表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/40

第3話 入部編③  射撃練習

 「ここは、第1射撃場だ。ここで実弾が入った銃を使い、射撃練習を行う」



深堀部長と凜に案内されてやってきたのは、体育館くらいの広さがある場所だった。

部屋の4方向は灰色のコンクリートで覆われ、窓1つないところである。


説明によると、ここは先ほど説明を受けた部室の地下らしい。



室内を見渡してみれば、射座レーン呼ばれる射撃台が10つ、ズラリと並んでいた。

どうやら、ここで銃を撃つようだ。



 「では、いきなりで悪いが、ここで君の射撃の腕前を見せてもらおうとするかな」

 「えっ!?」


今!?

僕は内心焦る。


ていうか本当にいきなりですね・・・



 「あの、確かに僕は元射撃部でしたけど、実弾は使ったことが … 」



射撃部といっても実弾を使うわけではない。

中学生は未成年なので、ビームライフル銃を使用するのである。


ビームと言っても、レーザーではない。

キセノンランプが発光して、光センサーがそれを感知して、命中判定を行うわけなのである。



 「それは心配ない。使い方はこちらで指導する」

 

 「じぁあー、あたしが教えるー!」



凜はそう言って、元気よく手を上げた。

それがまた可愛らしく感じてしまう。



 「じゃぁ凜、さっそく指導してあげてくれ」







「でー、こうして弾が入った弾倉マガジンを挿入してー、スライドストップというところを押すとー、スライドが前進してー、弾丸が送り込まれるんだよー」



凜は僕の目の前で、本物の拳銃を手に持ち、使用方法を説明し終えると、デスク台の前に立った。


銃を持った女の子って案外いいなぁ と心の中で思った。

凜の表情はいつもの無邪気な表情と違って、真剣そのものだ。

それはそれでまた、一種の魅力を感じるわけだが。



 「こうして構えてー、標的に狙いを定めるのー」



凜は拳銃を構え、狙いを定める。

標的は、20mくらい離れた先にある的。


凜が一気に引き金を引くと、パンッというすさまじい音が響き渡った。

一応 耳栓はしているのだが、それでもすごい音である。


ちなみに凜が撃った弾は、見事に的の中心に命中していた。

この少し天然さんに見える彼女が撃ったとは、到底に思えない。


凜は射撃し終えると、僕の方に向かって、いつもの無邪気な表情を浮かべて笑みを浮かべた。

 


 「凜、すごいね。」


 「そうかなー? 毎日練習してるからねー。ほら、祐磨もやってみてー」



言われたとおり、僕は目の前にある黒い拳銃に手をかける。

手に持った瞬間、ずっしりとした重みが伝わってくる。


それを前方に見える直径40cmの的へと向けて構える。

 


 「えーとー、もっと、こうして体の重心を前の方に向けてー」



凜が体の姿勢を、直接直してくれる。

凜が後ろから抱き着くように密着してきて、背中に柔らかいものが当たった時には、思わず拳銃を落としそうになったが・・・・

 


 「よしー、これで撃ってみてー」



僕は凜に指摘してもらった体勢で、狙いを的の中央へと向ける。

銃口を的の中心よりも少し下へ向け、そして一気に引き金を引いた。


脳を揺さぶるくらいの音が響いたと同時に、衝撃で体が後ろへと倒れそうになったが、凜に指導してもらったおかげか、なんとか倒れずに済んだ。

やっぱ中学の時の射撃部とは随分違うな、と感心していると、

 


 「お~、すごいねー!」


 「さすがは元射撃部だな。実弾の初心者にしては、なかなかのものだ」



後ろで、凜と深堀部長の感心した声が聞こえてくる。


よく見れば、僕が撃った弾は、なんとか的に命中していた。

命中しているといっても、ギリギリの位置だ。



 「そうですか? でも的の端ですけど … 」

 

 「普通、初心者なら的にすら命中しないよ。練習すればもっと上達する」



深堀部長が関心したように拍手をしていると、射撃場にライフル銃を持った女子2名が入ってきた。


2人ともピンク色の髪色をしていて、顔は双子みたいにそっくりだった。

そのうち、ツインテールの髪型をした女子がこちらに気が付いたのか、小走りで近づいてきた。



 「えっ?  何々?  凜ちゃん達、何してるの?」

 

 「えーとねー、新入部員の初射撃を見せてもらってたんだよー」


 「新入部員? でも新1年生の勧誘はまだだったはずだけど … 」



その女子生徒は、僕の方を見て、



 「もしかして … この人?」


 「うん。ほらー、昨日話したー … 」


 「あーーー、確か、凜ちゃんが熱心に話してた男の子のことか。でも今思ったら、恋に疎い凜ちゃんが男の子をナンパするなんてめずらしいね。ウチぶっちゃけ驚いたわ」


 「えっ?」



凜の顔がみるみるうちに赤く染まっていく。



 「いや~、やっぱ天然な凜ちゃんも女の子なんだね~。ちなみに告白とか … 」



彼女が言い終える前に、凜のストレートパンチが彼女のこめかみに直撃する。



 「ぐへっ!」



ツインテールの彼女は目を回しながら、そのまま床へと倒れてしまう。

凜は顔を真っ赤にしながら、



 「紗里ちゃん! 変なこと言わないでよー!」

 「うぉへんなはーい (ごめんなさーい)」



しばらくの間、凜はワナワナ両手を振り回していたが、やがて僕の方に向かって、



 「ほ … 本当にそうじゃないよねー!」



はい? 何がですか?


僕は正直、彼女たちが何のことを話しているのかが、わからなかった。

深堀部長の方を見ると、彼は非常に気まずい表情でこう言った。


 「えーとだな、まぁ … とりあえず次の部屋に案内するとするか … 」







 「あの、部長、さっき入ってきた2人も超常現象調査部の部員ですよね?」


 「ああ、そうだよ。彼女たちは一卵性の双子なんだ。セミロングヘアーの方が妹の神納かのう麻里まりで、ツインテールの方が姉の神納かのう紗里さりだ。2人とも2年1組に所属している」


 「へぇ~、ちなみに部員って何人いるんですか?」


 「キミも含めると全員で、男子3名 女子6名 の合計9名だよ」


 「意外に女子多いですね」


 「まぁな」



そうこうしている内に、僕達の目の前に十字路が現れた。



 「この先まっすぐ進むと、普段我々の活動において、重要な情報を収集する部屋がある。右に曲がると仮眠室、左に曲がるとシャワー室・トイレ・休憩所がある。すまないが、俺はこれから調査に向かわなければならないから、後の詳しいことは、凜に聞いてくれ」


 「わかりました」


 「まかせてー!」


 「うむ。じゃあな」



そう言い残すと、深堀部長は急ぎ足で立ち去って行ってしまった。


とりあえず凜と一緒にまっすぐ進み、扉が見えてきた。


ドアを開けて中に入ってみると、部屋内は本とパソコンだらけだった。

ズラリと並んだ本棚、日本地図が映し出された大画面、監視モニターみたいなものからパソコン・通信機などがたくさん並んでいる。



 「ふむふむ、静岡県浜名湖にて未知の巨大生物発見か … 。実に興味深い話ですな~」



モノが溢れる部屋の中、ただ1人だけでパソコン画面に向かって、独り言を呟いている女子生徒がいた。

ツインテールの髪、メガネをかけており、なんといっても背が低かった。


そんな彼女は入ってきた僕たちに、まだ気が付いていない様子。



 「同署はアザラシなどの可能性もあるとみて、付近を航行する船舶に注意を呼び掛けている … か。これは調査しなければ … ってこの学校の管轄地域じゃないから、無理ですわい!」


 「あ … あのぅー、柳苗ー?」


 「んっ? その声は凜ちゃんかい?」



凜の呼びかけに、ようやくこちらに気が付いたようだ。

その女子生徒は、凜と一緒に近くまで寄ってくると、



 「いや、悪いね。つい夢中になっててのう」



すると、彼女は僕の顔を観察するように見てきた。



 「ああ、確かこの人が凜ちゃんが言ってた子?」


 「そだよー」



彼女はメガネをキランと光らせて、



 「私は3年1組の文崎ふみざき柳苗やなえだわい。この部の情報収集係を務めていますの。ちなみに背のことに触れたら、世界の果てまで追いかけまわす!」



怖っ と心の中で叫んでしまう。

背のことには絶対に触れないでおこう。


ていうか僕らよりも先輩だったんですか。

てっきり、後輩かと思いました。



 「あ、そうそう、丁度いいところに来たね。実は頼みがあるんですわい」


 「頼みー? もしかしてー、また調査?」


 「そうなのよ。とある目撃情報を掴んだのよ。このまえのガセ情報じゃなくて、今回のはマジなガチ情報みたいね」



文崎先輩は1枚の書類を手に取りながら、興奮した様子で語り出した。



 「同市内の大丸4丁目のトンネルで、最近 未確認生物の目撃情報が多数出ているのよ。しかもそのトンネル付近では、失踪者が相次いでいるとか」


 「あの、先輩、4丁目のトンネルって … たしか大丸トンネルのことですか?」



思わず僕が口をはさむと、文崎先輩は親指を立てた。



 「そうよ。そのトンネルのすぐ前には、自殺が多いとかで有名な池があるのよね。最近は立ち入りが禁止されていたハズだけど … 」



文崎先輩はニヤッと笑みを浮かべ、僕らの方を見てきた。



 「ってことで、あんた達、調査お願いね。」


 「ええっ!! 僕もですか!? でも僕はまだ … 」


 「まぁまぁ、いいじゃんよ。あんたにとって初任務だけど、何事も体験してみることが1番!」


 「そだよー。大丈夫ー! あたしがついてるからねー!!」



ていうか、本当に凜で大丈夫なのだろうか?

まぁ、でも射撃の腕前は結構すごかったけど・・・



 「あんたと凜ちゃんだけでは心配だから、もう1人他の部員にも付いてもらうから」


 「うん! まかせてー!」



凜は嬉しそうに僕の手を握りしめながら、にこやかにほほ笑んだ。



 「ガンバローねー!祐磨ー! へへっ^^」


 「う、うん」



心配な気もするが、凜の笑顔を見ていると、そんな不安もすぐに消えてしまい、好奇心が湧いてきました。



こんな感じです



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ