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「それと気になることがございまして、カレンデュラ公爵家の夫人と令嬢が夜も明けぬうちに帝国に向かったという報告が上がってございます」


「何?子細に話せ」


「婚約発表パーティ終焉後、夜が明けぬうちに辻馬車が国境を越えたと関所の門兵が申しており、帝国に急ぎ伝える必要があるということで門兵は通したということです」


「なぜ、門兵は通した。許可証を持っていないだろう」


「夫人は帝国の貴族でありますこととその娘であり、今回の婚約発表についての釈明をするためと言われ、国の一大事と考え、通したということであります」


「そのような無能な門兵の首は切っておしまいなさい。側妃だけでなく、たかが公爵夫人と令嬢の独断を許すとは王家が舐められたも同然です。すぐに王国に戻るように伝達なさい」


「そう気を立てずとも、帝国に縁のある者が弁明に向かうのだ。何も問題ない。先を急いだのも王国のことを思ってこそ。我らが出来ることは待つのみ。腹が減っていても待てぬからな。料理長に伝えよ。昼食には精の付くものを用意しろ、と」


朝食が終われば昼食の準備になる。


昼も近い時間で昼食の内容の変更を命令されれば厨房はさらに戦場になる。


それを諫めるための宰相などが同席していなかったことが問題だろう。


王はイヴェンヌを変わらずに婚約者に据えているから問題ないと思い込んでいる。


第一王子が庶民の娘に現を抜かしているのは王族の甲斐性だと思い、帝国も理解していると甘い考えだ。


王の中では問題は解決しているから昼食のことにしか意識は向いていない。


「良いですわね。わたくし朝食が多いと思っていましたけど、王が召し上がるのなら食べますわ」


「王妃には次の子を産んでもらわなければならないからな」


「まぁ!次は男子と女子の双子が良いですわね。わたくし着せ替え遊びを子どもとするのが夢なのです」


「そうか。王妃の夢の一つや二つくらい叶えてやらねばならんな」


自分たちの子が次期王であれば良いのだから今から弟を生み、成人するまでの間はルシャエントで繋ぐのも良いかもしれないとお目出度い頭で考えていた。


「ルシャエントの婚約発表でお招き出来なかった友人たちとお茶会がしたいわ。お菓子も準備させてちょうだい」


「公務のことは忘れて楽しむと良い」


すべての予定が変更になり、時間までに間に合わせようと普段は使用人の食事を作っている者まで駆り出された。


王妃付きの侍女は友人たちにお茶会の知らせを送り、王妃のドレスを用意する。


急ごしらえのお菓子で焼き菓子を用意していた厨房は、王妃付きの侍女からクリームを使ったお菓子に変更するようにと伝達を受けて戦場はますます過激になった。


お茶会用に作ったお菓子で余ったものは侍女たちに下賜されることが多い。


いつも余分に作らせるのは王妃付きの侍女だ。


このせいで第一王子たちの食事が忘れられていた。


使用人たちも休憩することができず昼食は随分とあとになった。



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