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夜間中学校に乾杯

作者: 春川 歩

夜間中学校とは、義務教育の機会が得られなかった人たちが夜間に勉強するための学校、というのが大前提としてあげられる。

そこの中には不登校とか、何らかの理由で義務教育が修了できなかったとか、他国から来たから日本語が不満足とか、色々な理由で夜間中学に通うことを決意した人たちがいる。

そういったことはわかるし、理解もできる、それに、この場所も似たようなものだ。

ここにいるもの達は何らかの理由で、満足するまでの教育がなされなかったり、よそから来て言語が不自由だったりする人たちがたくさん来ている。

ただ、少し毛色が違うのは、ある意味では仕方のない事なのかもしれない。

なにせ、ここは文化の交流する場所、全ての種族が入り混じることとなり、その過程でできた場所。

簡潔に言えば、異種族が異種族の事を理解するために創設された、ある意味では異種族交流のための夜間中学なのだから。


@@@


というわけで、ここの場所が異種族の入り混じる夜に行われている学校だという事は理解できたと思う。

理解できたところで、この場所がどういったもの達が入り混じっているのかということだが、今までの戦争やら抗争やら色々な暴力的事件等を全て省き、残った残りかす的醸造法で集まった者たちは、多種にわたる。

普通の人間から始まり、エルフ、ドワーフ、獣人、海洋人、ゴブリン、オークなどなど……、自分は学んでいる側という事で、全ての種族を確認したわけではないが、それでもこれらの種族は確認済みだ。

ちなみに、私の種族はゴブリンで、ついこの間まで虐げられたり、ゴブリンに何を教えても意味がないだろう的偏見により、勉強の機会がなかった。

勉強の機会が与えられたとしても、原始種族として名高いゴブリンに何を学ぶ必要があるのだと馬鹿にされるような偏見が、なくなったわけではない、しかし、それでもこの夜間中学にくれば、一対一のパートナーと呼ばれる先生役が丁寧に教えてくれるのだ。

自分が習っているのは数学や化学といったことで、あまり難しいものは今でも難しいが、それでも簡単なものはできるようになった。

目標はIT系の仕事をすることだが、それは難しいだろう、と言われている。

ただ、その難しいという理由も、長時間労働、精神的苦痛、その他使いつぶしの企業が沢山ある為、私のような精神が弱いゴブリン族には務まらないかもしれない、というものだった。

ゴブリンでも頑張れば一般就職が出来るんだと言いつつも、正直過酷な労働条件の元、働けるだろうかと思ったら、正直無理だろうということがすぐにわかる、何せゴブリンは基本精神が弱く、本能に従うものだとどこぞの研究結果でも出ているのだ、だったらゴブリンは農産業と言った自然に近い職業に就くことがセオリーだが、私はITに憧れを持ったし、パソコンがかっこいいという理由で理系を目指し始めたのだ。

ある意味では、本能に生きるゴブリンらしい理由でこの夜間中学に通い始めた口ではあったりする。

パートナーの人からは、私には文章構成能力と面白い発想があるから、ITに進むのもいいけど、もしかしたらそのほかの道もあるのかもしれないと、道を示してくれた。

そんな感じに勉強を、今日も先生から教わりながら進めていく。

1週間に1回、1日たった2時間だけの学習だが、それでもゴブリン族なのに勉強を教えてくれるというのは、とてもありがたい事だった。

2時間のうち、半分くらいの頃に休み時間が10分くらいあるが、その間に他の人たちと話すこともある。

その中でも、異質と言っては何だけど、とあるエルフがゴブリンにゴブリン語を教わっている光景もあったりする、そういったことがあるのがこの学校の普通だが、上位種族だともてはやされるエルフが、下級種族とされるゴブリンの言葉を教わるなんて通常では考えられないことがある、この場所ならではの名物な気がする二人に近づいていき、話しかけることにした。

「今日どんなことを学んでいるのか、少し聞いていい?」

私が問えば、エルフは少し身構えるような顔になり、つたないゴブリン語を話してくる。

私は一般言語を使った筈だが、このエルフはゴブリン語を習いたいと触れて回っているだけあり、私と話すときには率先してゴブリン語で答えてくれる。

「自分、ごはん、すき、一番、草。」

完ぺきとは言えないが、この言葉はゴブリン語である、確かにゴブリン語であっているし、基本的な文法の用法はあっている。

ゴブリン語は単語を並べて行けば、それで言葉が伝わるような性質のものではあるが、それは古典的知識ではある。

私がゴブリン語で答えようと口を開いたら、エルフの事を教えていた先生役のゴブリンがトイレから戻って来たらしい、話しかけてきた。

「あれ、トマリ、いつの間にチャーベルに話しかけたんだ?」

「アムル、いやさ、どれくらい話せるようになったかちょっと気になって、チャーベルも頑張ってるし、近いうちにゴブリン語を流ちょうに話せるようになるのかなーって。」

ゴブリン語は癖が強いが、それでも文法はある、しかし、文法も癖が強いため、難しい言語のひとつなのだ。

「トマリ!トマリ!私できていましたか?」

チャーベルが標準語で話しかけてくるため、私は頷く。

「よくできてたと思う、流石エルフっていうのはないけど、それでも単語での発言が出来るようになったのは普通に偉いしすごい事だと思うよ。」

そう私がいえば、チャーベルは嬉しそうに笑った。

この場所では、どのような境遇でここに通っているのかはあまり話さない、それを抜きにしてみんなこの場所で学んでいるのだ。

だから、深くは踏み込まないことが暗黙のルールになっている。

「そろそろ再開の時間じゃないか?先生が待っているだろうし、戻ると良い。」

そんなアムルの言葉に返事を返し、元の席へと戻る。

「トマリさん、チャーベルさんと仲が良いみたいだね。」

パートナーの高橋さんがそう言ってくるため、頷く。

「はい、チャーベルが随分と頑張ってゴブリン語を習得しようとしているから、ついちょっかいを掛けにそっちの方に行ってしまうんですよね。

なにせ、ゴブリン語を学ぼうという人は少ないし、忌むべき存在として今まで世界では見られていたので……。

どんな理由であれ、誰かがゴブリン語を習おうとしたという時点で、ゴブリンが注目され始めたという事にはなりますから、私も頑張らないと!」

私がニコニコと言えば、高橋さんは笑顔を作る。

「僕としても、勉強の意欲にあふれた人を教えるのは楽しいものですよ。

さて、テキストの続きですが……。」

そういった感じに、夜間中学の時間は過ぎてゆく、ここは夜間中学は夜間中学だが、“自主”夜間中学なので、各自に先生があてられている。

そして、自分たちが進めたいように進めることが出来るため、自分のペースで学習をすることができるのだ。


@@@


そんな風に普段ここに通っているが、その日々の中でも多少のイベントはあったりするわけで、この夜間中学ではたまにイベントがある。

それは、学校内の人たちと仲良くなろうという名目の交流会や、ここに来ている人たちの母国を知ろうという事での文化交流会、他の団体との交流をしてみようということでの文化祭など、様々だ。

そんなわけで、今日は文化祭、一般人は来ないが、それでも見知らぬ他団体が来る関係で、普段閉じた空間である夜間中学の面々はざわめいている。

それは、ゴブリンである私もそうで、文化祭には自分が作ったものを出品してほしいと言われたため、私も作ったものを出店している。

それは、簡単なパソコンゲームで、高橋さんと共に作ったちょっとした迷路ゲームで、一人称視点のものだ。

二人してITの勉強の一環として二人三脚で作ったわけだが、ある程度人の目を引いているらしく、子供たちが楽しそうにパソコンを弄っている。

ペンネームで出した名前は人間風の名前で、この国で大多数が占める種族の名前のため、変な目では見られないだろう。

それを遠くから見ていたら、近くに知り合いが来たらしい、話しかけられた。

「トマリ、楽しんでる?」

後ろを振り向いたら、そこにはチャーベルがいた。

「楽しんでるよ、意外と私が作った迷路ゲームで遊んでいる人が多くて、これはやりがいを感じるなって思ったところ。」

チャーベルがニコニコとしながらこちらを見てきたから、何事かと首を傾げる。

「いや、プログラミングが学校の教育課程で追加になったから、やっぱりIT系学んだほうが良いよなぁ~、とは思っていたんだけど、身近にプログラムを操る種族がいるのはすごい事だなぁって思ってさ。」

なんとなく、嫌味として取れてしまって顔をしかめる。

「なに、ゴブリンが知能あまりないのにプログラムすることが出来た、なんていう偏見?それとも、下等種族がこういった言語を操るのが面白く映るって?」

私がそういうと、チャーベルは首を横に振った。

「いやいや!そういうんじゃない!私もプログラミング頑張らなきゃ取り残されるなって思っただけだから!」

それを胡散臭そうに見上げると、チャーベルがふとこちらに話しかけてきた。

「そういえば、トマリはどうして私がゴブリン語を習っているのか聞いてこないね。」

チャーベルがそんなことを聞いてくるから、面食らって動揺してしまう。

「い、いきなりなんだよ、別に学校にいる人達の私情なんてどうだっていいだろ?」

私の驚いた顔が面白いらしく、チャーベルはクスクスと笑っている。

「これは独り言だから、別に聞かなくっても良いんだけど……、私の家の近くにゴブリンが引っ越してきたんだよ。」

「そうなんだ、で?」

私が短くそう頷くが、チャーベルは無視して話を続ける。

「私はエルフってことで、他の人たちから種族が上位だなんだと言われていたけど、正直勉強は得意じゃなかったし、家の中どころか通っていた学校でも通用するような知識はなかったし、それどころかその他の所でも通用しない落ちこぼれエルフだったんだよ。」

正直、それがゴブリンとどう関係するのかがわからなくて、頭に疑問符が浮かぶ。

「そして、家の近くに引っ越してきたゴブリンは下等種族、気に留めるまでもない下等種族ってことで、最初は私も近くに寄って来たとしても無視していたんだ。」

その顔は、つい最近そのゴブリンと会ったことを告げるような語り口で、エルフの成長年齢なんて知らなかったから、何歳ごろの話かはわからないため、とりあえず最近の事なのだろうということしか思いつかなかった。

「それだけど、そのゴブリンが私と交流しようとしたのか、色々と話しかけてきて、言葉がわからなかったからそれになんて返せばいいのかわからないまましばらくたったところで、そのゴブリンがシロツメクサの花輪をくれたんだよね。」

ゴブリンからの花輪の意味は、仲良くなりたいという意味だという事は分かるし、相手を尊敬しているという意味でもある。

そこに恋愛的な要素はない筈だということを思い出しつつ、話を聞く。

「そのゴブリンはどういった意図で花輪をくれたのだろうか、ということを家族に聞いたら、そのゴブリンが私のことを襲おうとしているのではと思った私の両親は、そのゴブリンと無理やりに引き離したんだよ。

酷い話じゃない?」

それに、私は頷く。

「確かに、友好の証を渡したのに、酷い扱いだね。」

チャーベルは、いつの間にかに独り言ではなく、私に話しかけるように話している、それにチャーベルは気が付いているだろうか。

「その後、そのゴブリンとの交流がなくなっちゃって、そのままになっちゃったんだけど、ここの自主夜間中学でそういったことを学ぶ機会がないかなって相談したら、ゴブリン語を教えてくれそうな先生がいるから、その人に習えばいいだろうってことになって、それからここに通い始めたんだよ。

ゴブリン語を習ったことで、そのゴブリンと仲良くなれるかなって思ったんだけど、もう、こっちを見もしなくなっちゃって……。

自分が上位種族だからって理由で、どうして友達になれそうな人との交流を妨げられることになるのか、未だに理解できなくて……。」

なんでもないような感じに言っているが、その顔からは悲しいという感情があふれ出していた。

「そういえば、私の出し物どんなものか、見てくれない?」

暗いのを吹き飛ばすかのように、いきなりパッと顔色を明るく変えたチャーベルが私のことを引っ張って、チャーベルの展示物の前へと連れていかされる。

その展示物は、ゴブリンとの友好の証や、エルフの友好の証など、チャーベルの知っている範囲での友好の証の示し方がまとめられていた。

「ゴブリンの事だけを書きたかったけれど、それだと色々と言われそうだなって思ったから、各種族のこの国においての友好の証を示すものをまとめたんだ、試しに見てみて?」

そうチャーベルがいってきたから、私にとっては少し高い場所にある展示を背伸びしてみて見る。

チャーベルが踏み台を持ってきてくれたから、それに乗っかり見てみると、ありとあらゆる友好の証なのだろう、様々なものがまとめられて載せてあった。

その中のゴブリンの欄には、獲物を持ってくる、相手に似合いそうな衣類を持ってくる、など、しっかりと調べたのか様々なものが載っていた。

その中にはこの夜間中学で行われた友好の証なのだろう、ということなども書かれていて、人間は友好の証として飴を配る、といったことも書かれていた。

なんか、ローカルルールであろうことなども書かれている中に、先ほどの話に出てきたシロツメクサの花輪を渡すということも書かれていた。

花輪に関しての説明も、仲良くなりたい、尊敬している、みたいなことだということが書かれており、問題のない内容であった。

「……、うん、合ってると思う、私の理解できる範囲でだけど。」

そう伝えれば、チャーベルは嬉しそうな顔をした。

「よかったー!それじゃあさ、それじゃあさ!一緒に色々と巡ってみよ!」

そんな言葉と共に、チャーベルと一緒に文化祭を巡ってみたけど、それがとても楽しかった。

他の種族がまとめたのであろう出店物を見たり、他の団体が出している出し物を見たりして、色々と楽しみ、いつの間にかに終わりの時間に近づいていた。


@@@


出し物を仕舞う時間となったのだろう、ホタルノヒカリというらしい音楽が流れる中、私は高橋さんと会った。

「高橋さん!」

私が声をかけながら近づくと、高橋さんが振り向いてこちらに軽く手を挙げて挨拶してくれる。

そばまで来た私たちは、少しだけ話をした。

「トマリさん、今日の文化祭どうでしたか?」

「すごく楽しかったです!チャーベルと一緒に回ったので、独りで回るという淋しい事もなかったですし、楽しかったんです!」

私がそういうのに合わせて、チャーベルは嬉しそうに頷き、私と同じように一般言語で感想を述べていた。

「トマリさんのゲーム、結構いろんな人が楽しんでいたみたいで、見ていて嬉しかったです。」

そんな私たちの発言を受けて、高橋さんが頷き、1枚の紙を見せてきた。

そこには枠の中に複数のシールが貼られているもので、それが一体何かを聞いたら、これは面白かったと思った展示物の中で、一つだけ評価するとしたら、どれを評価するかのシールらしい。

それぞれに出品物の名前が書かれ、その下に色々な色のシールが貼られているが、シールの色に意味はなく、どれが良かったかを示す表のようだった。

そして、私の催し物が割と評価されており、色々な人が私の作った迷路を楽しんだみたいだった。

チャーベルの出品物も良かったらしく、私同様沢山のシールが貼られている。

「みなさんが頑張って作ったものは、全て評価されているみたいで、僕としても良かったです。」

そういう高橋さんは、何か出品したのだろうか。

疑問に思い、問いかけたら、高橋さんは曖昧に笑いながらとある場所を指さす。

そこには冊子があり、何が書いてあるか見てもいいかを問いかけたら頷かれたため、その中身を見てみる。

……読みにくいが、どうやら小説らしい、それも私に教えてくれているプログラミングやら科学的やらの色々な理系の知識を詰め込んだような代物で、面白いというよりは何かの説明書のようで、無味無臭のガムを噛んでいる、そんなような代物だった。

「……、いちおう、小説を書こうとしたんだけど……、僕には難しいみたいだったみたいで……。」

評価の模造紙にもシールは貼られておらず、色々な人が興味を持って読んだとは言い難かった。

「高橋さんがこういった小説を書こうというのが、言っては何ですが不可思議というか……、いきなりどうしたって感じというか……。」

ゴブリンはこういった時のフォローの仕方を基本習わない、むしろ失敗を笑い飛ばし、その場で何もなかったように振る舞うのが通常だが、私は利口なゴブリン、笑い飛ばさずにフォローしようとした。

が、失敗したらしい、高橋さんが悲しそうな笑顔を浮かべた。

「いやさ、小説書くのってどれくらい大変なのかなって思って、試しに書いてみたんだよ。

知り合いに小説を書いているらしい人もいるし、同人作品とかを作る際に二次創作をするひとたちがどれくらい大変なのかを知りたいなって思って……。」

言い訳のように言うが、正直、ゴブリンである私には何が面白いのかがわからない。

本能で生きているため、情緒的なものはとるのが難しいし、むしろ戦闘シーンの方が楽しいまである。

だが、それでもこの小説がもはや小説ではなく論評のような、そういった形式のものであろうことはすぐにわかり、見る人が見ればよい文章なのだろうな……、ということはゴブリンなりの意見でありフォローである。

そんな感じに慰めるのを一般言語で頑張っていたが、高橋さんは首を横に振り、諦めたように作品を片付ける。

「僕にはどうやら作家の素質はなかったという事が分かっただけでもいいか。」

「が、頑張ってください。」

頑張ってくださいをゴブリン語で言ったため、相手には何を言っているのかわからないみたいだ。

だけど、チャーベルはわかったらしく、小さくガッツポーズしながら高橋さんに私が何を言ったかを伝えていた。

いや、伝えなくていいんだけど。


@@@


そんな感じに終わった文化祭、後日家の近くを歩いていたら、たまたまチャーベルが歩いているのを見かけ、思わずかなり後ろからあとをついていってしまう。

そしたら、チャーベルがとある家の前を通りかかった時に、中から一人のゴブリンが出てきた。

そのゴブリンはチャーベルの事を見たと同時に扉をしめようとしたが、チャーベルが拙いながらもゴブリン語を話して引き留めることに成功した模様、そのゴブリンが驚いてチャーベルの方を見た。

その後、聞こえる範囲で聞いていたが、どうやらチャーベルはゴブリン語で何か話していたみたいで、ゴブリンも完全に外へと出て話を聞いている。

そんな風にしていたら、ゴブリンが家の中に入っていき、どうやらチャーベルの思いは届かなかったのだろうかと思ったが、チャーベルは門のところで待っていたから、私も待つことにする。

暫くして、そのゴブリンが何かを持って出てきて、チャーベルに渡していた。

それは、シロツメクサの花輪で、茶色くなってはいるが、ずっと大切にしてきたのだろう、おずおずとそれを渡すのを見て、なるほどと思った。

どうやら、ゴブリン自身はまだ、チャーベルと仲良くなりたかったらしい、それをチャーベルは嬉々として受け取り、頭に乗せていた。

それをそのゴブリンは手を叩いて喜び、二人はその後も楽しそうに話をしていた。

それをみた私は、なんだかホッとして、その場を後にした。


@@@


“自主”夜間中学校、ここは様々な種族が様々な習いたいことを習う場所。

そして、異種族との交流や他の地域の人の事も知ることが出来る場所。

そして私は、プログラミングが出来るゴブリンという特殊な存在。

どんなものにでもなれる可能性がある、どんな人とも仲良くなれる可能性がある、そんな場所だ。


この小説は、とある場所で冊子にして出したものです。

とても好評だったので、こちらの方でも出させていただきます。

夜間中学校のイメージはこれで合っていると思っていただいてもいいかもしれませんが、場所によると思いますので、一概にはこれが正しいとは言えません。

ただ、夜間中学校へのイメージが良くなればと思います。

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