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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第8章 LIVE
30/43

曲作り

翌朝

今日で理佳の休暇も終わるため、午前中に僕は実家に行き、午後は買い物に行く予定をしていた。

特に行く時間も決めていなかったので、ゆっくり朝食を食べてから家を出た。

電車に乗り実家の最寄りの駅に降り、家まで歩く。実家が見えると、たいして経っていないのだが、久しぶりに実家へ来た感覚になった。


父は仕事に行っているので、母しか家に居なかったが、リビングで新婚旅行の話等をテレビを見ながら、雑談をした。10時を過ぎると母が理佳に話し掛ける。

「理佳さん、昼ご飯の材料を買いにスーパーに行きましょう。」

俊「あっ俺も行くよ。」

母「俊は待ってなさい。私は子供の奥さんと買い物するのが夢だったんだから。」

理佳「そうよ。お母さん行きましょう。」

そう言って、二人は家を出る。


スーパーは、歩いて5分も経たない所にあり、二人は楽しそうに食材を買った。

そして、スーパーを出て家に向かう。

家が遠くに見えると、母が立ち止まる。

母「理佳さん、大丈夫?俊の病気は進行してるんでしょ」

理佳「私は大丈夫なんですけど、時折、苦しそうな顔をしてる時があるので、俊が心配です。苦しくても私に気を使っているのが分かるので、その時は私も苦しくなります。」

母「ごめんね。理佳さんには、本当に申し訳なくて」

理佳「お母さん、そんな事言わないで下さい。私が選んだ事ですから。後悔はしていないですよ。」

理佳「お母さん、実は一つ相談があります。新婚旅行の時お世話になったお医者さんの事なんですけど」

母「あーあの息子さんが同じ病気だった人ね」

理佳「はい。その先生が緩和病棟の事を私に話して来たんです。私も色々調べて、本当に末期の状態になったら、痛みを取り除いて、最後を迎える方がいいのではと悩んでいます。」

母「理佳さんが出した答えなら、私も協力するわ。」

理佳の目から涙が溢れる

理佳「ごめんなさい。もう泣かないと誓っていたのに、緩和ケアの事は誰にも相談出来なくて・・

治ると思っているのに、本当にすいません」

母も涙ぐむ

母「理佳さんごめんね。これからは何でも相談して」

二人は涙が乾くまで、その場にいた。

5分ほど経ち、涙が乾いたのを確認し、再び家に向かう。


二人で玄関に入る。

俊「やけに遅かったね」

母「スーパーの横の喫茶店で、お茶してたのよ」

俊「何だ、やっぱり俺も行けばよかった。」

3人で笑う。

その後も、昼食を食べながら雑談をした。


午後2時になり家を出た。

二人は駅に向かう途中、雑貨屋が目にはいる。

理佳「ちょっと寄ろうよ」

俊「いいよ」

雑貨屋に入る。

店内は狭かったが、カントリー調の食器等が、所狭しと置かれている。

レジの横には小物が置いてある。

理佳「これ買おう」

理佳はミサンガを手に取る。

ミサンガを置いてある場所に、店員さんが書いたのであろう「願いが叶うミサンガ」と手書きの札が置かれている。

俊「いいよ。買おう」

二人はミサンガを購入して店を出た。

店を出て、早速手首につけた。

理佳「可愛いね」

俊「うん。願いが叶うまで、外してはいけないんだって」

理佳「じゃあ、絶対に外さない」

二人は、夕飯を買い家に帰った。

僕はミサンガに「最後まで幸せでいたい」と願ったのであった。


翌日、理佳は会社に出勤した。

理佳が家を出て間もなく、hopeメンバーのLINEから連絡が入る。

発信は高崎である。

(日曜日、練習入れたので、いつものスタジオに14:00集合

それと、オリジナル曲を一曲ぐらい作りたい。

時間がある岩崎に元になる曲の作成をお願いしたい。(詩含む)

ではよろしく)


LINEを見て驚いたが、確かに家でやる事も無いので、やりがいを感じた。

すると、再度LINEが届く。

メンバーからの了解の通知と高崎から追加の通知であった。

高崎(ちなみに曲は、結婚にふさわしい曲で、お願いします。)


僕もLINEを返す。

(頑張って作ってみます。)

するとメンバーから返信

(よろしくお願いします)


理佳から単独のLINEが入る

(大丈夫?)

俊(うん。頑張ってみる。確かに1人だとやる事が無かったので、この依頼のおかげで、やる事が見つかった感じがした)

理佳(無理しないでね。)

(わかった)


高校の頃、作曲用ソフトを買って、曲を作った事があった。ただ、遊びで作っていたぐらいだが、多分頑張れば作れるかなと思う。

ただ、詩は全く考えた事も書いた事も無い。ましては結婚(恋愛)等なおさらである。

恋愛経験も、理佳との恋愛だけである。

前に買った作曲用ソフトを取りに実家へ行く事にした。

実家に行く間も詩の事を考えてしまう。

「いじめられっ子の気持ち」

「死にゆく私」なら書けるのに

と考えている間に実家に着いた。

どうせなら昼飯を食べようと思いながら、自分の部屋に行き、作曲用ソフトを探し出した。

昼飯までの間も、詩の事ばかり考える。


母「何さっきから考えてるの?」

事情を話すと

母「そんなの理佳さんへの想いを書けばいいのよ。プロでは無いんだから、かっこよく書く事も無いでしょう。」

俊「でもかっこいい表現をしたいよ」

母「自分の想いを書いてから、かっこいい表現に変えて行くのよ」

俊「何か書いた事、あるみたいだね。」

母「昔々ね」

意外だった。だけど確かに母が言う通りだと思った。

サビばかり考えていて、全く整理出来なかった。

そして、昼食を食べて家に帰った。


家に帰ると早速、パソコンにソフトをダウンロードした。

先に歌を考えてから、作曲する事にした。

理佳への想いか

頭の中は愛してるしか浮かばない。

とりあえず、過去の事を思い出して、書いていこう。


中学校、大学時代、社会人、プロポーズ、結婚、新婚旅行等、その時の記憶を辿りノートに書いた。


何個か書いていると、もう17時を過ぎていた。

理佳の職場の終業時間は17:30なので、慌ててノートを押し入れに隠し、ご飯の準備をする。

ご飯の準備と言っても、ただ炊くだけである。

すると携帯が鳴る。

理佳からである。

理佳「今から帰るね。今日は定時で帰れそう」

俊「分かった。気をつけてね。ご飯だけ炊いたよ。」

理佳「ありがとう。じゃあね」

電話が切れた。

理佳の会社から家まで、約1時間なので、詩を書くのは明日にして、テレビを観て待つ事にした。


1時間後理佳が帰って来た。

家に入ると同時に軽いキスをした。

理佳「お惣菜買って来たよ。曲は出来そう?」

俊「今、作詞に戸惑ってる。作曲は以前買った作曲用ソフトを家から持ち出して来たので、多分大丈夫だと思うけど、作詞は・・・」

理佳「ちょっと見せて」

俊「ダメ。後でのお楽しみに」

理佳「じゃあ、楽しみに待ってるね」

そんな会話をしながら、楽しい夜が過ぎた。


翌朝

理佳が出勤して、一人になり作詞活動を始める。

理佳と出会って、結婚するまでの想いを文章にしようと思い、書き始めた。


*******

「君と出会い

君の事が気になった

君と話し

君への愛情が生まれた

君と付き合い

君を守りたいと思った。

君と結婚し

君と人生を歩む事を誓った。


いつまでも

いつまでも君を愛して行きます


すれ違う事があっても

傷つけ合う事があっても

二人で今日を思い出そう

この結婚式を

そして傷ついた心を二人で治そう

より強い心を作るために

より強い愛をそだてるために


いつまでも

いつまでも二人で愛を育てよう


これから先を考えるとどうしても、今の状況が脳裏に浮かび、

死んでも・・・というフレーズが浮かんでしまう。

ハッピーエンドで終われる詩が浮かんでこない。

なんだかんだと時間が過ぎる。

夕方になり、どうしようもなく荒井にメールを送る。


「途中まで書いたので、後をお願い出来ないかな?

どうしてもハッピーエンドにならなくて・・・」

仕事が忙しいのか、返信が来ない。

日曜日の練習までに、取り敢えず曲調だけでも作らなければと思い

今までの内容で曲を作り始めた。


理佳から帰るコールが届く。

ほぼ同時間に荒井からメールが届く。

「明日休みだから、そっちに行くね。」

明日は土曜日なので、何とか間に合う目処がたって、ホッとした。


理佳が帰って来た。

「曲出来た?」

「うん。途中までだけど、大体出来たよ」

「ねえ聞かせて?」

「うん。最初に理佳の感想聞かせて欲しかったから、聞いたら感想教えて」


パソコンから伴奏を流して、俊が歌っている所をiPhoneで録音した曲が流れて来た。


理佳は、曲の出だしが以前二人が語り合った内容であったので、すぐに私達の事だと分かり、涙を流す。

「いい曲だね」と涙を拭いながら話す。

「ただ、この先を考える事が出来なくて、明日、荒井に手伝って貰おうと思うんだ。」

「でも、この曲の最初のサビを繰り返したり、少し曲調を変化させれば、このまま使えるんじゃあ無いかな?」

「うん。ただ、ちょっと短いから、もう少し詩を足そうかなと思う。」

「明日は、私、出勤になっちゃった。ごめんね。」

「しょうがないよ。長期間休んだんだから」

「でも、この曲、俊の気持ちだと思うと、凄い嬉しい。」

理佳は、そう言うと、私に抱きついて来た。

食事もとらず、お風呂にも入らず二人は愛を育んでいた。


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