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底から出てもそこは底  作者: 三頭脳
中学一年生まで
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三人の先輩

 

 小学生までは、他の子と同じように生活出来たのに、中学の運動部は激しいからと、生まれつきの心臓病の為、医者から禁止された。

 運動が大好きだった俺はショックだったなんてものではない。

 運動好きの人間から部活を奪われる事は、青春の半分を奪われたと言っても過言ではない。

 運動部に入っていれば未来は変わっていたかもしれない。

 もちろん、俺と同じ環境でも、真面目にやっている人間は沢山いるので、同情の余地はないが、グレた原因の一つには間違いないと思う。


 中学生になると三つ上の兄は卒業して俺とは入れ替わる形になった。


 兄の代の頭の奥歯さんという人は、カリスマ性のある凄い人で、それまでの大石南中は

「後輩いびり」

 という伝統的ないじめがひどかったらしいのだが、

「俺らの代でやめよう」

 と言い出し、後輩をいじめなかったらしい。


 彼が着ていた長ラン(裾が膝下まで長く襟が広い学ラン)と、兄が着ていた極ラン(裾が短い短ランの中でも特に短い学ラン)は有名だったみたいだ。

 もう一人、俺の中では金髪のロン毛でモヒカンだった

「ター」

 と呼ばれる先輩が印象的だが、他にも兄の代には数多くのヤンキーがいた。


 そんな兄達の代を慕った兄達の後輩、つまり俺にとっては先輩のヤンキーが学校に沢山いた。


 中でも一個上の三人の先輩は気合いが入っていた。

 一人目は仁村先輩、身長も高く100キロは超えてるであろう巨体、口数が少なくて周りからは恐れられていたが、俺には優しかった。


 二人目は高先輩、この人は誰から見てもかなりのイケメンで体格的には中肉中背といったところだ。顔だけでなく、性格も一本気でカッコいい。


 三人目は山先輩、小柄だが三人の中では一番行動派でヤンチャだった。

 よくしゃべるし面白いのでムードメーカー的な存在であった。


 先輩達と接していると、あんなになりたくなかったヤンキーに徐々に憧れが出てきた。


 とはいうものの中学一年生の頃はまだ体も小さく親や先生に逆らいきれなかった。

 

 特に学年指導で野獣と呼ばれる恐ろしい男の先生がおり、ヤンキーで有名だった兄の弟という事と、入学して二日目にガムを噛んでて見つかり、学年集会を引き起こした事もあって俺は目をつけられていた。

 野獣はバスケ部の顧問で体格がよく、老けているがまだ三十代前半なので、とても中学生が敵う相手ではなかった。

 

 なので先輩達との接触はもちろん、派手な格好も出来なかった。

 

 オキシドールで茶髪にすると野獣に油性の黒マジックペンで塗られ、髪に整髪料をつけていくと、洗面台で朝シャンと称して洗われた。

 

 せいぜい標準よりほんの少しだけ太いボンタン(幅が広く下にいくにつれて細くなっていく学生服のズボン)を履いて学ランの裏ボタンを規定以外の物をつけるくらいしか出来なかった。

 

 大幅に遅刻したり早退はしょっちゅうだったが学校にいる時はちゃんと授業を受けていたし、塾にはなぜかサボらず通っていた。

 なので勉強は相変わらずそこそこ出来た。

 

 だが中学から習う英語だけは苦手でついていけなくなりつつあった。

 小学生の頃から塾で英語も先行して習っていたのだがどうにも英語だけは好きになれずにいた。


 その塾では教科ごとに成績でクラスわけされていたのだが、英語以外は一番いいクラスだったのに英語だけは最下位のクラスだった……。

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