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第2話 入部編②  活動内容

次の日の放課後


場所は、体育館裏にひっそりと建っている小さな建物。

そこに僕はやってきていた。


ここは元々は野球部が使っていたものであるが、グラウンド拡張工事の際に野球部の部室は別の場所へ移転し、今は廃墟と化しているはずだった。

だがよくよく見れば、ドアの入り口付近に『オカルト研究部』というプレートが掲げられている。


文化部なのに、部室が校舎の中じゃなくて、こんな場所にあるなんて不思議だな。


僕はゴクリと唾をのみこみ、ノックをしてみると、中から可愛らしい女の子の声で返事が返ってきた。

ガチャ! という鍵を解除する音が聞こえたので、ドアを開けて中に入ってみると、



 「あー、祐磨君、来てくれたんだー!」



來林凜が嬉しそうな笑顔を浮かべ、手を振りながら現れた。

相変わらず無邪気な性格だなと思う。



 「凜、誰か来たのか?」



直後、彼女の後に続いて、奥から背の高いメガネをかけた男子生徒が現れた。

目鼻立ちが整っており、真面目そうな表情をしている。



 「うん。 ほら、昨日あたしが話したー … 」

 「ああ、お前が言っていた元射撃部の2年生か」



メガネをかけた男子生徒は、「うむっ」と頷くと、僕の方に顔を向けてきた。



 「さぁ、どうぞ中へ」

 「あっ … はい」



言われた通りに中に入り、用意されていたソファーに腰かける。

メガネをかけた男子生徒は、僕と向かい合うように腰かけた。


ちなみに凜は、僕の隣に座ってきたので、なんか緊張する・・・・

まず最初に口を開いたのは、彼だった。



 「やぁ、まず自己紹介からいこうか。俺は3年1組の深堀堅太。この部の部長をやっている。よろしく頼む」


 「はい、よろしくお願いします。ちなみに僕は … 」


 「ああ、君のことは既に知っているよ。すべて凜から聞いた。君は2年3組の柊祐磨君だね? 中学時代は射撃部に所属していたが、現在は事実上の帰宅部状態。家族構成は、父と母、妹の4人家族。現在の住所は … 」


 「えええっ!?」



いやいやいやいや、待ってくださいよ!

名前や学年ならともかく、家族構成や住所なんかクラスメイトにすら公表していないですよ・・・!!



 「何で、そんなことまで知ってるんですか!? 來林さんには、そんなことまで話してないハズですけど … 」



僕が慌てたように叫ぶと、部長と名乗った深堀という男子生徒は、苦笑いを浮かべて、



 「その理由はね、学校で保管してある学生名簿を見たからだよ」



そう言いながら、彼は1枚の紙を目の前の机に置いた。

そこには、僕の顔写真と個人情報がずらりと書かれている。



 「悪いね。この書類は、君がこの超常現象調査部に入部するという前提で、教師から入手したものなんだよ」


 「はい? 超常現象研究部? でも … 表にあったプレートには、オカルト研究部って … 」


 「それはねー、表向きの名前だよー」



凜が満面の笑みで、こちらを見ながら口をはさんだ。


彼女は隣に座っているため、僕と顔が近い。

こうして見ると、クラスの男子が言っていたように、本当に可愛いな。



 「凜の言うとおりだ。俺たちが所属しているこの部の正式名は、超常現象調査部という名前なんだ。部員内では略して、超現部とでも呼んでいるがな。もちろん、このことを知っているのは、この部員と一部の教員のみ。世間一般でいうと、秘密組織みたいなものだと考えてもらった方がいい」



正直、心の中で マジすか!と叫んでしまった。

秘密組織って・・・またまた大変な部活に勧誘されたものである。



 「あの … 質問いいですか?」


 「どうぞ」


 「つまりこの部は、世間では知られていない極秘活動をするんですよね?」


 「まぁ、その通りだ」


 「具体的にはどのような活動を?」

 

 「そうだな … 」



深堀は手元に持っている書類の中から、1冊のファイルを取り出してきて、こちらに差し出してきた。



 「まず、これを見てみたまえ」



差し出された本のタイトルには、『昨年度 超常現象による被害報告書』 と書かれていた。

一応、中を拝見させてもらうことにする。


中には何かの辞書のように細かい字で、びっしりと文字が書かれていた。

時々、生き物らしきモノが写った写真も添えられている。


 『昨年における超常現象による 行方不明者数 約1012人』

 『昨年における超常現象による 航空機・船舶の失踪 約90件』

 『東京上空に出現した未確認飛行物体について』   などなど・・。


 「これは … 」


 「どうだい? 驚いたかい?」


 「でも … これは、本当にあった話なんですか?」


 「そうだ。すべて紛れもない事実だ。この世には科学では説明のつかない現象が確かに存在する。未確認生物・妖怪・心霊現象・奇現象など、君も一度くらいは聞いたことがあるだろう? それらは時として、人間にも牙をむいてくることがある。その被害を食い止め、調査することを目的に、この超常現象調査部が設立されたんだよ」



彼はメガネを押し上げながら続ける。



 「しかも、俺たち部員は、武器の使用が認められている。時には未確認生物を退治することだってあるからな。だから日頃我々は、超常現象についていろいろ調査したり、戦闘訓練をしているのさ。これでこの部がどんな活動をしているのか、お分かりいただけたかな?」



戦闘訓練。

だから、元射撃部である僕を勧誘したのか と納得する。


それにしても、超常現象の調査をしていると言っても、本当なのかな?

よくテレビとかでもやってるのを見たけど、どれもこれも嘘っぽいけどな。



 「は … はい。だいたい」

 「よいだろう。ひとまず説明を終えた時点で、君に尋ねる」



深堀部長のメガネが一瞬光り、鋭い目つきになったかと思うと、



 「それでもこの部に入部する気はあるか?」

 「・・・」



何?この緊張感?

汗がぶわっと全身から吹き出すのがわかる。


僕は隣にいる凜へと目をやってみる。

彼女もまた、真剣な表情で僕の目を見つめてきている。


戦闘訓練か。 ってことは相当危険な活動なんだなと思う。


部室内は重い雰囲気で包まれていた。

ここで断ったら、なんかマズイ感じがする。


でも超常現象の調査って、案外面白そうな気もするけど。

まぁ・・・帰宅部でいるよりはましかな? と思ったので、



 「入部します!」



僕がそう返事をした瞬間、隣にいる凜の表情がパーッと明るくなった。



 「ホントにー? わーい、よかったー!」


 「いや、本当によかった。ここで君が断ったら、アレを使わなければならなかったからな」



深堀部長は、ポケットからボールペンみたいなの機械を取り出して、くるくる回しながらそう言った。



 「あの … それはなんですか?」

 

 「ああ、これは人の記憶を消去する装置だ。映画でも見たことあるだろう?」


 「そ … それを僕に使おうと … 」


 「まぁね。この部の活動は、一般の人間には機密事項に指定されているからな」



人の記憶を消去する装置って、本当なのかー?  すげー! と思っていたところで、凜がニコリと笑顔で手を差し伸べてきた。



 「改めて自己紹介するねー。あたしは2年3組の來林凜だよー。普通に凜って呼んでくれたら嬉しいなー」


 「うん、よろしく、來 … じゃなくて、凜」


 「では、実際に活動施設に案内するよ」



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