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第7章 蘭の精神が侵されて

刑事課長の宮崎が一人で見舞いに来た。蘭の様子について話した。「砂川さんは、あなたの匂いを消して欲しいと頼んで来た。誰か私を抱いてなんて言ってきてる。留置所ではあなたの顔が浮かんでしまう。最近では架純さんの歪んだ顔が出てくると寝てないから昼間の取り調べにも影響がでてまして。居眠りばっかりで。精神的に参ってまして。こちらとしては精神科医の先生に観てもらったら精神異常の範囲に入り込んでいるというんです。このままでは刑期も短くなるでしょう。精神科医の先生があなたに会ってもらって落ち着かせればいいのではと提案があったのですが会っていただけますか?それで解決すればと思いこうして頼みに来た理由です。もし、外出出来れば面会して頂きたい。」宮崎刑事課長が敏彦に頭を下げた。「それでは逆効果ではありませんか?私を忘れたいなら。」敏彦は刑事の顔を見た。「精神科医の先生は砂川さんが逆の事を言っていると言うんですよ。」刑事は敏彦の顔を見た。「先生がオッケーをだしてくれれば是非協力させて頂きたいとおもいます。刑事さんから頼んでいただければ説得力ありますが?先生今、手が空いていればここに来てくれますよ。ナース呼びましょう。 」敏彦はナースコールを押した。「はい!なんですか?」看護師が無線で応答して来た。「刑事さんが来てるんですが先生に会えないかと聞いていただけませんか?」敏彦は無線でお願いした。5分くらいしたらナースがベッドサイドに来た。「今なら会ってくれるそうです。今、こちらに来ます。」看護師は二人の目を見て言うと立ち去った。しばらくすると医師が来た、「主治医の佐々木です。事情聴取で外出ですか?反対はしませんが短く、看護師付き添いなら許可いたします。佐久間さん。それで宜しいですね、看護師は工藤君にしてもらいましょう。」佐々木は二人の顔を見た。「ご協力有り難うこまざいます、捜査が一歩前進いたします。今、停滞していまして。」宮崎は佐々木の顔を見てホッとした目を見せた。「できれば早い内に実現出来ればと。明日でよろしいですか?」宮崎は佐々木の顔を見た。「結構です。」佐々木は宮崎の顔を見た。


次の日、工藤美香看護師がベッドサイドに来たのは朝7時だった。工藤はごごに大事なオペが入っていた為だ。工藤は優秀なおぺ看で、オペが無い時敏彦の付き添いをしていた。自由な立場だった。先生からの信頼も厚い。朝食を済ませたばかりの敏彦をもう一人看護師を呼んで、起こして着替えさせ、出かける準備をした。敏彦はベッドに座っていたが一人で立ち上がり車椅子に座った。一人で立ち上がる事と歩く事は出来た。が何故か車椅子だった。内蔵に負担をかけないようにであった。


警察署に向かって車を走らせた。時間通りに警察署についたら宮崎刑事課長が玄関先に待っていてくれた。敏彦は自動で動く座席に助けられスムーズに車から車椅子へ乗り換えられた。工藤の補助が流石に上手かった。二人は宮崎の後を歩き、留置所へ向かって歩いた、三人はエレベーターに乗った留置所は2階だった。留置所に入る前に荷物を係員に預けて留置所内にはいった。「5番お客さんだ。」監視が蘭を番号で呼んだ。蘭は敏彦の顔を見ると驚いた表情を見せた。「ここではなんだから取り調べ室にいきましょう。」宮崎が三人の顔を見た。同じ階の取り調べ室に入った。四人は対面で机を挟んで座った。宮崎の前にはパソコンがあった。「それでは砂川蘭の取り調べを行います。佐久間敏彦さんと看護師の工藤美香さんの立会のもと行われます。宜しくお願いします。」宮崎が挨拶をした。「宜しくお願いします。」敏彦と美香が蘭の顔を見た。「宜しくお願いします。」蘭が三人を見た。「敏彦さん。今回は、私の振る舞いで奥様を殺してしまい。敏彦さんにも大けがをさせてしまい、申し訳ありませんでした。本日は顔を見せていただき有り難うございます。」蘭は敏彦の目を見つめ頭を下げた。「蘭。痩せたか?ここの生活は大変だろうけと、君の行いの罰だと思っいなよ。俺も君に会いたかった。けして、怒ってはいないが只々寂しい。架純も君もいなくなっちまってな!心に穴が空いたみたいだ。飯は残さず食べろよ。美味しくないとは思うけど俺も毎日不味い病院食だからわかるよ。」敏彦は蘭の目を見て諭した。「敏彦は傷の具合どうなの?痛い?車椅子だし、歩けないの?」蘭は敏彦の目を見て寂しい表情をした。「そりゃ!痛いさ、動くとな。歩けるけど看護師さんがこれに乗れと言うから楽だし甘えてる。」敏彦は蘭の目を見て優しく微笑んだ。「らん。刑事さんから聞いたんだが夜眠れないんだって?今晩から眠れるな、俺と会えたから?」敏彦は笑いながら冗談を入れてきた。「そうだね。たぶん当たりだわ。敏彦に会いたかったんだよ。私。あなたのおかげだよ。まったく買い被りやがって!ふざけるなちゅうの?」蘭は半笑いを浮かべ敏彦を見た。「私の事心配なら毎日会いに来て敏彦。良いでしょう。刑事さん。」蘭はネコじゃれ声を出して敏彦に迫って来た。「あなた、そんな事出来るわけないでしょう。佐久間さん。死んじゃうよ。常識があるでしょう!」工藤が蘭の目を見て一喝した。「敏彦、誰、このオバサン!うっとうしいんだけど!」蘭は敏彦の目を見て言った。「看護師の工藤さんだよ。今、俺の身の回りの事全部やってもらってる。」敏彦は蘭の目を見た。「新しい彼女だあ?敏彦は手が早いな?架純が死んだばっかりなのに!私と言う女が居るのにひでえなあ?」蘭は敏彦を睨みつけた。「バカも休み休み言え!」敏彦は蘭の顔を見て怒った。蘭はシカトしていた。工藤もヤレヤレと言う顔を見せた。「工藤さん。怒らないでください。この女、根は真面目で良い女なんです。スイッチが入ると別人になるんです。」敏彦は工藤の目を優しく見た。宮崎刑事課長も困った顔をしていた。「あらあら、今、なんだって!良い女って言っていたよな?確かに言った。」蘭は上げ足をとってきた。「確かに言ったけどそこだけ強調すんじゃない!バカもん。」敏彦が蘭の目を見て言うと大人しくなった。気分をそこねたと見え何も喋らなくなった。蘭の精神状態はすこぶる悪かった。敏彦は落ちつかせる為、次の一手に出た「明日も来る。蘭に会いに来る。約束する。」見るに見かねて約束の出来そうもない事を口走る。敏彦が工藤の顔を見るとヤレヤレという顔をしていた。工藤が佐々木先生に電話をして明日の外出を出来るよに説得した。「私が責任を持つ!」工藤は何も後ろ盾がないにも関わらず短歌を切った。敏彦の男臭さに胸を撃たれた、だんだん、敏彦の事を好きになっていった。工藤美香38歳独身の春がおとずれた瞬間だった。「佐久間さん。先生に許可をいただきました。明日も面会してあげてください。」工藤は敏彦の目を見て優しく微笑んだ。「蘭さん。明日も来ますよ。良かったですね。」工藤は蘭の目を見て優しく微笑んだ。それを聞いた蘭の顔は晴れやかになりピーチクパーチク喋り出した。宮崎刑事のパソコンのキィをたたく音が早くなった。一通り話が終わって、敏彦が「蘭、また、明日な!」と蘭の目を見て立ち去ろうとすると蘭は突然喋りを辞めた、四人は取り調べ室を出た。三人は蘭を留置所まで送り牢屋の鍵が締まった。宮崎刑事課長は車まで二人を見送った。「おちからになれましたか?途中言いすぎてしまって申し訳ありませんでした。」敏彦が宮崎の目を見て頭を下げた。「いいえ、だいぶたすかりました。また明日お願いいたします。」宮崎は二人の顔を見て警察署の敷地から車が出るまで見送った。


次の日、工藤は朝7時に敏彦のベッドサイドに現れた。「おはようございます。不味いごはん食べましたか?」工藤は敏彦の顔を見てニヤリ笑った。「おはようございます。残さずいただきました。また、本日、宜しくお願いします。ご迷惑おかけします。」敏彦は美香の顔を見て朗らかに微笑んだ。美香は敏彦の着替えを手伝ってサラシを強く巻いた。美香は敏彦を車椅子に乗せると車椅子を押して部屋を出て行った。暫く走ると警察署へ着いた。昨日と同様に玄関の前に宮崎刑事課長が待っていてくれた。三人はエレベーターで2階に上がり留置所へ出向いて蘭を留置所から出して取り調べ室に移送した。四人は机を挟んで対面した。蘭と宮崎が真ん中で対面し、その脇に敏彦と美香が座った。「砂川蘭の取り調べを始めます。参考人に佐久間敏彦氏と工藤美香氏です。」宮崎が蘭の顔を見た。「まず、砂川さん、言いたい事ありますか?」宮崎は蘭の顔を見た。「佐久間さん。工藤さん。本日は忙しい中ご足労ありがとうこまざいます。昨晩は良く眠れました。気持ちが落ち着きました。有り難うございました。」蘭は二人の顔を見た。「本当は毎日来てあげたいのだが見ての通り重症でな!すまない。蘭、お前がここに居るのは俺の責任だからな。」敏彦は蘭の顔を見て頭を下げた。「敏彦、こちらこそ、すまない。特に架純を殺っちまったからな!敏彦はどこが悪い?」蘭は今日は落ち着いていた。「腎臓が一個駄目になった。」敏彦は左の腎臓の上を触った。「痛いのか?悪かった!この通り。」蘭は敏彦の顔を見て頭を下げた。落ち着いた雰囲気で取り調べは始まった。「砂川さん。あなたを架純さんを殺す動機を聞かせてください。」宮崎が質問を投げかけた。「それな!あの女、私をいつも見下しやがるから後敏彦に会わせてくれない、邪魔ばかりするからだ。憎たらしかった。それだけ。」蘭は宮崎の顔を見た。宮崎は殺害動機が始めて聞けた事に安堵した。「包丁を研ぎにだしましたよね。何故ですか?」宮崎が質問をした。「良く切れるように決まってるじゃないか?」蘭は宮崎の目を見て微笑んだ。「研ぎ師のオジサン、覚えている?三河さんと言う方で自分の研いだ包丁が殺人に使われた事にショックをうけていましたよ。」宮崎は蘭の目を見た。「1000円で見違えるように切れた。あのオヤジ腕あるな?人一人殺せたものな!」蘭はオチャラケた。「君にはもう少し反省の意を示してもらいたいな。これから長い服役が控えているから、ちゃんと更生しなさい。」宮崎は蘭の目を見た。「お二人はこの辺でお引きとり頂いて結構です。具合の悪い中、有り難うございました。看護師さんも忙しい中有り難うございました。今日はここで失礼します。」宮崎は二人の目を見た。「蘭。退院したらまた面会くるから頑張れ、飯は不味くても食え。」敏彦は蘭の目を見て優しく微笑んだ。二人は取り調べ室を出て行った。この後敏彦は、蘭の面会に足繁く通うのである拘置所、刑務所と顔を出す。蘭を見捨てる事が出来ない優しい男であった。


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