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兵に両脇を固められて謹慎の間に送られた。


「お帰りなさい。お義父様とお義母様は何とおっしゃったの?」


「帝国に向かうことになった」


「帝国に?どうして?」


「ベラが王妃として相応しいということを帝国に示すことになった」


王が婚約者としてイヴェンヌを認めてしまった場にベラもいたから納得はいかないが命令となれば逆らえない。


王命に逆らえば反逆罪で捕まることは、ベラとて理解している。


「イヴェンヌが帝国の縁者だから体裁を保つために必要なことなんだ。理解してくれ」


「えぇもちろんよ。イヴェンヌ様が一言帝国に言ってくれたら良いのにね」


「イヴェンヌは変にプライドが高いからな。自分から王妃の器ではないと言うことはないだろう」


イヴェンヌほど王妃の器を持つものはいないと断言できる。


王国に王妃が務まる令嬢はいない。


それも第一王子のお守りをしながらになるとイヴェンヌほどの適任はいない。


「イヴェンヌには自分の無能さというものを理解させなければいけない。それにはベラが帝国で王妃としての器を見せる必要がある」


「お義母様も低い身分から王妃になれたのだもの。私もきっとできるわ」


そもそもの身分として庶民と貴族では大きな隔たりがある。


貴族の中で伯爵家が低い身分であることは事実だが庶民の娘に侮られるほど低くはない。


ルシャエントはその点に気づくことなくベラをただ励ます。


「ベラ、苦労をかけるが一緒に乗り越えてくれるか?」


「もちろんよ」


二人の頭の中には王と王妃になり、国民に祝福されている姿しかない。


王と王妃宛の手紙には帝国への礼儀を果たしたく日々邁進するというような旨のことを書き綴った。


それを読んだ王と王妃は王族としての役目を自覚したと判断し、食事や身の回りのことを通常と同じにした。


ベラに至っては実家に戻そうとしたが、本人の希望によって後宮内で王妃としての心構えを学ぶことを望んだ。


このことで王と王妃はますます見誤った。


後宮には王妃とドラノラーマしかいない。


ドラノラーマは帝国に行ってしまっているから王妃だけだが、王妃は煩い側妃がいなくなり己が春を堪能していた。


つまりはベラだけになっていた。


本来は王以外の男性は立ち入れないが、中に王の伴侶がいないためルシャエントの出入りが黙認されていた。


「やはりベラは淡いドレスがよく似合う。イヴェンヌでは着こなせない色だな」


「そうね。あまり見ていないけど紺色のドレスは良く似合っていらしたもの」


「そうだったか?それよりもベラのドレスを用意しなければいけないな。王妃となる者が黒のドレスを着ていないのは問題だからな」


「それは結婚式まで取っておくわ。だから忘れられないようなドレスにしてね」


「ベラは慎み深いな。僕は伴侶として迎えられて幸せだ」


「私もルーシャ様のように庶民のことを考えてくれる器の大きい男性の妻になれて幸せよ」


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