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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第10章 結末
40/43

勝利

二人になり、理佳が口を開く

理佳「俊、LIVEに行かないで傍にいたい」

俊「・・・」

理佳「いいよね?」

俊「理佳、僕に君の歌声を聴かせて・・・・・」ありったけの力で言葉を発する

理佳「俊」

俊「君の歌う所を目に焼き付けて、天国に行きたい。」

理佳「何言ってるの?」

俊「ごめんね。」

理佳の目から涙が零れ落ちる

理佳「あやまらないって約束でしょう。」

理佳「俊・・・」

理佳の声が聞こえない。ただ理佳を見ることしか出来ない。

理佳が何か話しかけているのは、分かるが声が聞こえない。

死ぬ時ってこうなるのか?と思ったその時理佳の声が聞こえた。

理佳「俊、神様へのお願いは自分で使って

   私は大丈夫だから。生きれるようにお願いして・・・・」

何故?理佳が

そこに大河内さんが入ってきた。

「がんに勝てた?」

唐突に話し掛けてきた大河内さんの言葉の意味はすぐに分かった。

そうか、僕はもうすぐ死ぬのか。ミサンガを触りながら

俊「うん、大河内さんありがとう」と一言、返事をする。

(僕は最後まで理佳を愛する事が出来たんだ。)と心の中で呟く。

すると

大河内「明日のLIVEを病院で放送するって大騒ぎだったよ」

理佳が僕に向かって話始める。

理佳「林先生が許可してくれたんだよ」

大河内「それにしても、本当に異例中の異例だよ。」

僕は声が出ず、頷く事しか出来なかった。

しばらく、時間が経ち、大河内さんが立ち上がり、理佳に話しかける。

大河内「じゃあ私は帰るね。理佳は今日も泊まるの?」

理佳「うん。俊とクリスマスイブを楽しむんだ」

と笑顔で答える。

そして大河内さんは、病室を出て行った。

二人になると、理佳は僕に名前を呼び掛ける。

理佳「俊・・・・・・」

そして、またしばらくすると

理佳「俊・・・・・・」

僕が逝ってしまわぬよう、声をかけているのだろう。

理佳の声がする度に、死に対しての怖さより、理佳と居れなくなる寂しさが込み上げる。

理佳の5回目の呼び掛けの時である。

僕は力を振り絞る

俊「理佳・・・・・・・」

その言葉に、理佳は僕の顔に近づき、僕を見つめる。

僕は酸素マスクを右手で外し、両手で理佳を引き寄せる。

僕と理佳の唇は重なりあった。

愛おしい理佳に、全ての愛を込めてキスをしたのであった。

理佳の頬から涙が毀れ落ちる。

時計は0時を超えており、二人が大学1年の時から恋人として過ごした、12月25日であった。


理佳は僕の横に座り、僕の手を握りながら、理佳と病室で一夜を過ごす。

僕は、最後まで理佳の姿を眺める。自然と涙が流れていた。

そしてLIVE当日、ぎりぎりまで病室にいた理佳は、LIVE会場へと足を運んだ。


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