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底から出てもそこは底  作者: 三頭脳
中学二年生
20/117

この時、学習していれば……

 

 団地内の商店街で開催される、秋祭りの日、俺は小太りの親友エバと、二人で行っていたのだが、商店街の真ん中らへんに、ちょっとした広場がある。

 そこの端に、五個くらい、色々な自動販売機があったのだが、そこに同級生の背の高い細身の吉町がいた。

 何やら、お好み焼きかたこ焼きを食っている。


 この男、俺の悪口を言っていたという情報があり、すでに前日に、休み時間中に、こいつのクラスまで赴き、四、五発殴っている。

 だが、気が済んだので、自分の教室に戻ろうと廊下に出た時だった。

「いきなり、何すんだよ、てめえ!」

 と言いながら追いかけてきたのだ。


 それには俺もキレて

「あ?」

 と言って再び殴ろうとしたのだが、周りの女子達に止められたかして、出来なかったのだ。

 今思えば、なかなか根性のあるヤツだったので、仲良くしとけばよかったと思う。


 そんなわけで、ムカついていたこの男を祭りで見かけたので、見逃す手はない。


 俺はかけ寄って行って、思いっきりこの男の腹らへんに前蹴りを入れた。


「ドカッ!」


 当たりどころがよかったのか、少なくとも、三メートルくらい離れたゴミ箱まで吹っ飛んだ。

 俺は細身とはいえ、こんなに吹っ飛ぶとは思ってなかったので、かなりびっくりした。

 一緒にいた親友エバもこれには驚いたらしい。


 吹っ飛んで、ゴミ箱に当たった細身の吉町は、なぜか食べてる途中だった、お好み焼きだか、タコ焼をゴミ箱に捨てた。


 すかさず、近寄ってって、左手で胸ぐらを掴み、右手で殴ろうとすると、


「待ってくれ!俺は何も言ってない!」

「悪口なんか言ってない、太田(俺に情報をくれた男)が勝手に言ったんだ」


 普通なら、こんな戯言は無視して殴るのだが、さっきの前蹴りで吹っ飛ばしたのが、あまりに爽快で気分が良かったので


「…………」


 バッと、胸ぐらを掴んでいた左手を離すと

 「行こうぜ!」

 と小太りのエバに促し、その場を去った。


 後日、俺に情報をくれた、やたら背の高い男子太田に確認したが、確かに吉町の言うとおり太田の勘違いだった。

 だが俺と吉町がもし仲が良かったなら、太田にキレて吉町に謝りに行っただろうが、吉町などどうでもよかったので、謝りには行かなかった。


 吉町が納得出来なければ、勝手に太田からケジメをつければいいだけの事なので。


 それに俺と、このやたらと背の高い太田はゲーマー仲間(格闘ゲームの方)で仲がよかったのだ。


 思えばこの時に、次からはちゃんと確認してからやる、若しくは人の話を鵜呑みにしないと、学習出来ていれば、あんな事にならずに済んだのだろう……。

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