きっかけ
私は、目の前に広がっている現実を受け入れることができなかった。親友が今、窓の縁に立って、こちらを見ているという現実を__。
一時間前。私達は、部活中にもかかわらず、話に花を咲かせていた。(ちなみに、私の所属する吹奏楽部のフルートパートは、代々緩いパートであったため、練習を放棄し、話に花が咲くことはよくあった。)
話を初めてから、二十分程度たった頃。以前から気になっていた疑問が私の口から出てきた。
「ねえ、 二年M。人間ってなんも使わずに、飛ぶことできんのかな?」
すると、指名された二年Mは、一瞬考え込む素振りを見せ、眉を潜めながら答えた。
「飛べないんじゃないですか?」
案の定、あっさりと予測していた返答が返ってきた。
しかし、諦めが悪い私は、ものすごい速さで、親友Rの方へ顔を向けた。
急に顔を向けられ、驚いた親友Rは飲んでいたお茶を盛大に吹き出した。そして、その直後に、私の方を鋭い目付きで睨む。だが、彼女の顔は"ほんわか"としているので、全くと言っていいほど迫力はない。
だが、彼女の機嫌を損ねさせると、あとから倍以上になって返ってくるので、その顔を見て、ニヤニヤしながら謝っておいた。(あとから、こっぴどく怒られたが)
…気を取り直して、親友Rにもう一度同じ質問をしてみた。
すると、私の覚悟していた言葉とは全く真逆の言葉を、彼女は平然と言ってのけてしまった。
「え、普通に飛べるやろ」




