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「第一王子にも困ったものじゃの」

 

「まさか着いた次の日の早朝に出立させられるとは」

 

「老体には応えるわ」

 

「王も王じゃな。まさか皇帝の前で親子喧嘩をするとは思わなんだな」

 

「あのときに第一王子は再度イヴェンヌが婚約者ではないと宣言するとは、いやはや王としての資質を疑ってはいたが盆暗にもほどがありましたな」

 

「皇帝が認めて司教からの宣誓までされては覆すことはできまい」

 

「これでルシャエント様の次期王は無くなったな」

 

「適当に煽てて育てたのが間違っておったようじゃのう。子育てとは思うようにいかぬもんだ」

 

「フィリョン様とオーギュスタ様を後継として準備した方が良いな」

 

「有力なのはオーギュスタ様であるな」

 

「うむ、フィリョン様は聡くていらっしゃるからな」

 

「聡い王は扱いづらいからいらん」

 

「王は適度に馬鹿であるのが良い」

 

「王妃もだが浪費は駄目だ」

 

「それならばイヴェンヌ嬢をオーギュスタ様の婚約者として発表してはどうかな?」

 

「新しい令嬢に王妃教育をしていては手間も時間もかかるからのぅ」

 

「ルシャエント様との婚姻ができなくなっただけのこと」

 

「まだまだ打つ手はあるて」

 

「さよう。こうなると帝国と縁続きのイヴェンヌが王妃ならば今回の失態もうやむやにできる」

 

「ついでに王妃は公務以外で後宮を出てはいけないとしておけば良い」

 

「そうと決まれば一刻も早く帰らねばならぬな。教会に申請をしてしまえばこちらのもの」

 

「しかし、待て。たしか婚約破棄が成立してから一年間は次の婚約を結べぬぞ」

 

「なら何故、ルシャエント様が次の婚約ができた」

 

「女性は婚約破棄後に神に仕えることで身を綺麗にして次の婚約を迎えることになる」

 

「ええい面倒な」

 

「しかも王家からの契約扱いであったからな。国民への説明も必要か」

 

「なら一年後にすぐに婚約ができるように手配をするべきだな」

 

「あとはオーギュスタ様に約定を取り付けることだな」

 

「王族の義務であるとでも言って丸め込んでおけばよかろう」

 

「同時にフィリョン様の婚約者も探しておこう。跡継ぎがいなくなれば王家の衰退は必須。二人に探しておけば不公平ではなかろう」

 

「あとは準備だな」

 

「わしらの縁者の中に年頃の娘がおれば順番に見合いをさせよう。無理に婚約させて破棄でもされては元の木阿弥じゃからな」

 

「このさい貴族であれば良いとするか。年頃なら婚約者がすでにおるかもしれぬ」

 

「王家が別れさせたというのも体裁が悪いからな」

 

「途中で泊まっていては時間が勿体ない。最速で戻れるように早馬を用意させよう」

 

「王と王妃は庶民の宿をお気に召さなかったからな。早く王城に帰るとなれば喜んでくださるだろう」

 

「ちょっと待て・・・・・・・・・・・・・・何!ならん、ならん」

 

「どうした?」

 

「帝国を謀ろうとしたことで開戦しても良いか?という伝言がきた」

 

「ならん、ならん!開戦などになってみろ!あっという間に負けるわ」

 

「明日の日の出とともに出立するのなら考えると言っておる」

 

「ちょうど良い。どうせ明日には出立する」

 

「まったく皇帝からも圧力がかかったが、マセフィーヌ嬢からも圧力がかかった」

 

「帝国はどいつもこいつも戦好きであるからな」

 

「そんな野蛮な血を王国に入れずに済んで良かったと考えよう」

 

「そうだの。イヴェンヌ嬢は立場さえあれば良いからの。子を産めぬようにしておけば良かろう」

 

「これ以上、問題を起こしてくれるなよ」

 

「それを考えると先代王は自国では好きなようにしていたが他国では問題を起こさなかったからのう」

 

「確かにその分は楽でしたな」

 

「今の王も愛人問題がないのは美徳ではあるが王妃との間に子が一人というのが難点であったな」


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