空気デブの謎の行動
夏休みが終わって登校した。
放課後、同級生の友達と二人で帰っていると、蛍を含めた三人の女子が走り寄ってきて、蛍以外が話しかけてきた。
あの団地祭りの時、神妙な顔をした蛍は何だったんだ?
と思うくらい元気な姿だった。
蛍はなぜか発泡スチロールを持っていて、定規かなんかでゴシゴシやりながら、俺らにひたすら発泡スチロールを粉雪状にしてかけてきた。
なかなか、はた迷惑な行動だが、俺は別に嫌でもなかったし、元気になったのならよかったと思った。
話しかけてくるかと思いきや、宅配便のワゴン車を前方の遠くに見つけると、あのキャラクターのどこだかに触れると幸せになれるとか言って、また三人は走って行ってしまった。
俺はなんて天真爛漫な子なんだと思った……。
数日後、俺はいつものように、団地内の駄菓子屋兼ゲームセンターで遊び、帰ろうとした時に、同級生のやたら太った、空気デブといわれてる男子とすれ違った。
俺はこいつが嫌いだった。
単純にいきがってるからだ。
その後に少し離れて二人の女子がいて、一人は蛍だった……。
なぜ、こんな所に?
と思ったが、空気デブに会った事で機嫌が悪くなっていた俺は、素通りしてその場を去った……。
団地内の公園に、巨漢の仁村先輩のグループがいたので、俺は合流した。
先輩達と話していたが、俺はどうにもさっきの蛍達が気になってそわそわしていた。
だが一人で戻るのは嫌だったので、イケメンの高先輩に、何も知らせず
「ファイナルファイトをやりに行きましょうよ」
と誘うと、
「別にいいよ」
と快諾してくれた。
二人でさっきの駄菓子屋兼ゲームセンターに戻った。
俺はてっきり、駄菓子屋コーナーに蛍達がいると思っていたが、いなかった。
というのも、小学生の頃から通い続けているこの店だが、奥のゲームコーナーに女子がいるのを、見た事がなかったからだ。
ゲームコーナーに行ってみると、左奥に三人はいた。
空気デブがゲームをやっていて、後ろで女子二人が、それを立って見ていた。
俺はその光景を見てイラッとした。
別に仲がいいのなら、三人で遊ぶ事自体には、何にも思わなかったが、これじゃあ女子達が可哀想だと思ったからだ。
空気デブがこっちを見た。
俺は後ろに高先輩がいるのを確認して、ツカツカと歩みより
「おまえ、何で高先輩に挨拶しねえんだよ!」
とキレた。
シカトだった。
そのシカトした横顔があまりにムカついたので、横顔を蹴っ飛ばしてやろうと思ったが、蛍達がいるので、さすがにやめた。
先輩を連れてきた上に、中途半端な威嚇だけで終わった自分がダサくてしょげていると、追い討ちをかけるように、高先輩が
「ファイナルファイトやらねえじゃん!」
と言ってきた。
俺はやべえと思って、空気デブを指差して
「なんかあいつのせいで気が乗らなくなったので、お菓子を奢るので戻りましょう」
と言って、俺達は適当に駄菓子を買って元いた公園に戻った……。
今にして思えば、あの店で今まで一度も見た事のなかった空気デブが、なんであの店に来たのだろうか?
小学校が違うので、住んでる地区も離れているのに……。
しかも、女子二人を連れて……。
何か目的はがあったのかもしれない……。
次の日、気が収まらなかった俺は、学校の休み時間に、廊下にいた空気デブをぶん殴った。
「ガン!」
すると、空気デブは立ったまま泣き出した。
なんだ、こいつ、いきがってた割に弱っ!
と思った。
その日の内に、担任の女の先生が俺の所にやってきて
「吉田君(空気デブの事)のご両親は耳が聞こえなくてあの子は大変なのよ……」
と説教してきた。
俺はその事自体には同情したが、今回の件には関係ないと思った。
というか、あんなにいきがってた癖に、弱い上にすぐに先生に告げ口するとは、なんて情けないヤツなんだと思った……。