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99話 冒険者は自由と共にあるんだとか

祝100部!100話は次回更新時となります



 俺謹製湯船を使用した露店風呂は最高だった。最高の眺めだった。


 半ば強引に女子全員で入ったせいで少し狭かったけど俺にとってはむしろご褒美だ。初めての体験だったターナとフィスタニスもお風呂を気に入ったらしく、あれから毎日入浴してる。


 順番にっていう話だったけど、準備や片付けも楽だからとほぼ同時に済ませてしまっている。流石に全員で湯船に浸かることはないけど。それでもターナやフィスタニス、コノミのあられもない姿を見放題だ。逆に見すぎてありがたみが薄れてきた気さえする。


 服着てる時や脱ぎかけが一番エロく感じるもんな。元からそういう性癖だっただけかもしれないけど。


 ジェノは屋外でお風呂に入る度に覗こうとしてオルトロスと闘ってるらしい。外で初めて入った日もジェノガイサになってまでオルトロスを突破したものの、田吾作にあえなく迎撃されていた。いくらなんでも田吾作は相手が悪かったらしい。


 お風呂から上がってお湯を入れ替えて、ジェノを呼びに行ったらぼろ雑巾と化したジェノが転がっててターナが驚いてたもんだ。フィスタニスとコノミは姉妹息のあった追い討ちをかけてた。まぁ田吾作の攻撃を受けて生きてただけでもすごいよ。


 ジェノのことを侮ってたらしいオルトロスも、ジェノの根性と実力を気に入ったらしい。影の中からしきりに色々と話してくれた。相棒のことを褒められると俺も嬉しいから存分に語ってもらってる。


 オルトロスはお風呂を覗こうとするジェノと毎日闘うことが楽しくなってきてるみたいだな。なんか戦いを求めててフィスタニスと出会ったって聞いたから戦いが好きなのかもしれない。


 フリフリのエプロンなんかつけて俺のお世話係なんてしてたからすっかり忘れてたけど、特攻隊長だもんな。実力も道具無しの素のジェノじゃ勝てないくらいには強いらしい。基準がジェノじゃいまいち分からないけど、Bランク冒険者以上ってことかな。


 じゃあフィスタニスはどの辺りなんだろう。モンスターの危険度的には多分A越えるよな。ドラゴンだし。下手するとSランク行くかもしれない。なにこのパーティー怖い。


 そんなこんなで、俺達の旅は続く。町や村を経由してるっていうのに、何のイベントも起こらない。ファンタジーでお馴染みのゴブリンはこの世界だと亜人の一種で友好的らしいし、時折商人の馬車や冒険者と擦れ違うだけで、面白そうな事件に巻き込まれることもない。


 せいぜい野生のモンスターや獣が襲ってこようとして田吾作に狙撃されるくらいだ。素材を剥ぎ取って売ることで旅の資金が少しずつ増えてるけど、面白くもなんともない。


 次に行くところは割と大きな街らしいから、何か厄介なことに巻き込まれるよう祈っておこう。退屈で平穏な生活なんて主人公にもヒロインにも似合わないからな。








 そこにあったのは、長い壁。もちろん、あくまでイメージだ。


 その街は四角く壁に囲われてるおかげで、街道を通って正面まで来ると巨大な壁の前に立っているかのような気分にさせられるわけだ。まぁ壁に違いないんだけど。高さは3メートル程しかないけど、周りは見晴らしがいいしこのくらいの壁があれば十分か。超えられそうな大きな奴は的になりそうだし。


 ここは冒険者の街として名高い(らしい)自由都市リベルタム。この近くに遺跡があってそこを調査する為に集まってきた冒険者達が、いっそ拠点を作ってやろうと出来たのがこの街らしい。遺跡に眠る何かが原因なのか、ダンジョン化した遺跡からはいろんな物が手に入るおかげで人も金も欲望も、とにかく色々渦巻いているみたいだ。


 最初は村みたいなものだったらしいんだけど、年数が経つ内に人が増えてそれに連れていまや国内でも有数の都市化したそうだ。それもたったの10年で。冒険者とんでもないな。


 それにしてもダンジョン化した遺跡か。コウロの街の近くにあった遺跡は普通にスルーしちゃったけどここもスルーなのかなやっぱり。


 目的地が一応は王都なのを考えると仕方ないけど、せっかくだから潜ってみたいよなぁ。ド定番だし。ダンジョン一つだけで一つの作品になってたりもするレベルでダンジョンはファンタジー小説と深い関係にある。


 ここはこの街ですったもんだやあれやこれやに巻き込まれてダンジョンに潜ることになるのが理想だな。ジェノが断らないような事件だと尚良い。女の子関係ならまず間違いなく首突っ込むだろうし、女の子が空から降ってきたり女の子が道端に落ちてたりしないかな。


 有り得ないって? いやいや、こんな如何にもイベント目白押しです!みたいな街に来たらイベントの一つや二つ起きますって。何のための街で何のためのダンジョンなのか。コウロのとこは素通りしたけど。


 俺達一行は壁に取り付けられた門を潜って中へ入る。受付もばっちり何の問題も無く通れた。持つべきものはコネだな。


 相談の結果まず最初に冒険者ギルドへ顔を出すことに決まった。何日かはこの街に滞在してゆっくり休む予定だから、顔を売っとくのと何か良さそうな依頼があれば受けても良いという話になったからだ。


 もちろんこれも俺の華麗な誘導の結果だ。とは言っても、ジェノに提案したらあっさりオッケーが出ただけだけど。ジェノとターナ以外はよほどのことが無ければ俺の意見に反対しないだろうし、ターナもジェノに従う感じっぽいからジェノさえ頷けば何の問題は無い。


 もしかしたらジェノも同じように考えてたのかもしれないな。俺の場合はそれは建前で、冒険者ギルドに顔を出せばイベントに巻き込まれる機会も増えるだろうという思惑があってのことだけど。


 でもまぁ冒険者が作ったというだけあって、この街は冒険者ギルドが治めてるらしいからな。顔見せしとくのは悪いことじゃないと思う。


 正確には冒険者ギルドのギルドマスターというか、街を作った冒険者の中でもリーダー格だった人物が街を治める立場になるついでに、このリベルタムのギルドマスターに就任したそうだ。冒険者がギルドマスターってなんか問題ありそうだけどそれでいいのか? まぁこの世界の冒険者ギルドっていう組織のことも実はよく分かってないし、そうなってるってことは問題ないんだろうきっと。


 さてさて、冒険者の街では何が待ってるかな。楽しみで仕方がないね。





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