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プロローグ
私の名前は御倉蒼子。
京都市内の学校に通う17歳。
腰まで届くストレートの黒髪がトレードマークだ。
「蒼子!」
家を出ようとすると元気な声がする。
変声期前のボーイソプラノ。
「遥、おはよう」
私は挨拶する。
遥は隣の家に住む小学五年生だ。
お母さんがイギリス人のハーフで、癖のない栗色の髪をしている。瞳はヘーゼルで光彩はグリーン。
万人が認める美少年である。
「一緒にいこっ!」
遥は私の手をぎゅっと握る。
笑顔がかわいい。
私は子供特有のあたたかな手を感じながら遥の話を聞く。
私は昔から話すのが得意でないので、よく話す遥の存在はありがたい。
「昨日の野球の試合、応援ありがとう!おかげで勝てたよ」
「今日は調理実習があるからクッキーあげるね」
「あ、夜に蒼子の部屋にいっていい?」
ころころ変わる表情。私は楽しい気持ちになりながら時々相づちをうつ。
「部活があるから遅くなるけどいいなら来て」
遥は「やったあ!」と笑う。
屈託ない笑顔につられて私も頬笑む。。
次の瞬間、まばゆい光が私をつつんだ。
私は意識を手放した。