表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

百合短編

氷の上にいた妖精(ようせい)

作者: 転生新語

 (むかし)から、女子(じょし)体操(たいそう)選手(せんしゅ)などには『妖精(ようせい)』なんて呼称(こしょう)()いていたらしいけど。私が()た『妖精(ようせい)』は(こおり)(うえ)にいた。彼女(かのじょ)とは幼馴染(おさななじみ)で、私も一緒(いっしょ)(すべ)っていたけど、あっという()()いつけなくなって。フィギュアスケートの世界(せかい)で、彼女(かのじょ)才能(さいのう)(かがや)かんばかりに開花(かいか)していった。際限(さいげん)のない(そら)()白鳥(はくちょう)のように。




 私は早々(そうそう)選手(せんしゅ)(みち)断念(だんねん)したけれど。幼馴染(おさななじみ)彼女(かのじょ)には優秀(ゆうしゅう)なコーチやチームが()いて、英才(えいさい)教育(きょういく)(つづ)いていった。私の気持(きも)ちを、どう表現(ひょうげん)したら()いのだろうか。彼女(かのじょ)才能(さいのう)(うらや)ましく(おも)ったのは事実(じじつ)だ。でも、(おな)立場(たちば)になりたいとは(おも)えなかった。


 青春(せいしゅん)(すべ)てを競技(きょうぎ)(ささ)げる。それが可能(かのう)十代(じゅうだい)女子(じょし)は、どれほどいるのか。(ささ)げたとして、努力(どりょく)(むく)われる保証(ほしょう)など(なに)もないのだ。()どもの(ころ)一緒(いっしょ)氷上(ひょうじょう)(すべ)った光景(こうけい)を私は(おぼ)えている。私たちは(わら)っていた。彼女(かのじょ)笑顔(えがお)天使(てんし)みたいで、その姿(すがた)妖精(ようせい)そのものだ。


 マスコミも十代(じゅうだい)彼女(かのじょ)を『妖精(ようせい)』と()んだことがあった。しかし私から()れば、彼女(かのじょ)笑顔(えがお)(すく)なくなっていった。




 おとぎ(ばなし)では(ゆき)妖精(ようせい)(こおり)妖精(ようせい)()てくる。そしてパターンとしては、(はる)(おとず)れと(とも)に、妖精(ようせい)さんは存在(そんざい)()してしまう。そんな(はなし)(おお)()はする。


 幼馴染(おさななじみ)もそうだった。彼女(かのじょ)競技(きょうぎ)世界(せかい)(たたか)って、(うつく)しく()(つづ)けて────(とう)(とつ)(こおり)(うえ)から姿(すがた)()した。




「ご(はん)、できたよー。()べて、()べてー」


「うん、()べる()べるー。あー、また(ふと)っちゃうなー」


 休日(きゅうじつ)(あさ)、私が食事(しょくじ)(つく)って、(うれ)しそうに彼女(かのじょ)()べてくれる。実際(じっさい)には、彼女(かのじょ)体重(たいじゅう)(いま)でも(どう)(ねん)(だい)女子(じょし)平均(へいきん)以下(いか)だ。摂食(せっしょく)障害(しょうがい)経験(けいけん)した私の幼馴染(おさななじみ)は、競技(きょうぎ)引退(いんたい)した(いま)になって、ようやく健康(けんこう)(てき)笑顔(えがお)()(もど)した(かん)がある。


一緒(いっしょ)()んでくれて、私は(しあわ)せだけどさ。本当(ほんとう)にいいの? フィギュアスケートに未練(みれん)はない?」


「あんまり、ないかなぁ。一応(いちおう)、メダルは()れたしね。今後(こんご)指導(しどう)(しゃ)とか、(べつ)(みち)(すす)むつもりよ」


()いていい? 私は貴女(あなた)(むかし)から()きだった。貴女(あなた)(ほう)は、どうだったの?」


(おな)じよ、()づかなかったの? 私は貴女(あなた)がいたからスケートを(はじ)めたの。これから青春(せいしゅん)()(もど)さないとね」




 かつてファンは妖精(ようせい)(あい)した。でも私は、人間(にんげん)彼女(かのじょ)(あい)している。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ