表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様へのプレゼント  作者: 鈴月桜
第4章 絶望
PR
13/43

望み

面会時間30分前

入院した病院は駅から10分ぐらいの所にある。

駅の改札を出て、母が病院に向かって歩いている。

すると後ろから理佳が母に駆け寄り声を掛ける。

理佳「こんにちは」

母「あら理佳さん」

二人で病院に向かう。

病院のそばにある、喫茶店前で母が止まり、

「まだ面会まで時間が少しあるから、コーヒーでも飲んでいかない?」

理佳「はい」

二人で喫茶店に入る。

母「いきなり誘ってごめんね」

理佳「とんでもないです。誘ってくれて、ありがとうございます。俊さんからは、自慢の母親と聞いていたので、お話したいと思ってました。」

たまらなく、母が涙を流す。

「そんな事言ってたの。」

母「実は理佳さんに話しておかないといけない事があるの」

と前置きを言い、昨日の医師が言った、今回の入院の事、病気の事を細かく伝えた。

理佳の目に涙が溢れる。

「まだ、確定では無いんですよね?昨日も私を一人にしないと約束したばかりだから・・

俊は絶対に約束を守る人・・・」

言葉にならない。

しばらく、その場で泣き続ける。

母「ごめんね。理佳さんには、本当の事を早く伝えた方がいいと思って、私が話すのは間違えかもしれないけど・・・」

「いえ、教えてくれてありがとうございます。俊は、この事を私に伝える事が苦痛になってると思います。」

母「本人の前で泣かない様にしないとと思っているんだけど、出来そうも無いわ。」

涙を拭う。

理佳「私も俊をみたら、我慢出来ないかも」

母「理佳さんは、良かったら行ってあげて、病気に勝つ気持ちをあげれるのは理佳さんだけだから。親の勝手なお願いでごめんね。私は落ち着いてから主人と行くから」

理佳「分かりました。本人の前で泣かない様に頑張ります。まだ確定した訳では無いので」

しばらくして、二人で喫茶店を出る。

喫茶店を出た所で別れた。

面会時間の3時は、既に過ぎていたが、泣いた跡を消すため、トイレに入り化粧を塗り直す。

トイレを出てエレベーターに乗る。

病室の前に着く。

泣かないよう、自分に活を入れて病室に入る。

「俊。来ちゃった。」

とベッドに向かう。

俊は背中を向け座っている。

ノートパソコンを見ているようであった。

背中から覗き込む様に顔も見る。

俊はタオルを目の上に当て、動かない。涙を見せない様に必死にタオルで顔を隠していた。

この姿を見て、理佳も涙が溢れ出す。俊の背中に顔を埋める。

理佳「俊、何も言わなくてもいいよ。一緒に頑張ろう。絶対大丈夫だから」

俊「理佳ごめん」

理佳「まだ分かんないでしょ。変な事言わないで」

背中に顔を埋めたまま、しばらく泣き続ける。

どれくらい経ったのだろう。

少し落ち着き理佳が話し始める。

「さっき、お母さんから全部聞いちゃった。絶対大丈夫だよ。」

タオルを目から離し

「うん」

とだけ言葉を返す。

病室のTVに電源を入れ、会話も無くTVを見る。

内容等、全然分からず何かが動いているとしか感じない。

俊が重い口を開く

「さっき理佳が言った様に、なんか自分でも重症って感じがしないんだ。きっと、検査の結果、命には別条無いと言われるのでは無いかと、思っている。」

理佳「そうだよ。絶対に大丈夫だよ。」

「怒らないで聞いてね。死ぬのは怖くないんだ。ただ、理佳と別れるのが死ぬより辛い。」


理佳「縁起でもない事言わないで」

俊「怒らないでって言ったじゃん」

理佳「だって・・・」

俊「不安がっても、しょうがないから、この一週間病気を忘れよう。会社にも行かないとクビになっちゃう」

理佳「会社は休んだら」

俊「やっぱり、そうしようかな」

と笑いながら話す。

二人は病室を出て、病院のすぐ外にあるベンチに座る。

外に出ると気持ちのモヤモヤが、いくらか晴れる。

会話の無い時間も多かったが、理佳と居ると気持ちが落ち着く。

俊「じゃあ、病室に戻るね。」

理佳「じゃあ、私は帰るね。」

俊「分かった。気をつけて帰るんだよ。」

帰り間際、理佳が近づいて、私の頬に軽くキスをした。

「じゃあね。」

と手を振り、帰って行った。

そして、翌日、胸の造影CTを行い退院した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ