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砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第二章:愛の輝き
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ダモロクロスの要塞


レイルとケーナはいよいよ最後の試練に挑む。



 遥か昔、大きな戦争があった。


 この地に住んでいた先住民族アール人は、母国を守るための防衛基地を作り、そこで魔獣の生産や武器の製造を行ない、敵対するガーンフォール帝国に立ち向かおうとした。


 それは、最初は上手く行っていた。

 しかし、魔物を生み出す研究に失敗し、生み出された魔物達は暴走、人々を次々に食い散らかして壊滅に追い込んだ。その後、アール人の本国も滅ぼされ、帝国がこの地を占領する。もっとも、その帝国も、自ら滅びの道を歩んだわけだが。


 アール人の遺産「ダモロクロスの要塞」は、今はその主を無くし、魔物の巣食う深遠なるダンジョンへと姿を変えた。もはや、近づく者はいない。


 試練の為に訪れる者を除いては。




 「ふう、やっと着いた!」



 ケーナは、フードを頭からはずして、青く輝く髪を砂漠の風になびかせる。

 レイルも、被っていた帽子を取って、目の前にある、巨大な建造物に目を丸くする。



 「これが……」



 「そうだよ。これが、古の要塞ダモロクロスさ」



 巨大な円筒形の建物は、かつては天を仰いでいたのかもしれないが、今は無残にも壊されてしまっていた。2階あたりから上がバッサリと無くなっている。



 「昔は塔みたいになってたんだって。上から、弓矢や砲弾を敵に向けて発射したって言う話だよ」


 「でも、負けちゃったんでしょ?」


 「うん、祖国を守ろうとするまでは良かったんだけど、魔物の力を利用しようと思ったのがいけなかったね。今でも、その時に生み出されたとんでもない化け物がこの要塞の地下のどこかに潜んでいるって(うわさ)もあるよ」


 「ひえぇ、それは、会いたくないなぁ」


 「レイル……まさか、ここで引き下がるとか言わないよね?」 

 

 「う、ううん。大丈夫、僕はもうそんなに臆病じゃないよ」


 「よかった! じゃあ、時間も無いしさっさと入ろうよ」



 必要なだけの荷物を持って、2人は開きっぱなしの要塞の入口に突入する。

 砂漠の光が届くのは一階の部分までだった。地下に降りると、瞬く間に周囲は光を失ったので、レイルが冥術で光の球を出し、辺りを照らした。すると、そこに広がっていたのは、だだっ広い。石柱が乱雑に立ち並ぶ空間だった。



 「広そうだね」レイルが小声で言う。


 「うん、ノエリーは罠とかはあんまりないって言ってたから、モンスターの存在に気をつけて行こうよ」



 暫く進むと、実際巨大な蛇型モンスターや、ぬめぬめしたスライムがところどころにうろついていた。しかし、これらのモンスターは低級で攻撃性も知能も低い。レイル達は無駄な力を使わないように、これらを回避しながら進んだ。暫くすると、地下2階への階段がすぐに見つかり、最初の階層を2人は難なく突破する事が出来た。


 

 しかし、これは「ダモロクロスの要塞」の恐ろしさの一端にも届かないものだった。

 2人は、これから、地下5階に到達したあたりから本当の恐怖を目にする事になる。











 



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