表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/7

第五話 中編

最初の謎は簡単に。

次は……


発掘作業は、毎日のように続けられた。

そして、毎日のように新しい発見や発掘物が出てくる。


「ねえ、教授。いい加減、僕にも発掘物を見せてくださいよ。それとも、もう一ヶ月半以上も一緒に行動してても、まだ部外者扱いですか?」


そう、僕は、いい加減、頭にきてた。

僕が掘った箇所を、教授たちで詳細に調べ直すんだが、その時に小さなものが大量に出るようだ。

僕が掘ったものなんだ、見たいと思うのは人情だろ?

それを、リーダーである教授が禁止しやがった……理由?


「楠見くんは、荒唐無稽の塊であるオーパーツに関心があるようだから、その前提条件で見られると、おかしな方面に解釈される恐れがあるもんでね」


だと。

この一言で、僕への発掘物公開は禁止とされてしまった……僕が一目見て幼稚な感想言ったとか馬鹿にしたとかならともかく、まだ何も見てないうちから決めつけないで欲しい!


まあ、僕は考古学を大学で正規に学んだわけじゃないので、部外者と言われればそれまでだけど。

で、不満はあったが、作業するだけで我慢はしてた……今までは。

で、さっきの一言になるわけだ。


「お?そうか。楠見くんとも、もう一ヶ月半以上の付き合いになるわけか。いや、すまんすまん。発掘物の研究に夢中になって、君の目に触れさせても良いというのを、すっかり忘れておった。まあ、これほど長く一緒に作業しておるんだ、もう全てを見せてもよいだろう」


あ……このぉ、ボケ老人が!忘れとっただとぉ?!

とは思ったが、一応、今現在の雇い主。暴言は口の中で噛み殺しましたよ、ええ。

不満なんぞありません!


それから、正式に僕の発掘品閲覧許可が出た。

はい、全て見させていただきましたとも……

でも、一言……なんじゃこりゃ?

教授の部下に当たる発掘調査員の説明によると……


「これ、現代人の目から見て、普通に何だと思います?」


僕の感想を正直に言う……


「ICか、LSIの破片としか思えないんですけど。ただ、このへんの地質って、海底が隆起したものですよね。その年代から見ると……一千万年どころの話じゃないと……」


発掘調査員は言う。


「まあ、トンデモ学説では、そうでしょうね。ただし、この事実を教えられると、いかがでしょうか?昔、中華エリアが中国と言われていた頃の話ですが、中国では物のリサイクルにもコストパフォーマンスの度合いによって違いがあったという。そしてゴミの海洋投棄も盛んだったと言われます……当時の宣伝省は否定しますが、その時代には公害が大発生していて、水も大気も汚染物質だらけだったという……」


は、はーん……事実が分かってきたぞ。

今のような、ゴミリサイクルの概念が全地球、全火星で徹底してない時代には、大量の工業廃棄物を隠れて海洋投棄してた奴らがいるわけだ。

普通なら、海底深く沈んでいるゴミなど水面に出てくるわけがないから大丈夫だと思ってたんだろうな。

それが、海底火山活動の結果、こんな島の土として出てきてしまったという事か。


なーんだ。理由が分かってしまえば、過去人類のエゴの結果を見せられただけのこと……

まあ、こういう過去のゴミをリサイクルするための施設を、この島へ建設してしまえば良いだけの話じゃないか。

今の時代、ずいぶんな過去の電子ゴミたちが、ゴミ鉱脈とか言われて重宝されてるんだ。

日本エリアの担当になるか、それとも中華エリアになるか分からないが、地球の資源としてリサイクルされるのなら良いことだ。


と、その時の僕は、そう思った……

ただし、発掘品は、そんなゴミ鉱脈だけじゃなかったんだよ。


ゴミの層から、もう少し掘り進めた頃、そいつが出てきた。

かなり大きなもので、ミニドリルだけで掘り進めるには発掘物の毀損という可能性を考慮するとマズイのだよ。

だから、リーダーの教授以下、僕の操作するミニドリルセットを少し掘り進めると、後は海水を圧縮した水鉄砲で慎重に土を取り除きつつ、そいつを半月以上かけて発掘した……


「何だ、これ?」


「さあ?廃棄物として捨てたものじゃ無さそうなんだが……形として、何かの入れ物?または、相当な大昔の棺?こいつは、埋蔵物みたいだが。ただ、こいつが埋められた時代も経緯も不明だな……ここは、現代になって火山島ができるまで、全くの海底でしか無かったんだから。どうやって、こんな深海に沈めて、更に、海底に埋めようとしたのかね?」


一難去って、またひと騒動。

最初の予定三ヶ月じゃ、とても終わりそうにないと、僕は覚悟したね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ