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「それでは皇帝陛下は皇太后さまのお子ではいらっしゃらないのですか?」


「いや、父も叔母もアーマイト皇太后の子だ。本来なら血筋の関係で継承権は無いのだがマジョルード先帝が側室との間に子どもを作らなかったことから仕方なくだそうだ」


「本当にアーマイト皇太后さまを皇族にお迎えした意味がますます分かりませんわね。そんな大切なお話をわたくしに聞かせてもよろしいのですか?」


「イヴェンヌ嬢は皇族の傍系とはいえ血を引いているし、他国に情報を売ってしまうような人物とは思えないからな」


ドラノラーマの教育を受けたのなら国の弱みとなることを漏洩することの危険性を理解している。


王国にいたときに軟禁をされていたにも関わらずイヴェンヌはもちろんのこと両親も黙っていたことから分かる。


昼間にイヴェンヌが自分のことを話したお返しにではないがヒュードリックも自分の立場というものを話しておこうと考えた。


「信用していただいて有り難うございます」


「あとは、帝国への滞在期間が短くても長くても皇太后との関わりは避けて通れない鬼門だ」


「あまりお好きではいらっしゃらないようですわね」


「そうだな。貴族として次期皇帝としての教育を受けるほど皇太后の振る舞いに嫌悪してしまったからな」


本当に嫌になり鬼のようにマナーを身に着けたのがマセフィーヌだ。


エルビエーヌは早々に求婚を受けて降嫁した。


アーマイトの相手をマーロが率先して引き受けていたから気にしていないのがドラノラーマだ。


「それに男爵家と言っても税収の少ない領地の出身で、十五番目の娘で下にあと三人兄弟がいて貴族教育というものを受けて来なかったというのも問題だ」


「いち貴族が持つ子どもの数からは常識的ではありませんわね」


「暮らしぶりは庶民と変わらないようで物の考え方は為政者のそれとは大きくかけ離れている」


「アーマイト皇太后さまをご推挙された貴族の方は皇家の失態を目論んでいたのかもしれませんわね」


「それなら当てが外れたな。今も皇家は存続している」


「先帝陛下から皇族の方々が正当な判断をされる方だったということですわね」


庶民のような振る舞いをしていてもそれを御せる力と能力があったから帝国は君臨している。


それができないのが王国というだけのことだ。


王妃は伯爵家令嬢という中途半端に権力を持っているから余計に面倒なことになった。


「そこで話を戻すが、皇太后が修道院に入るというのは、皇族法典による決まり事だからだ」


「皇族法典?」


「あぁ、皇族にのみ適用される法律で、そこには伴侶となった者の扱いについても書かれている。愛人もしくは愛妾の立場の者は六十歳を基準に以後は修道院にて余生を過ごすこと、となる」


「まぁそれで来年ということですのね」


「皇太后は今年で六十歳、来年には修道院に入ることになる」


皇妃や側室には余生は後宮で過ごすことが認められているが、愛人や愛妾は伴侶の寵愛を受けるか、伴侶を慰める役割のため必要がなくなれば離縁となる。


それでも年老いた者を実家に帰すことはできないから修道院預かりとなるのだ。


なぜ修道院なのかというと国にとって重要な機密を知っている可能性があり、それを外に洩らさないための措置だ。


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