本番前日
12月24日
最後の練習日だったが、とても行ける状況でも、気分でも無い。
ただただ、俊の事が心配である。
練習に行けない事をHOPEのメンバーにLINEを送る。
メンバーから次々とメッセージが送られる。
あれから、俊の眼は開かない。
私は神様にお願いする。
もう一度、もう一度、俊と話したい。
お昼になると、俊の両親、俊の妹が病室に来た。
母「理佳さん眠れたの?」
首を振る
母「ご飯は?」
再度、首を振る
母「理佳さんが倒れちゃうよ?」
「何もやる気もおきず、食欲もわかなくて・・・・」
母「じゃあ私とお昼食べにいきましょう?起きたらお父さんから電話してもらうから」
とても食事を食べる気はおきないのだが、母のやさしさに頷く
父は病室に残り、俊が起きるのを待つことにした。
以前にもきた喫茶店に入り、食事を食べる。
しばらく、話をしてから、母が席を立ちトイレに向う。
私は、トイレに向う母を見送り、気絶したかのように眠ってしまった。
母は、しばらくこのまま時を待つことにした。
その頃病室では、
僕は、薄らと目を開ける。すると父の声がする。
父「おう!起きたか」
俊「・・・・・」言葉が出ない
父「理佳さんは一晩お前の所に寝ずに付き添ってたんだぞ。食事も食べていない様子だったから母さんが食事に連れてったよ」
僕は父の話す言葉に返そうとするが、声にならない」
父は携帯で理佳に連絡をとった。
僕は小さく弱々しい声で言葉を発した。
「おれ、もうダメかも・・・」
父は息子の言葉を聞き、今まで見たこともない怖い表情で強い口調で話し始める。
父「あきらめるな。お前は一人では無いんだぞ。
お前の理佳さんに対する愛情はそれまでか?
理佳さんを悲しめないのでは無いのか?
二度と弱気な事は言うな。理佳さんに失礼だろ!」
父が私に対して真剣に怒ったのは始めてだった。
僕は黙って父の声を聞く
すると、父の表情が怒った顔から笑顔に変わる。
父「泣き言を言うのは俺では無くて、理佳さんだろ」
すると廊下を走る音が近づいてきた。
この足音は理佳の足音である。
「俊!」
俊「ごめんね」
親がいるにも関わらず、
「俊、愛してる」と涙を流す。
父達は一旦帰った。多分、僕達に気を使ったのだろう。
会話という会話が出来ないまま、時が流れる。
すると、HOPEのメンバーが全員そろって病室に入って来た。
一斉に僕の名前を呼ぶ
「俊」
言葉はかろうじて聞けるのだが、声が出ない
僕は力を振り絞り皆に言葉を発する
「披露宴いけそうも無いや。ごめんね」
高崎「今回が最後ではないんだから、早く病気を治しちゃえよ」
「うん」と笑顔を作る。
荒井「そうしたら明日のLIVEを2元中継で結ぶっていうのは、どうかな?この病室とLIVE会場を」
そこへ林先生と中嶋先生がやってきた。
林「2元中継を僕が許可する。」
林先生の言葉にメンバーが固まる。
理佳「院長先生だよ」
皆が驚き、2元中継の許可が正式に通った事に喜ぶ。
「ナースステーションの横に観察室があるから、そこで中継できるように病院のシステム課に言っておくよ。」
しばらくして、HOPEのメンバーは帰っていった。




