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玉座には機嫌の悪いジョゼフィッチが結論だけを述べる。

 

先ほどまで賑わっていた謁見の間だが今は寒々しい。

 

集まっていた貴族たちは家族への土産話に花を咲かせていた。

 

一週間以内には帝国全土に広まっていることだろう。

 

「・・・明日にはこちらを出立してもらう」

 

「わ、我らは誠意を見せた」

 

「誠意?謁見の間で貴国の第一王子の婚約破棄を見ることか?第一王子の不貞による懐妊を知ることか?」

 

「それは第一王子が勝手にしたことであるから国の総意ではない」

 

「ならば何故にパレードに同席させた。あのような問題を引き起こすことが分からなかった貴殿の能力を疑うが。我は何か間違っているか?」

 

お茶会よりも皇帝に会うことの方が重要だと王と王妃は判断できた。

 

失態を犯していながらお茶会を開こうとする神経が王と王妃には理解ができなかった。

 

反省を示し謝罪をして今までの振る舞いを悔いるために呼ぶのならともかく楽しむだけなどあり得なかった。

 

それでも呼びつけるなどということはしない。

 

自分たちから赴くものだ。

 

「それに貴殿の息子である第一王子は庭にある花を勝手に手折ったそうだ」

 

「それは」

 

「庭の花が綺麗で部屋に飾りたいと思うことは問題ではないが、勝手に手折るということは第一王子が帝国を蹂躙するという意図があると受け取っても構わないか?」

 

「そのようなことは」

 

「第一王子の婚約者である娘は咲き誇る花々をわざわざ靴の底で踏み潰していたそうだ」

 

ひとつひとつ失態を明らかにして謝罪を求めているわけではない。

 

一刻も早く王国へ戻ってもらうことが目的だ。

 

何をしても帝国に喧嘩を売るのなら気の済むまで売ってくれて構わない。

 

「王国は無礼な振る舞いをするために帝国を訪れたのであろうか」

 

「誠意を見せるために」

 

「誠意?何も感じられぬが、それが王国の誠意ならば我らとは相容れないものであると考えねばなるまい」

 

皇帝を怒らせていることは嫌でも理解するが謁見の間で話していたのはマセフィーヌだ。

 

なぜ皇帝がマセフィーヌの対応を咎めなかったのかが不思議だった。

 

いかに妹だとしても他国に嫁いだ以上は他人になる。

 

「我が愚息が花を手折ったことは如何様にも謝罪を述べさせていただく」

 

「わたくしからも述べさせていただきますわ」

 

「ん?」

 

謝罪をするというが意思があるだけで言葉はない。

 

王と王妃という立場から自国の者への謝罪ならばこれで事足りるが相手は格上の帝国である。

 

謝罪というにはあまりにも軽すぎた。

 

「いくら実妹であるからと雖も他国の王妃に好きなようにさせることを許されるとは皇帝ともあろう方が落ちたものだ」

 

「マセフィーヌのことか?あれは他国の妃であるが帝国の友好国であるからな。帝国のために動くことが何か問題か」

 

皇帝の失敗を見つけたと思い指摘したが簡単に論破された。

 

何も言わずに立ち去るのが最善だったが王はここでも間違った。

 

「もう一度だけ言おう。明日の日の出と共に出立するのならば子どものしたことは不問にしよう」

 

王はかろうじて御意の意を示すことができたが隣にいた王妃はまた気を失っていた。

 

護衛の騎士が担架を用意し部屋まで運んだ。

 

王は第一王子を監視するためにお茶会をしている部屋に向かった。

 

王妃は侍女に預けられた。


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