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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第2章 恋愛の訪れ
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クリスマス(~中学 入学前~)

そしてクリスマスがやってくる。

駅に12時に駅で待ち合わせをした。そして一緒にお昼を食べて散歩をする事になっている。

僕は、以前に遅刻したので、早めに家を出て30分前に駅に着いた。


既に駅には大城さんの姿があり、慌てて彼女の所へ走った。

「ごめんね、待った?」

「ううん。本当に今来たとこだよ」

「今日は、私が道を案内するね。」

と大城さんが笑顔で話掛ける。

「うん」

駅を降りるとファミリーレストランがあり、そこへ向かって歩き出す。

ファミリーレストランに入り、昼食を頼みドリンクバーに飲み物を取りに2人で席を立つ。

「岩崎君、このファミレス知ってる?」

「うん。合唱コンクールの後で、お互い両親と一緒に食事を食べた所だよね?、席は遠かったけど、大城さんも家族で食事を食べに来てたのを覚えている。

「岩崎君も知ってたんだ」

「うん」

僕達は飲み物を取り席に座る。


「そういえば、あの時は大河内さんと一緒だったよね?二人で親を置いて店を出て行ったんだよね?」

僕の問いに大城さんの顔色が変わるのが分かった。そして

「うん」とだけ、大城さんは小さい声で答えた。

そして、信じられない言葉を聞く事になる。

「中学の時、沙世ちゃん(大河内)から、岩崎君と付き合っているって聞いていたの。だから私は、岩崎君を遠くから見る事しか出来なかったの」


僕は衝撃を受けるのと同時に、何故そんな嘘を言ったのか不思議だった。

「何で大河内さんは、そんな事を言ったのかな?」

大城さんは口を閉ざした。

空気が重くなるのを感じる。僕は必至に何かを話そうとしたが、言葉が出てこない。

すると、店員が食事を運んで来る。

二人は、食事を口にしたが、僕は何を話せばいいのか考えながら食べたため、食べた気にならなかった。

大城さんが真面目な顔で話始める。

「後で話すね。ごめんね変な空気作っちゃって」

「ううん。話したく無い事、無理に話さなくていいよ。

今、大城さんと一緒に居れるだけで充分だよ。それ以上望んだら神様に怒られちゃうよから、本当に話さなくていいよ。今日は楽しもう」

大城さんは目を潤ませ

「岩崎君、ありがとう。」

本当は聞きたかったが、大城さんの苦しむ顔を見ていると、胸が痛む。

そんな顔をして欲しくないのが本音だった。僕からは大河内さんの事を話すのを止めようと心に誓った。


店を出ると大城さんが

「ねえ中学校に行こう?」

「うん」

二人は中学校に向かって歩き始める。

この日は風が強く、普通でも寒いのに、更に寒さが襲ってくる。

すると、大城さんの手が僕の手を握ってきた。

「今日はクリスマスだから、いいよね?」

と笑顔で僕の方に向かって話しかけてきた。

僕は照れながら「うん」とだけ答えた。

ただ手を繋いでいるだけで、何倍も何倍も暖かい気分になる。

すると、学校の門に辿り着く。

大城さんが僕を見て話し始める。

「私達はここから始まったんだよ」

「うん」


~ 中学校入学前 春休み 大城理佳~


中学校に進級する春休みの出来事である。

福岡の小学校を卒業して、ここ横浜に引っ越してきて5日目の事である。

私は、この町に慣れるため、中学校まで一人で歩いてみる。

中学校の門まで行くと、多少残っている桜を何も考えず眺めていた。


すると、テニスボールが校庭の方から門の方に転がってくる。このまま見過ごすと門を出て道路に転がってしまう。門の所にいた私は、転がってくるボールを道路に出ないように取ろうとしたが、手にとる寸前にボールがイレギュラーバウンドして後ろにそらしてしまう。

恥ずかしさとボールを取らないといけない使命感から、我を忘れてボールを追う、

ボールが道路に転がったが、気づかず道路に足を掛けた瞬間。


男の子の声がした

「あぶない!止まって!」

男の子の言葉に足が止まる。

まだ道路に出ていなかったが、その横をかなりのスピードを上げた外車が横切る。

私は我に返り、声のした方に目を向ける。

そこには小学校低学年の女の子を連れた男の子がいた。

止めてくれた男の子と連れていた女の子が私の無事を確認し、安堵の表情をしていた。そして男の子と目が合い、深々とお辞儀をした。


そして入学式を迎える。

クラスに行き席に座る。辺りを見回すが、勿論、誰も知っている子はいない。ふと横の席の男の子を見ると見覚えのある男の子の姿が目に入る。

この前、学校の門で助けてくれた男の子であった。

私は横の男の子に声を掛けた。

「私、大城理佳。よろしくね」

男の子は、私の声に一瞬驚いた様子を見せ。

「よろしく」

と言って目を逸らす。

私は、この前の事を話そうと更に会話を続けた。

「もしかして、この前中学校の所で助けてくれた・・・」

すると「うん」とだけ言葉を返して、また下を向いてしまった。

〜 〜 〜


大城さんは、僕に向かって話始める

「私は春休みの出来事と中学で隣の席になったことで、運命を感じたんだ。もしかして、あの時から岩崎君の事が好きだったのかも知れない。岩崎君もそうだった?」

「ごめん」

大城さんは怒りながら

「まったく、素直すぎるよ」

そんな会話をしながら、僕の手を引っ張り歩き始める。

歩く方向は中学校の時に大城さんが住んでいたマンションの方に足を運ぶ。

その途中、神社が見えてきた。


大城さんは、

「中学1年の時のお祭り覚えている?」

「うん」

僕は暑いなか妹とかき氷を買うのに並んでいた。もう少しのところで買えるところまできていたのだが、当時、僕をいじめていた3人組が列に入ってきて、僕と妹を列から弾き出された事がある。

たまたま大河内さんと大城さんがかき氷の列に並んでいたので、妹だけ入れてもらった事を思い出す。あれから、妹と2人で出かける事が無くなった事件であった。


「あの時、岩崎君のかき氷も買って、渡そうとしたのに岩崎君、要らないって言うんだもん。あの時は本当に悲しかった。」

「ごめん。まだ3人組が僕の方を見ていたから、受け取れなくて。大城さんからかき氷をもらったら男子達は黙ってないから仕方なく断った。あの時の僕は、ただ平穏の日々を望んでいたのかも知れない。」

「平穏の日々ねえ?」

「僕には本当に大事な事だったんだ」

「私より?」

「その時は多分」

「もう。本当に正直なんだから。でもそうだよね。あの時はいじめが酷かったもんね。」

「うん」

「隣の席だった私が、先生に言おうか?って言ってもいつも岩崎君は「大丈夫」の一点張りだったもんね。」

「うん」

「そうだ、岩崎君が本当に辛いいじめをされた時の「大丈夫」は、普段と違ってたんだよ」

「どんな風に?」

「本当に辛い時は決まって苦笑いをして「大丈夫」って言うんだよ」

「言われてみると、そうかも」

「岩崎君の事なら何でも聞いて」

「うん」

「もしかして、今の岩崎君のギャグ?」

「何で」

「そこは「うん」はおかしいから」


そんな会話をしながら、以前の大城さんの自宅である、マンションに着いた。

マンションのエントランス前にベンチが置いてある。公園と呼ばれるような大きな面積は無いが、ちょっとした広場になっている。

僕たちはベンチに腰掛けた。ベンチは冷たかったが、大城さんといるだけで心が温まる。


大城さんは口を開く

「ここで、朝も沙耶ちゃんと待ち合わせして、学校に行ってたのよ。

中学に入学してから何処に行くのも二人で行って、本当に楽しかった。学校ではクールなイメージがある沙世ちゃんも二人でいる時は、とても甘えん坊で、他人には絶対みせない沙世ちゃんといる事で私も満悦感に浸っていたのかもしれない。


実はね、本当は福岡に戻らない予定だったけど、中学3年の10月に行われた合唱コンクールの日に全てが変わったの。」

大城さんが僕の事を見て、問いかけるように話始める。

「岩崎君、同性の恋愛ってどう思う?」


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