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神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第6章 サプライズ
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新居

アパートの契約が終わり、新居に必要な電化製品、家具等を買いに二人で買い出しに行く事になった。

10時に待ち合わせをして、買い物に行く。

電化製品の専門店、家具・寝具の専門店に行き、直接アパートに運んで貰う大きな物品を買うのが目的であった。

最初に電化製品の専門店に入る、そこでは洗濯機、冷蔵庫、レンジ、掃除機等大きな物を購入した。TVは、それぞれ持っていたが、去年理佳が購入したTVを新居で使う事になった。

電化製品を選ぶだけで12時が過ぎ、昼食をとる。

昼食後は、家具を買いに専門店に向う。そこでは、タンス、カーテン、テーブル、ソファ-等を購入した。

ベッドを買うか迷ったが、場所も無くなるので、ソファーベッドを購入。さすがに疲れたので、喫茶店に入り休息をとる。

椅子に座り携帯を見ると、高崎から個人でLINEが着ていた。

(・KANのプロポーズを次の練習日迄に覚えておく事(歌詞)

・当日は、大城より10分早く来る事

・理由は聞かない事

・大城には、この事を伝えない事

以上」

高崎らしい文章である。

理由を聞かない事と言っても、最初の2項目で、バレバレである。

皆が私達の事を思ってくれる気持ちが、嬉しかった。

理佳「俊、誰から?」

俊「高崎から、サプライズプロポーズの打ち合わせを練習時間の前にするから早く来る様に、と連絡がきた」

理佳「皆、ありがたいね。」

俊「うん。でも理佳には、喋らないでと書いてあるので、内緒だよ。」

店を出て、手で持てる程度の小物を買った後、それぞれが自宅に帰った。

月曜日からは、理佳は会社のため、電話でのやりとりとなる。二人の生活を夢にみながらあっという間に一週間が過ぎた。この間に高崎から宿題を与えられた曲を練習した。高崎が選曲したのか分からないが、私達にピッタリの曲で少々驚いた。

そしてアパート引き渡しの土曜日となる。

先週買った物品は、午後に配達される事となっているため、朝一番で不動産屋に向かう。今日の手伝いに二人の両親が駆けつけてくれる事になっており、不動産屋へは、岩崎家が車で行き、契約書と鍵を貰いアパートへ向かう。

大城家とはアパート前で約束をしていた。大城家も妹も入れ、4人勢揃いで待っていた。

12:00ちょっと前に電化製品を乗せたトラックが着き、品物を運び始めた。

アパートは6世帯の居住となっていて、新居は角部屋である。玄関を入ると短い廊下がまっすぐ伸び、廊下の途中にトイレとお風呂が隣接している。その反対側には、4畳半の洋室があり、短い廊下を過ぎるとLDKの12畳が広がる。

リビングに出てから右にUターンすると和室がある。廊下を横に洋室と和室が隣接している構図となる。

リビングの左側はキッチンがある。

これが、これから始まる二人の城である。

間も無くすると、家具が届く。

食器棚、タンス、ソファー、テーブルが家に運び込まれた。

何も無い時は、広く感じていたリビングも、物が運び込まれると狭く感じる。

物が運び込まれている間、理佳がTVや服等を取りに父親と家に向かう。

エアコンは、取り付けてあるので、これで住める状態となった。

配送されたタイミングも良く、2時間で配送物が整った。

すると、理佳達が帰って来た。

理佳の父親が「ご飯買って来たので、食べましょう」

とコンビニで買って来たおにぎりとお茶を持ち、家にあがる。

皆がリビングに集まり、おにぎりを頬張る。

新居での始めての食事は、両家全員で食べた、おにぎりとなった。

食事を食べた後は、それぞれが持って来た、小物を整理する。

小物を整理するのに、思った以上に時間が掛かり、景色は暗くなっていた。

俊の父「ところでいつ籍を入れるんだ?」

俊「来週の土曜日、理佳の誕生日にしようと思っている。」

理佳の父「住むのはいつから?」

理佳「土曜日から住もうと思う。」

この月曜日から二人で話し合い、日にちを決めていた。

俊の母「俊は食事作れるの?理佳さんは、仕事なんだから貴方が作るのよ。」

俊「ネットで見ながら作るよ。」

理佳の母「無理しないで、理佳に作らせてね。でも、理佳も作れるのかしら?」

理佳「多分」

皆が笑う。幸せを感じる。

俊「お父さん、お母さん、こんな私ですが、絶対に理佳さんを幸せにしてみせます。」

両家の母親が涙を流す。

それぞれの思いは違うだろうが、二人を祝う気持ちと離れていく悲しさが母達に涙を流させたのであった。


岩崎父「じゃあ、そろそろ帰りますか?」

父の言葉で、部屋を片付け始めた。

私が洋室に向かうと理佳の母親が後ろから声を掛けて来た。

「岩崎さん、日中ここに来る事ある?」

俊「はい、明日の昼頃、今日持って来れなかった物を運ぼうと思います。

理佳母「じゃあ、12時頃に駅に来れるかしら?ちょっと、お願い事があるので・・・」

俊「分かりました。12時に駅に行きます。」

理佳母「理佳には内緒にしててね」

と言って、リビングの方へ歩いて行った。

片付けも終わり、それぞれの車に乗り込みアパートを後にした。

それにしても、お願い事って何だろう?

一抹の不安を抱き、家に帰ったのであった。



翌日

理佳の母親と約束した場所へ向かう。駅を降り駅前の約束に着いた。

それから、いくらも待たずに理佳の母親がこっちに向かって歩いて来るのが見えた。

母親の方に向かい歩み寄る、会釈をしながら、母親が話し始める。

「お呼びたてして、ごめんなさい。どうしても話しておきたい事があって」と言いながら歩き出す。

私がこれからアパートに向かうのを知っているので、アパート方面に向かって歩き出す。そして、2,3分歩いたところで立ち止まる。喫茶店の前である。

「ここで、いいかしら?」

私は頷き、理佳の母の後に続き、喫茶店に入る。

店に入ると殆ど客がおらず、奥のテーブルに座る。

食事は?と聞かれたので、昼を食べていなかった私は、サンドウィッチを頼んだ。

待ち兼ねた様に話し始める。

「変な事を話すけど、ごめんなさい。この話は理佳には話していないの。お父さんとは話したんだけど・・・」

店員が母親が頼んだコーヒーをテーブルに置く。

店員が席を離れると、話を続けた。

「もし、理佳が子供を産みたいと望んだら、望みを叶えて欲しいの。貴方が病気の事を思い、子供を拒むのでは無いかと思い、勝手ながら話をしに来ました。」

俊「ありがとうございます。ただ、私が死んでから、子供を育てるのは容易な事では無いので、子供にも理佳にも、つらい人生を与えてしまいます。それに・・・」

話すべきか考える。

理佳母「なんでも言って」

俊「理佳が素敵な人が出来て、結婚を考えた時、離婚歴だけで無く、子持ちとあっては、結婚が出来なくなってしまうのでは無いかと思う。」


理佳母「理佳は、多分このまま結婚しないと思うの。最初は始めての恋愛だからと思って見ていたんだけど、本当に岩崎さんの車を愛している事が伝わってきて、馬鹿な親だけど、理佳が望むのであれば、子供を産ませたいとお父さんと話していた。岩崎さんは、優しいから子供を絶対に拒むと思っていたので、直にあって話をしたかったの。勝手な親で、すいません。」

俊「分かりました。もし理佳さんが望んだら、子作りします。ただ出来なかった時は、すいません。」

理佳母は、笑いながら、

「こればっかしは、しょうがないわよ。」

理佳の両親の優しさが痛いほど、伝わってくる。もし俺みたいな死のカウントダウンを数えている様な男では無かったら、こんな言いづらい事を話すなんて無かったのであろう。

理佳への親の愛情が伝わった。

俊「本当にありがとうございます。理佳さんを幸せにできる様に頑張ります。」

店員がサンドウィッチを持ってテーブルに近づいて来た。そして、テーブルにサンドウィッチを置いた。

その後は、理佳が家事を率先してやっている事等、結婚に向けて頑張っている様子を聞いた。

その話を聞き、理佳への愛おしさが増していったのであった。

そして、店を出て私はアパートへ、理佳の母親は帰って行った。


その日の夜、思いを伝えたくて堪らなくなり、LINEで

「本当に愛してる」

と送った。

直ぐに電話が掛かって来たが、母親と会っていた事は言えないので、はぐらかしたのであった。


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