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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第6章 サプライズ
25/43

祝福

サプライズプロポーズもサプライズ告知も終了した。

スタジオを出て、俊と理佳は婚姻届を出した。

意外と呆気なかったが、今から大城から岩崎に名字が変わった事が大きな大きな変化であり。

結婚した事を実感した。

そして、皆が待つ駅に向かった。


駅に着いたが、まだ誰も着いていないので、改札口で皆を待つ。

待ち合わせ時間から10分程過ぎた頃、朱莉を抜いたメンバーが一緒に現れた。

皆、スーパーのビニール袋を両手に持って来た。

篠里「朱莉は、子供を連れに実家に一回帰ってから、後から来る」

理佳「のぞみちゃん大きくなったかな?久しぶりに会うから楽しみ」


重そうな荷物を持ちながら高崎が話す。「アパートの近くにコンビニある?」

俊「5分くらい歩けばあるよ。」

高崎「了解。飲み物は重いから買って無いから、アパートに行ってから買いたしに行こう」

そう言って、アパートと反対の方向に歩き出し

高崎「さあ行こう」

俊「そっちじゃ無いよ」

皆が笑う。

これから始まる僕達の新居に皆で歩いて行った。


皆で雑談をしながら歩いていると、あっという間にアパートに着いた。僕と理佳が先に入り、みんなをリビングに誘導する。

高崎「もっと、荷物が溢れてると思ったら、綺麗になってるじゃん。」

俊「俺、会社行って無いから、今週片付けてたんだ。」

篠里「辞めたの?」

俊「今月いっぱいで退職する事になってるいるから、有休消化中」

篠里「そうか」

といいながら座る。


荒井は、買ってきた惣菜をキッチンに運ぶ。スーパーで売っている寿司等を冷蔵庫にしまい、大きなオードブルは、そのままリビングのテーブルに置いた。

すると篠里の携帯が鳴り、朱莉からの電話に出る。どうやら朱莉の親が車でここまで送ってくれるらしい。篠里は住所を俊に聞き、朱莉に伝えた。


俊「表札を付けてくるね。」

と言い、前に買ってあった表札を理佳と付けに行く。

何故か皆ついて来て、表札を付けると、高崎が理佳に向かって

「岩崎理佳さん、感想は?」

理佳は返事に困り、顔を赤めて下を向く。


表札を付け終わり、高崎の冷やかしに逃げるように中へ入る。

また、リビングに集まり、今度は荒井がノートパソコンを開く。

そして、hopeのHPを開く。

多くのコメントが入っていたので、コメントを見てみた。


[俊頑張れ][感動した][よく結婚したね]等、祝福の言葉が並ぶ。

中には中傷する内容も、お決まりの様に書かれている。

そんな様々なコメントで、一際目を引くコメントがあった。


【私は結婚して、数日で主人を交通事故で無くしました。私の場合、死別する事等、頭の片隅にもありませんでした。

主人の仕事は朝が早く、翌日遅くまで残業していた私を気遣い、物音を立てぬ様に支度をしていました。

実は、家を出る少し前に起きていたのですが、寝たふりをしてしまった。そして、家を出る直前に私の頬に軽くキスをして出勤したのが最後でした。

確かに普通の人と比べたら、かなり辛いのは分かります。ただ、死を意識しながら悔いを少しでも残さない様に、二人で生きれる事の幸せを噛み締めて過ごして下さい。

頑張って】


このコメントを見て、コメントをしてくれた人には申し訳ないが、考え方が一変した気がした。


外で車のクラクションが鳴った。

外が見える窓から、下を覗くと、朱莉が父親の車から子供と出て来た。

朱莉が窓に向かって問い掛ける。

朱莉「飲み物買った?」

高崎が飲み物を買う事を思い出す。

朱莉「理佳、一緒に買い出しに行こうよ」

朱莉が父親の車のドアを開いて、理佳に向かって話す。

理佳「うん」

朱莉「うちの父親が送迎してくれるから、女同士でいいよ」

と篠里へ話す。


朱莉と希美ちゃんと理佳で車に乗った。

朱莉「理佳、大丈夫?」

理佳「うん、近くなったら分からないけど、今は覚悟した。それにさっきHPで・・」

とHPのコメントの内容を朱莉に伝えた。

朱莉「でも、寂しかったり、辛い事があったら何でも言って、友達なんだから。さっきも言ったけど、私の方が主婦の先輩だから。」

と笑みを浮かべながら、話した。

コンビニに着き、飲み物を選ぶ。希美ちゃんが店の中を走り、人にぶつかる。

朱莉が希美ちゃんの所に駆け寄り

「すいません。希美ダメでしょ走ったら。」と叱る。希美ちゃんは、お構い無く手を払い除け、また走り出す。

朱莉「もう」

理佳がその姿を見て、吹き出す。

朱莉「理佳まで、何笑ってるの」

理佳「なんかいいなと思って、子供がいたら、いつでも笑わせてくれるのかなと思って」

朱莉「子供作るの?」

理佳「うーん、分からない。」

朱莉「そうだよね。病気の事を考えると、難しいよね。」

理佳「私は、一生結婚はしないから俊の子供を産みたいけど、たぶん俊が子供は拒むかな」

朱莉「岩崎は、優しいもんね。」

理佳「うん」

そして、アルコール、ジュースを買い車に戻る。


一方アパートでは

理佳と朱莉が買い出しに行くと

また、ソファーに座って座談会が始まる。

高崎「何か、確かに痩せた気はするけど、元から痩せてたから、そんなに重症には見えないな」

俊「でも、理佳には言っていないけど、この頃、体がだるい時が多くなってきた。それにちょっと頭痛がある。」

篠里「よく結婚したね。両親は、大丈夫だった?」

俊「うん、どっちの両親も賛成してくれて、こんなに早く結婚して、新居まで決めれたのは、両親達のおかげだった。」

篠里「いい両親達だね。」

俊「うん」

ここで、つぶやく様に荒井が喋る。

「子供は?」

高崎「お前よくこの状況で、そんな事聞けるな?」

俊「理佳には内緒だけど、この前、理佳の母親と会って、もし理佳が子供を望んだら、叶えてあげて欲しいとお願いされた。」

篠里「えっ母親が?」

俊「うん」

篠里「大城のお母さん凄いね。」

高崎「何で?」

篠里「岩崎には悪いけど、もし自分の娘が大城の状況だったら、俺は言えない。大城の岩崎に対する想いが親を説得させるぐらい強いんだよ。それを受け入れた親も凄い。」

高崎「そんなもんなのか?」

荒井「そんなもんだよ。」

高崎「荒井に言われると、なんかムカつく。」

4人で笑う。

俊「でも、本当に友達っていいね。こんな重い話が、もう笑い話になって、言って正解だった。」

篠里「こんな早く笑いに変えれたのは、鈍感な高崎がいたからだよ。」

高崎「鈍感は無いだろ。結構考えて話してるの分からない?」

荒井「全然、分からない」

高崎「荒井に言われると、ムカつく。」

また4人で笑った。

こんなに笑ったのは、1ヶ月ぶりだった。本当に仲間の有り難みが身にしみた。


すると車のクラクションが鳴った。

朱莉と理佳が帰って来た。


皆がソファーに集まり、朱莉が買って来たケーキがテーブルに置かれた。

(結婚おめでとう)と書かれたチョコのプレートと(誕生日おめでとう)と書かれたプレートが二つケーキの真ん中に置かれている。

皆で、誕生日ソングを歌って、祝杯をした。

ケーキを一旦しまい、オードブル、寿司がテーブルに並ぶ。宴会が始まった。

高崎「でも、今日は初夜だね。」

と意味ありげな笑みを浮かべる。

高崎「新婚旅行は行かないの?」

理佳「今週は結婚休暇取ったから、調子が良ければ、どっか近場に行きたいね。」

と俊を見て話す。

俊「でも、急に宿取れるのかな」

高崎「何処に行ってみたい?」

俊「のんびり、温泉くらいかな。伊豆あたりかな。伊豆の踊り子号でも乗って行くのもいいな。」

荒井がノートパソコンをカタカタと打ち始める。

荒井「プリンターある?」

俊「うん」

荒井がノートパソコンとプリンターを繋ぐ。

A4用紙をセットして、何枚か用紙が出力された。

紙を見ると、旅行サイトで予約完了の文字が書かれている。

伊豆の結構有名なホテルの名が書かれていて、明日からホテルを2泊(朝、夕食付)ツインで2名と書かれている。

その用紙を俊に渡しながら

「結婚プレゼント」とつぶやく様に喋った。

いきなりのプレゼントに、慌てて

俊「ありがとう」理佳も続いて「ありがとう」と荒井にお礼を言った。

俊「明日、新婚旅行に行く事にしました。」

皆から拍手が湧く。


この後も、暫く飲み食いしながら、いつもの様に昔話が始まり、そして希美ちゃんが飽きてきたと同時に会は終了した。

そして、皆を玄関まで見送り、皆が見えなくなるまで手を振って見送った。


これから二人の生活が始まるのであった。


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