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第3章 ストーカー被害届け受理される

敏彦は次の日のお昼休み、警察署まで出向いて証拠の音声とともにストーカー被害届けを出し、受理される。敏彦は警察の態度に怒りを覚える、ヤル気がなさそうに見えた。形だけって所だろうと思った。受理した警官は後日痛い目に合うことになるとはこの時は敏彦も思って無かった。警官の名前は後藤仁巡査部長。佐久間はお店に戻り惣菜コーナーで焼肉弁当を買って食堂でさっさと食べて精肉部に戻り「ただいま帰りました。すいませんでした。被害届け受理されました。」黒澤に報告を入れた。「おかえりなさい。良かったです。とりあえず?」黒澤は佐久間の顔を見た。「でも真剣にやってくれる保証はありません。男だから。女なら真剣にやるんだろうが。俺かカミさんか子供でも殺されない限りは望み薄ですよ。警察なんてそんな所でしょう?所詮警察と政治家は人間のカスの集まりですから。」佐久間は黒澤の顔を見てニコリ笑った。「そうとはかぎらんぞ!期待を持って。」黒澤は佐久間の顔を見ると優しく微笑んだ。「開店初日、2日と売り上げ予想を超えて良かった。皆さんの頑張りのお陰です。この精肉部には手応えを感じます。けれで来週、サブマネージャーの国府田君が竹岸から戻ってくれば完璧なんだがな?」黒澤が皆の前で言った。「マネージャー!竹岸ってなんですか?」パートタイマーの井原さんが黒澤の顔を見て質問して来た。「竹岸食肉専門学校って言って、食肉や我々スーパーの幹部になる人間をいろんな面でサポート指導してくれる学校があるんだよ。後、肉屋の2代目とか、どうしても入学したいって入ってくる者もいるし、授業料が高いからそういう奴は少いだろうがな。会社派遣で選ばれた人だけが行ける特別な学校なんだ。たとえば俺の頃はダイエーの社員とかイトーヨーカドーとかヨークベニマルとかとりせん。カスミとか、関西なら平和堂、近商ストアとかな。スーパー業界では有名な場所なんだ。1年間、寮に入り集団生活をしながら、いろんなスーパーから派遣された人と切磋琢磨し、いろいろな事を学ぶ、少し、キツイ所だよ。よく、軍隊みたいだとネットなんかに書かれている良かったら検索してみな?僕も、佐久間さんもそこの卒業生なんだぞ!」黒澤が井原の顔を見た。「そんな所あったんだ。知らなかった。」井原は口を尖らせた。「茨城県土浦市にプリマハムの工場に隣接している。もともと、プリマハムは竹岸ハムと言っていたんだよ。俺も一番最初に就職したスーパーに居る頃、竹岸に派遣され学んだわけだ!19歳の頃。お昼にマトンカレーって有名なカレーが毎週金曜日に出るんだ。マトンってわかる?羊肉だけど年とった羊肉の事ね。ラムは若い羊肉を言う。おかわりが戦争でね。カレーは飲み物の意味がそこにいけばわかる気がするよ。5秒くらいでおかわりに立つ奴がいるんだよ。これが味わって食べれば美味しいんだよ。長年炊事場で賄をしてるオバチャンが作るカレーだからな!ねぇマネージャー?思い出すと今でも笑えます。」佐久間は井原さんの目を見て黒澤の顔を見て笑った。「なつかしいな?皆、スーパーでは偉くなってるんだろうな?」佐久間はそう考えると自分はなにやってんだろうと思った。そんなこんなでこの日も忙しく仕事は終わった。タイムカードを打刻して駐車場へ行くと蘭が敏彦の車の前に立っていた。「蘭、仕事は?」敏彦が声をかけた。「仕事辞めた。あなたがいないからつまらなくて辞めた。」蘭は敏彦の顔を見てニヤリ笑った。「アパートも近い内引き上げる。今月いっぱいで実家に帰る!」蘭は敏彦の顔を見た。「今日、警察にお前のストーカー行為に対しての被害届けだしたからな!悪く思わないでくれ!」敏彦は蘭の目をチカラ強く見た。「敏彦の気持ちはわかっている。私、敏彦を傷つける気持ちはないのよ。あなたの奥さんが嫌いなの架純が!正妻がそんなに偉いの?教えて!」蘭は敏彦の目を見たが涙が溢れて来た。「私、こうして、敏彦に会えるだけでいいのよ。顔を見れるだけで、昨日みたいな事されると切れちゃて!制御不能になっちゃて!ごめんね。」蘭は涙を抑えながら、敏彦の顔を見た。「蘭、これからは警察も君を見張ってからな!行動には気をつけて!それじゃあ?帰れ!」敏彦は蘭にハンカチを渡した。「ここには、もう来るな!さよなら。」敏彦は蘭の顔を見て微笑んだ。「バイバイ!」蘭は手を振って車に乗って走り出した。敏彦はそれを見届け車に乗り込んだ。エンジンをかけてアクセルを踏み込むとマフラーを交換してあるせいで凄い音がするHKSのマフラーで改造車だった。唯一の趣味は車いじりだった。ボディもいつもピカピカに磨いていた。蘭も知っているから流石に車を傷つける事はしなかった。敏彦も走り出し帰路についた。敏彦はカーステレオでデーブコーズのアルバムを聞いていた。家に着くと架純が子供に料理を作っていた。麻婆豆腐と餃子だった。「ただいま!」敏彦は皆の顔を見た。皆元気そうだった。「あなた、今日は蘭は居たの?」架純は一番最初に聞いて来た。「いたよ。」敏彦は架純の顔を見た。「あの女しつこいな?それ程、あんたにゾッコンなんだね。どこが良いのかな?私にはよくわかんない?何時もこうしているとわからなくなるものなんだ愛って?その点は羨ましく思うわ!」架純は餃子を焼きながら言った。「今度真剣に話してみっか?仲直りしてみるか?」架純は少し、蘭に興味を持った瞬間だった。「パパ、僕、算数のテスト100点とったよ。」蓮が敏彦の顔を見た。「蓮偉いな!お父さん100点なんてとった事ないぞ!」敏彦は蓮の頭を撫でた。「私は、80点だよ。この間は50点だったから少し良くなった。勉強したよ。」凛は負けじと声にした。「凛、努力したな!偉い偉い。」敏彦は凛の頭を撫でた。「あなた、席に座って、ごはん食べて頂戴!」架純が敏彦の顔を見た。敏彦は席に座った。ごはんと味噌汁が出て来た。「いただきます。」合掌した。「この麻婆豆腐美味い!辛さも丁度いい。餃子はいつもの冷凍か?」敏彦が架純の顔を見た。「うんだ!」架純は、敏彦の顔を見て頷いた。「敏彦、蘭の電話番号知ってる?なんか、蘭と話たくなった!仲直りしたいし、あなたへの気持ちを聞きたいから。」架純は、敏彦の顔を見つめた。「知ってる訳ないだろう!アパートはわかる。」敏彦は架純の目を見たがその言葉を忘れて欲しかった。地雷を踏んだ。「なんでアパート知ってる訳、やっぱり一発やったな?あんたって人間がわかった!わかった!」架純は怖い顔をして敏彦を睨んだ。「初めて会った日にスーパーで和牛のステーキ肉を買ってくれたんだよ。それでご馳走になったんだ。それだけだ!お前が来た日はラーメンじゃなくてステーキを逆にご馳走した帰りだった。だから一発なんてしてない。」敏彦は洗いざらい話した。「パパ一発ってなに?」蓮が真面目な顔で聞いて来た。「一発か、おならの事だよ。」敏彦は思わずおならと口にした。「お父さんといっしょのプップッスだよ。蓮あの歌好きだろ!」敏彦は苦しかった。架純がプップッスの歌を歌いはじめた。蓮と凛も歌い始めた。それでなんとか誤魔化せた。架純がスマホでプップッスの歌をかけた。ごはんじゃなくなっていた。「なんだ?急にお前とは水と油だから話しても無駄だよ。アパートは前回勤めていたスーパーの近くだよ。でも今月末で引き払うって言ってた。後で地図書いておく。」敏彦は架純の目を見た。パート先のスケジュール調整で行くのが遅れた。その間に蘭には運命の土曜日を迎えていた。包丁研ぎの巡回カーが来た。蘭は架純の殺害を決意する。アパートを出て巡回カーを停めて包丁研ぎを頼んだ。「これ、安物ですが最高に切れるように研いでください。人を殺しますから。」蘭は研ぎ師のオヤジの顔を見た。「虫も殺せないような可愛い顔して、奥さんも冗談かキツイな?ちょっと待ってね。」オヤジは蘭の顔を見て笑った。作業はすぐ終わった。オジサンは紙を試し切りして切れ味を確かめた。「はい!出来上がり、1000円。ありがとよ。また、あったら頼むよ。」オジサンは蘭の顔を見て笑顔で包丁を渡した。オジサンはその包丁が殺人に使われるなんて新聞を見るまで想像もしなかった。

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