表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第二章:愛の輝き
95/119

2人ならできる


 最期の試練はダモロクロスの要塞にある「歩みの種」を手に入れ、更にそれを成長させて持ってくること。期限はわずか一週間。





 「なるほど、そら大変だわ」


 「やっぱり、そうだよね」

 


 学者のノエリーは、うんうんとうなずく。

 デルアラス国内でも有数の知識人である彼女は、今までも度々レイル達の力になってきた。今回も例外ではない。



 「あはは、さすが最期の試練ってところだね!」


 「そ、そんなに、大変なの?」レイルは心配そうに聞く。


 「ワイバーンとか、モンスターがうじゃうじゃいるよ。王家の墓みたいに大きな罠は無いんだけど、広いし深いし、過酷さはずっと上だね。しかも『歩みの種』はその最深部にある木になっている」


 「そっか……」


 「しかも、その実を実質数日で実のなる木にしなきゃならないってんだからね……まったく、先人は無茶な試練を考えるもんだよ」


 「できるかな?」


 「うーん…天とは言え、絶対に出来ないような試練だったら意味無いからね。ちゃーんと何とかする方法はあるはずだよ」


 「そうだよね。何か方法はあるはずだよね!」


 「そうそう、その意気だよ。今までの試練を乗り越えてきた、あんたたちなら出来るはずさ!」


 

 ノエリーの言葉に、レイルは元気づけられた。

 そうだ、僕達は何とかしてきたのだと。



 「それで」ケーナが机に寄りかかりながら言う。

 「ノエリーとしては、これからどうすればいいと思うの?」


 「ええとね……まあ、とりあえずササッと種を採ってきなよ。その間に、私が一肌脱いであげるからさ」


 「わかった、アテにしてるよ!」


 「まかせなさーい。私がデルアラス最高の情報ツウってトコを見せてあげましょう!」


 

 ケーナとノエリーは、拳を合わせて、お互いの健闘を祈る。

 2人とも、レイルの為に頑張る気満々だった。



 「ありがとう……2人とも」


 「いまさら感謝なんて水くさいよ、レイル」ケーナは、何だか恥ずかしそうにする。

 「私達、もうそんな間柄じゃないじゃん?」

 

 「そうだけど……」


 「それに、今まで乗り越えてこれたのはレイルの力もあってこそなんだから! あと一息だし、一緒に頑張ろうよ!」


 「うん!」



 少年と少女の絆を間近で見て、ノエリーは、正直羨ましいと思った。

 そして、そう言う絆を築く機会のほとんどを放棄してきた自分について、ちょっと後悔の念を覚えたた。



 その晩、レイル達は急いで支度を整え、翌日陽の登る前にデルアラスを出た。

 砂漠は、今日も砂埃すなぼこりを巻き上げて、砂漠馬にまたがる彼等を祝福した。







 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ