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底から出てもそこは底  作者: 三頭脳
中学二年生
26/117

誰?

 

 その日は、痩せてきたが、まだ太ってる面影のある親友エバが、キックボクシングを休んだ為、一人でジムに行ってきた。

 一人でも来た事を喜んだのか、それとも二人分なのか知らないが、会長にいつもよりしごかれたので、俺はヘトヘトだった。


 その帰り道、自転車で家に戻っていると、見た事のない二人組が、それぞれの自転車で突然現れた。

 誰?

 俺と同い年くらいのその二人組は、悪そうだったが、ヤンキーではなく、チーマーっぽい格好をしていた。

 一人はなかなか男前の男だったが、もう一人は今まで見た事ないくらい不細工な男だった。

 石南で、俺が、

 こいつ不細工だなあ

 って思ってるヤツよりもさらに不細工だった。

 誰かにボコボコに殴られたような顔をしていた。

 二人は、西中生の同い年だと言って、それぞれ名乗ってきた。

 男前のまさや、不細工のとし、この二人も、一年生の時に会った、やたら老けてる噂の銀林同様、なぜか俺の事を知っていた。

 俺は西中生と聞いて警戒したが、この二人がやたらとフレンドリーな上に、ハイテンション(EXITみたいなノリ)で接して来たのと、ジムで疲れてヘトヘトだったのもあって、勢いに呑まれてしまった。

 そういや!と思って

 「西中生と言えば、スキンヘッドの黒田はどうしてる?」

 と聞いた。

 小学校が一緒だったので、そっちの方が気になったのだ。

 すると、この二人のテンションは急に下がり

 「それがよ……」

 と、どちらともなく口を開いた。

 どうやら、登校拒否になった挙げ句に言語障害者みたいになっちまったらしい。

 俺はそれを聞いてかなりショックだった。マラソンで言う所の、最初にロケットスタートし過ぎてへばってしまった状態だと思った。

 ショックだったのと、場のテンションが下がったので、俺は疲れてたし

 「ジムで疲れたから帰るよ」

 と言って自転車で走り出そうとした。

 本当はもっと色々な事が聞きたかったのだが、実は他にも理由があって、同じ中学の焼きそば頭と太平中の例の二人と俺を入れた四人で、いずれは西中を潰すという計画が出始めていた時だったので、あまり西中生と仲良くしたくなかったのだ。

 「あ、ちょっと待って!」

 と自転車で帰ろうとした俺を、男前のまさやと名乗った男が止めた。

 なんだよ!

 といい加減うざくなってキレそうになった。

 だが

 「これ持ってって」

 と、スナック菓子を渡してきた。

 その笑顔に悪意はなく、

 「お、おお、ありがとう」

 と素直に受け取ってしまった(腹も減ってたし)。

 「それじゃあ」

 と俺が言うと、二人のハイテンションはまた戻っており

 「おー!じゃあねー!また会おうぜー!」

 と、まるで以前から知ってる知り合いのようなノリだった。


 何だったんだ、あいつら、何で俺の事知ってんだ

 自分では慣れ過ぎて忘れているが、俺は金髪だから分かりやすいのだが……。

 

 まさやからもらったスナック菓子をさっそく食べながら、

 それにしても、もう一人のとしってヤツ、不細工だったな

 「クックックッ……」

  思い出して笑ってしまった。


 後にこの二人は、西中のナンバー四と五だと知った。思えば、俺を中心に役者は揃いつつあったのに……。

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