事を好きじゃなくなったのか……」
「マキシム………」
「マリ……マリ……僕は……」
ドアの隙間から綺麗なドレス姿の女性がマキシムを抱きしめているのが見えた。そしてマキシムの頭や頬にキスしている。
一方扉の外では。
「マキシムが……私……私は『ざまぁ』される。大好きなマキシムに振られて……お先真っ暗に……パパ……私は……修道院へと参ります。マキシムには、ご健勝と……彼女とお幸せにと……」
フラフラとマキシムの部屋から遠ざかるジェイミー。すると突然走り出した。
「おい、ジェ、ジェイミー……は、速っ」
「ジェイミーのパパ。追いかけて」
エイダは宰相に指示を出す。そしてマキシムの私室に開けて中に入る。
「マキシム殿下……この度はすいません」
「お前……ジェイミーの」
マキシムもフラフラと立ち上がり言う。男に近づき尋ねる。
「君はジェイミーの事が好きなのか? 2人は想い合っているのか? 私は……ジェイミーに嫌われたのか?」
「あの……マキシム殿下……私は」
ガシリと肩を掴む。
「ジェイミーを幸せに……私が幸せにしたかった……ジェイミーが君を選ぶのならば、ここにはいられない……そうだ修道院に行こう……荷物を詰めねば……」
「あの……マキシム殿下……いや、私は……」
「なあ、ちなみに何処でジェイミーと出会った? ジェイミーは可愛いからな……」
マキシムは男の肩を掴んだままである。
「ん? 随分と華奢だな。こんなんでジェイミーを守れないぞ。もっと鍛えた方がいい。ジェイミーは、か弱い女性だ。そして可愛いから人攫いにあったら大変だ。先日、街で少し離れただけで声をかける男が後を絶たない……」
「ん? マキシム? お前らは街に?」
王妃は顔を顰める。
「あっ……母上……そのだな、市民の暮らしを知る為にだな……でも……もうジェイミーと街歩きも出来ないから大丈夫だ」
「マキシム殿下……私は……」
王妃はため息を付き話す。
「マキシム……話を聞いてあげて。そして、マリアーノね」
「母上……あの……」
「母上、マリは私を慰めようと」
「ジェイミーは勘違いしてるわよ。マキシムとマリアーノにお幸せにとね。貴方と同じく修道院に行くそうよ。宰相が追いかけたけど……ジェイミーは足が随分と速いようで宰相は見失っている可能性があるわね」
「は? ジェイミーが修道院に? 行くのは私だ」
マキシムに冷静になり話を聞くよう王妃は言う。
エイダは話し出す。自分はジェイミーの浮気相手ではない。自分は男装しているが女性である事を伝える。
驚くマキシム。目の前にいるのはどこから見ても綺麗な顔立ちの男性である。
謎の男性の正体はマイノリティ王国の第三王女のエリザだ。ここに来る前に既に王妃には女性である事を証明していたのだった。
「…………ジェイミーは浮気をしていないの?」
マキシムの誤解を解こうと来たジェイミーがマキシムとマリアーノの会話を聞いて修道院へと行くと言い去った事を王妃であるマキシムの母は伝える。
「ジェイミーを探さないと」
マキシムは急いで部屋を出る。そして急に立ち止まる。
3人の前に戻り伝える。
「エリザ様は男装が好きな令嬢で王女ですよね。私の兄マリアーノのもまた女装が好きな令息で王子だ。それなら2人が結婚したら国同士の繋がりにもなる。そして本人達も互いの趣味を理解する夫婦となるのではありませんか?」
3人は驚く。
「マキシム……すぐに相談するわ。私の愛するマキシム、本当に賢く育って母は嬉しいわ。早くジェイミーを追いかけて」
急ぎジェイミーを追いかけるマキシムだった。
マキシムの部屋に取り残された3人。
「私は夫に相談してくるわ。貴方達は……そうね、マリアーノはエリザさんに庭園を案内しながら互いの事を知りなさい」
「エリザ様……着替えてくるよ」
「そのドレスはとても似合っている……この城の者は君の女装を?」
「あぁ、昔から知っている。公式の場ではしない」
「そうなのか? 私は公式の場でも男装してるぞ」
堂々と話すエリザは性格も男前であった。
「そうなの?」
「少し私の国の事を話そうか?」
「それじゃあ、庭を案内しながら……え?」
エリザはマリアーノに跪く。
「美しい人。私のエスコートでいいだろうか?」
「…………はい。よろしくお願いします」
エリザは美しい男装令嬢、そしてマリアーノもまた可愛らしい女装令息である。エリザのエスコートを嬉しそうに受けるのだった。
「はぁ、はぁ。ジェイミーは何処にいるんだ」
王城をかけるマキシム。
「マキシム殿下、ジェイミー様は向こうに」
「マキシム殿下、先程、ジェイミー様が」
王城の人々からの情報を頼りに探す。
「おい、マキシム」
「宰相、ジェイミーは?」
「すまない。見失った。ジェイミーは以外と足が速い……王城からは出ていない。門番にもここから出さぬよう伝えた」
「ジェイミーとは、不測の際に逃げる準備をしているからな」
「…………そうか。それなら……」
「マキシム、ジェイミーはお前の事を裏切ったりしない」
「そうだね。僕も同じ。ジェイミーを捕まえてくる」
「任せた」
走り去るマキシムを見つめる宰相。
「はぁ、私も歳だな……少し体力を付けるか」
マキシムは走る。ジェイミーの元へ。
思い当たるのはジェイミーの大好きな場所。
「ジェイミー、見つけた」
「マキシム……あの……」
マキシムはジェイミーを抱きしめる。ジェイミーがいたのはジェイミーのお気に入りの王妃の庭のガゼボだった。ジェイミーは特別に立ち入る事を許可されている。
「ジェイミー……ごめんね。話は聞いたよ」
「いいのよ……マキシムはあの方と?」
「……ジェイミー、あれは兄だ」
「え?」
「マリアーノだよ。兄は昔から可愛い物や可愛い服が好きだった。何度もドレス姿のマリアーノと会っていたけど気づかなかった? いつも2人でお茶を……」
「え……あのマリちゃん?」
「そうだ……最近まで留学に行っていたからね。向こうでは女装を我慢していたようで……戻って来てからは、ずっとドレス姿だよ……」
「ジェイミー、ごめんね」
「マキシム……私もエリザには暫く会っていなかったのよ。男の子の服が好きだとは手紙でやり取りしてたから知ってたの。でも、あそこまで本格的に……しかも身長もあそこまで伸びるとは思ってなかったわ」
「そうか……どう見ても華奢な王子にしか見えないな」
「…………そうね。マキシム……ごめんね」
その様子を覗き込む男装のエリザと可愛いドレスのマリアーノがいた。
「ジェイミー? マキシム殿下と隠れてイチャイチャしてたの?」
エリザはニヤニヤしている。
「エリザ、イチャイチャはしてないわ。ん? あなたは……マリちゃん?」
「ジェイミー、久しぶり。ごめんね」
「いいのよ。私もごめんなさい。マリちゃんがマリアーノ殿下とは知らず……可愛いドレスが似合ってるわ」
「ありがとう、ジェイミー」
嬉しそうなマリアーノ。
ガゼボで話す4人。ジェイミーが去った後の事を話すマキシム。
「マキシム、とってもいい案だわ」
ジェイミーはマキシムに抱きつく。
「ジェイミーに褒められると嬉しいよ。で、マリアーノどうするの?」
「僕はエリザ様の国が気になるんだ。だから行きたいと思っている」
「マリアーノ、私と来てくれるの?」
「エイダ……僕じゃダメかな?」
「問題ない。私には女姉妹しかいない。だから父は男装好きの私を息子の様に教育してきた。多分……マリアーノは婿になるけど……」
「ん? エリザ様? 後継者なの?」
「私は……後継ぎ候補の1番なんだ、マリアーノは王配の立ち位置かと……」
「僕が王配に……」
蒼い顔になるマリアーノ。
「マリアーノ、大丈夫だよ。帝王学も学び留学もしているだろ」マキシムはマリアーノに伝える。
「しかし……私は……」
青褪めて手は震えている。
「まあ、ゆっくり考えたら? とりあえずエリザの国に行ってさ」
「マキシム……お前。ジェイミーと仲直りしたからと言ってさ」
頬を膨らませるマリアーノは可愛かった。
「……私はジェイミーと部屋に戻るから、あとは2人で楽しむといい。ジェイミー行くよ、一緒に本でも読もうか?」
「はい、マキシム」
◇◇◇◇
「ジェイミー、僕はジェイミーが大好きだよ」
「私もマキシムが大好きよ」
一緒に世界の料理の図鑑を見ながら話す。
「ジェイミー」
マキシムはジェイミーの頬にチュっとキスをする。
「マキシム?」
「これでジェイミーは僕のだ。ねぇ……ジェイミー」
マキシムは自分の頬を指差す。
ジェイミーは恥ずかしそうにマキシムの頬にキスをする。
「僕もジェイミーのものだ」
その様子を見ていた使用人
「…………報告する?」
「……しかしな……頬にキス位ならさ」
使用人2人は頷き『ギリセーフよね』
「ジェイミー」
「なぁに?マキシム」
「あのさ……そのジェイミーのく……唇にさ……」
「唇に?」
使用人は顔を見合わせ2人のいる部屋に入ろうとするも。
「……何でもないよ。ジェイミー、今日も変わらず可愛いよ」
「ん?マキシム……?」
「さあ、次はマイノリティ王国の料理だよ。美味しそうだね」
「はい。美味しそうね。それに可愛いわ」
「2人が結婚すれば、いつでも遊びにいけるね」
「そうですわね。楽しみ」
その日の夜の使用人からマキシムの両親への報告書には、いつも通り仲良く図鑑を見ていた2人だったと報告がされていたのであった。
マキシムの兄マリアーノはエリザと婚約し、半年後にはマイノリティ王国に王配として向かうのであった。綺麗なドレスに身を包むマリアーノ殿下を男装したエリザ王女が迎えに来たのだった。
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