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◇10 魔力鍛錬実路 そしてランクEの依頼

ダンジョンでのユニーク討伐から三日たった。

この三日間は大したことはしていない。森に潜って鹿を狩ったくらいだ。で、昨日ラルフからの提案でぱっぱとランクを上げることになった。うん、確かにEランクのままだと格好がつかない。


今、俺は日課にしようと決めた、魔力の鍛錬を行っている。方法は簡単。体内の魔力を感じ、それを一点に集める。その集める魔力を少しずつ大きくするんだ。最大まで魔力を集めた、と感じた後も魔力を集めるイメージを続ける。

どうやら俺は、ゲームでいうとMPが三十ある状態で三ぐらいしか一発に込めることができていないらしい。

なるほど、と思った。

ブラントさんは俺の魔法の形を見て驚愕し、威力をみて不思議に思った。

そしてたどり着いたのが込める魔力が少ない、ということなんだろう。ちなみに魔力の総量は、筋肉と同じように、使えば使うほど増える。俺の魔力の総量も多少増えている実感がある。


俺が三ぐらいの力で、ラルフが驚く大きさの火球を出せたのはイメージによるものらしい。

魔法はイメージ次第で強さが大きく変化する。一昨日だったか、森に行ったときにマッチのイメージだけで火球を出してみたが、すぐに風に当てられ消えてしまった。


それと、雷の魔法で、常に魔力を流し続けないといけないのは、断線した回路のイメージが出来上がってるからだろうな。魔力を流すことで放電するが、放った電気はすぐに失われる。

逆に火は着火さえできれば酸素の消費で燃え続ける。そういうイメージが出来上がっているから、維持するのに魔力を使うことはない。

うん、難しいな。ほかの魔法使いはどんなイメージをしているんだろう?


魔力鍛錬が終わった。この鍛錬をはじめてから、大体五くらいは込められるようになったかな?


今は朝の六時頃。五時ごろに起きたので一時間鍛錬をしていたことになる。魔力を腕に集めるだけだから魔力の消費はない。肉体的疲労はないが、集中しなければならないため、精神的に疲れる。

いつの間にか流れていた汗を、そばにあったタオルで拭く。何枚かラルフに借りていたんだが、借りっぱなしもダメだろう、ということで買った物だ。あまり肌触りはよくない。


外もある程度明るくなってきたので、ラルフを起こしに行く。起こしに行くといってもすでに起きていることがほとんどだが。

いつもの冒険用の服に着替えて部屋を出る。ラルフの部屋についたのでノックをした。


「ギルだ。起きてるか?」


扉が開く。既に着替え終わったラルフが出てきた。少し汗を掻いている。外で型の練習でもしてたんだろうか?


「おはよう、ギル。食堂に行くか」


「ああ」


挨拶を交わし、階段を降り、食堂に向かう。

今日の朝飯はパンとスープと腸詰だった。うん、いつも通りだ。バリエーションが少ないのは、調味料もなく、料理が発展していないからだろう。まあ、不味くはないから俺は満足してる。


「で、ラルフ。今日はどうするんだ?」


俺はラルフに問う。昨日に少し話しておいたが、一応確認だ。


「昨晩も話した通り、とりあえずランクを上げよう。ギルドで依頼もたくさん出てるだろ」


ラルフは口に腸詰を放り込んだまま話した。口を手で覆ってから喋っていたため、汚くはない。

割とこういう配慮ができるんだよな。こいつは。

ラルフはいい奴で、細かい気遣いもできるが、好奇心が旺盛で、お調子者だ。そして、軽い。

鹿を逃がしてしまったときは


「あはは、すまんすまん、手元が狂ったわ」


綺麗に仕留めたときは


「ふふーん、どうだオレのテクニックは」


森で迷ったときは根拠もなしに


「こっちだな。オレの狩猟民族としての勘だ」


とか言ったりする。ちなみにラルフがさした真逆の方向に進んだらちゃんとエーオスの街方面に出ることができた。

こういうやつだが、日もたつにつれ、お互い打ち解けてきている。



朝食を摂り終わので、俺らはギルドに向かっている。

そこで俺は視界にちらっと映ったものを見逃さなかった。


猫耳だっ……!!


「おい、ラルフ。あの猫耳なんだ?あれは飾りとかじゃないよな?だとしたら獣人とかか!?」


「お?おお。獣人だな。この街にはあまりいないらしいな。オレも見るのは初めてだ」


俺の質問の嵐にラルフは少し引き気味に答えた。だが、そんなことは気にしない。

猫耳!獣人!異世界にはいたんだ!

俺が見ている猫耳の獣人は、身長百五十センチくらいの美少女だった。うん、かわいい。というか耳モフモフしてみたい。

そんなことを考えているとギルドについた。女の子はギルドの前の角を左に曲がってしまった。

すこし残念だったが、これから冒険者を続けて行くうちに、また獣人と会うことはあるだろう。

その時にはぜひモフモフさせてもらおう。


ギルドの中に入った。

依頼板をみると、ランクEの依頼は三つあった。どれどれ……


実験の助手求む

ランク:E

報 酬:銀貨六枚

内 容:魔物が暴走した際の処理


毒消し草の採取

ランク:E

報 酬:一束大銅貨三枚 ※五本一束とする

内 容:毒消し草の採取


コボルトの討伐

ランク:E

報 酬:銀貨三枚

内 容:南の洞窟に住み着いたコボルトの討伐

備 考:報告によると五体 五体以上だった場合追加報酬


毒消し草はランクFのゴブリン、薬草と同じような常時依頼だな。

実験の助手求む……?内容、魔物が暴走した際の処理って……ものすごく怪しい。

コボルトの討伐は現実的だな。五体くらいなら俺らでも行けそうだ。

ちなみにコボルトは人型の犬に近い。戦闘能力はゴブリンとたいして変わらない。


うーん……どれにしようか。


「おい、ギル。実験ってなんだろうな?」


「さぁ……でもろくなのじゃないだろ。関わらないほうがいいと思うぞ?」


ラルフはとても実験に興味があるらしい。本人は隠しているらしいが、俺にはこの依頼が気になってたまらないというようにしか見えない。


「ほら、でも一番報酬がいいぞ?しかも魔物が暴走しなければ、なにもしなくても金が入ってくるってことだろ?」


確かに報酬がいいことは事実だ。それに、ラルフは別に働きたくないわけではない。つまり、後半の部分は単に依頼を受けたいだけなのだ。


「はぁ……仕方ないな。この依頼を受けるか」


「よし!そうこなくっちゃな!さっそく受注してくる。ここで待っててくれ」


まぁランクEの依頼だし、そんなに危ないことじゃないだろう。ギルドも通してあるし。


とりあえずサクッと解決しますか。


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