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砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第一章:砂漠の少女
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真意は蒼空に消ゆ


 森を探しても犯人は見つからなかった。

 しかし、レイルとケーナはお互いの事を知り、更に歩み寄った。


 


 「よかったね! 犯人が捕まって。これで、表も安心して歩けるってものさ」


  今朝の新聞の見出しは、「殺人犯逮捕! 商業区でまさかの潜伏!」と書いてあった。

 レイル達が探索を諦めたその夜に、その犯人は軍の兵士達によって捕獲され城に送られていた。ノエリーの予想通り、使用禁止の<禁経>を取得していたが、スパイでは無く、自称「反国家分子」と名乗っているらしい。犯行は素直に認めたようだ。


 「そうだね。本当に良かった。でも、どうやって犯人を割り出したんだろう?」


 「そこに書いてあるでしょ?」ファリーダは紙面をちょいちょいと指差す。


 「ええと……書いてないよ?」


 「ううん、でも何か証拠が出てたたんじゃないの? それを手がかりに探した結果見つかったんだよ……多分」


 「そうなのかな」


 「まあ、直に分かってくるさ。」


 バタン!

 玄関の扉を開ける音が2人に耳に聞こえた。今日もケーナがやって来たのだ。


 「おはよ! レイル、新聞見た?」


 「見てるよ、ケーナ。見つかって良かったね」


 「うん、ノエリーはもういないっていたけど、いたじゃないの!? まったく、アテになるんだかならないんだかわからないよね? ノエリーの推理って」


 「まあ……だけど、この人が犯人と決まったわけじゃないかもね。本人は認めてるだけだけど、共謀者とかいるかもしれないし」


 「へぇ、レイルなかなか冴えた事言うじゃん。確かにそうだね、この事件このまま終わらすのはちょっと問題ありそうだね。反国家分子とか言ってるしさ」


 ケーナは腰に手を当ててうんうんと納得したような仕草をした。

 レイルもそれにつられて頷いた。


 「まあ、ともかく外に出ても良くなったわけだし。今日もどこかに遊びに行こうか! 外の天気も最高だしね?」


 「うん!」


 褐色の肌を持つファリーダは、いつものように元気そうな2人を見て優しく微笑むと、気をつけていってらっしゃいと見送った。2人はいつものように砂漠馬サンドラブに乗り、商業区目指して走り去る。



 家の玄関で手を振るファリーダに砂漠の乾いた砂が吹き付ける。

 彼女は砂が入らないように目を瞑った。


 ごぅと言う風の音が何かを言っているように聞こえた。

 爽やかでもあり、不穏でもある風の声。

 しかし、ファリーダはそのメッセージを聞きとる事は出来なかった。


 デルアラスの風が伝える言葉はただ砂塵と共に舞い上がり、青空に消えて行った。
















 






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