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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第1章 出逢い
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文化祭

中学校の時の感動を思い出していた僕は、この曲をやりたいと心で思うが言葉を発せれなかった。

大城「私も好きだった。」

女性2人の意見に誰も返せない。

高崎「ドラムは目立たないけど、しょうがないか。姫達が推薦するのに断れねえよ」

皆が笑う。

篠里「確かにアレンジ難しいかもね。曲のイメージを残したい曲だよね」

その後も話し合い、ギター、ベース、サックスのソロを作る事となり、各自アレンジして練習で調整する事に決まった。

ミーティングも終わりに近づき、高崎が話し始める。

「ここで簡単にhopeの決まりを作ろう。まずはバンド内の恋愛禁止と、そして喧嘩もダメ、勿論、薬もダメ」

薬もダメと言った時。

「おい、ここは突っ込む所だろ」

その言葉に皆が笑う。

そして月日が流れ、秋「文化祭」

文化祭の演奏順は1年から4年と下級生から演奏が始まる。

1年生の中でも我がhopeは1番、すなわち文化祭のトップバッターである。

軽音サークルのバンドは、ライブハウス等でライブを行っているバンドもあり、特に上級生のバンドはファンもいるほどだ。後半に行くにつれ客数も増えてくるのだ。

大学の門を抜けるとメイン通りとなる大きな道があり、その両側に校舎が建っている。


更に校舎を横目にメイン通りを歩くと、同じように両側に校舎が並ぶ。

この様な配列が続いている。

ステージは校舎と校舎の間にメイン通りに向かって作り、ステージ前に4,50メートル程のスペースがあり、その先がメイン通りとなっている。


そしてhopeのメンバーがステージに立ち、音の調整を始めると何が始まるのだろうとメイン通りを歩いている人がステージの方に歩み寄ってくる。

僕の両親と妹もステージの前にいるのが分かった。

そして、いよいよ時間である。

まずは、アカペラで大城さんが歌い始める。

声量があり透き通る声がスピーカーから響く。スタジオ等のせまい所で聞くのと違い、声が心に突き刺さるような感覚になる。普段聞いている私でさえも思わず鳥肌がたつ。

あの時の中学校の時と同じように・・・

この声を聞き、通りを歩いている人達が、ステージの前に足を向けてくる。

ドラム、キーボード、ベース、ギター、サックスの順で曲に加わっていく。

そして演奏が終わると同時に大きな拍手が響いた。

いつの間にか人も増えていて、アンコールを叫ぶ人、曲を聞いて涙を流す人も数名いた。


その様子を舞台からみて、何とも言えない達成感、感動を覚えた。

そして、短い短い僕達のステージは終わった。

それぞれのステージが終わり、無事文化際が終わった。

初めてづくしで、本当にあっと言う間に時間が過ぎ去った。

そして部室に集まり、部長から「これから打ち上げだ~」と大きな声で叫ぶ

部員達もその言葉に、それぞれが反応する。

まだ私たち高崎を除くメンバーは未成年だが、打ち上げ場所は居酒屋。

生まれて初めてお酒を飲むことになる。父も母もお酒を飲まないので、不安であった。


親が何故飲まないのか、考えた事も無かった。

もしかして、二人ともお酒が弱いのかな?と思い、不安がよぎる。

この不安が現実となった。

居酒屋に入るろバンドメンバーはバラバラに座らされた。

そして部長の短い挨拶と乾杯で始まった。

乾杯はビールでお世辞でも、おいしいとは言えず我慢して飲み干した。

ビールは合わないと思い、飲み放題メニューに書いてあるお酒を選ぶ。

これならと思い「カルピスサワー」をオーダーした。

これが、失敗だったのだと後で気づく。

飲みやすく、何杯かおかわりした記憶はあるが、3杯目以降はまるで覚えていない。

いつ終わったのかさえ分からず、僕の意識は消えていた。

翌朝

太陽の日差しが寝ている僕の顔に当たり、目をうっすら開け、朝である事に気づく。

しばらくして、ここが自分の部屋で無い事に気づく。奥から声がする。

「岩崎起きたか?」聞き覚えのある声がした。

ベースの篠里だ。時計は9:00を刺している。

「ここはどこ?」

「俺のアパートだよ。全くしょうがないな!酒初めてだったの?」

「うん。」

そして信じられない事を聞くのだった。

「居酒屋のトイレで吐いた後、トイレで寝ちゃって皆でトイレから運びだしたんだよ。」


「エッ 本当」恥ずかしい。真っ先に頭の中で大城さんの顔が浮かぶ。

「皆いたの?」

「勿論、まだ1次会だから」

「変な事言ってなかった?」

「変な事は言ってないと思うよ。ライブ最高だった。大城さん最高だった。の繰り返しだったけど、変な事では無いと思うよ。」

ここで疑問が生じた。確か同メンバーはバラバラに座ったはずでは?

篠里も大城さんもかなり遠くに座っていたはず

恐る恐る尋ねた。

「大城さんも近くにいたの?」

「エッ 本当に覚えて無いの?岩崎の横に大城が座ってたよ。てっきり告っているのかと思うぐらい、褒めちぎっていたよ」

女性に馴れ馴れしくしゃべる事など、今までに無かったのに・・・

どんな顔して会ったらいいんだろう。

ただでさえ二日酔いで、まともに考えれないのに、考えがまとまらない。

今日は休みなので、家に帰ってゆっくり考えよう。

我に帰り、家の事を思い出す。そういえば電話もしていない。

ここでは、電話もしづらいので、アパートを出てから電話しよう。

さすがに怒られるかな?

下着のまま寝ていたので、急いで服に着替え始めた。

「もう帰るの?」

「うん。頭が痛いから、今日は家で寝ようと思う。」

「なあ 岩崎、大城の事好きなんだろ?」

あまりにも直球すぎて返答に困る。

「彼女の事、いいなあと思っている。」

「それって、好きだからだろ」

中学校の時、確かに叶わぬ恋心を彼女に寄せていた。

もしかしたら高校の時も彼女の笑顔を心の支えにしていたのかも知れない。

もしかして、その思いを酒の席で・・・・・

僕は蒼ざめた。

二日酔いによるものか、昨日の出来事のせいか、頭で整理出来ない。

「篠里くん、本当にありがとう。俺帰るね」

「岩崎 今度から俺のこと名前で呼んでいいよ。流星でいいからな、同級生に君付けも、おかしいだろ」

普通の人であれば、当たり前の言葉なのだろうが、今までの僕の人生で、その当たり前の言葉を聞いたのは初めてであった。

眼が潤ませながら「ありがとう」と流星に返答をした。

「おいおい 何で泣いているんだよ!何か傷つく事言ったか?」

「ごめん うれしくて」

恥ずかしさに、玄関に歩きながら腕で涙を拭いた。

「じゃあ 帰るね。」

「おう、気をつけて帰れよ」

「分かった」

僕は靴を履き「おじゃましました」と部屋にいる流星に言ってアパートを出た。

アパートを出て、携帯を取り出す。そして携帯の画面を見ると昨夜から10回以上、家から着信履歴が残っていた。僕はすぐに家へ電話を掛ける。1度目のコールで電話が繋がり、父の声が聞こえた。

父が話す前に「昨日は無断で泊まってごめん。」

私が思っていた反応と逆の回答が戻る。

「楽しかったか?」

戸惑いながら

「うん。ただ飲みすぎて途中から覚えていない。流星の家に泊めてもらった。」

すると父は

「二日酔いの薬買って置くから、帰ったら飲んで寝てな。母さんと出掛けるから」

「分かった。ありがとう」

何か拍子抜けだったが、妙に親のやさしさを感じた。

そして、1時間ぐらいかけ、家に着いたのであった。

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