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砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第一章:砂漠の少女
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 殺人事件の犯人を追う2人。

 ケーナの曖昧な推理で辿り着いた先は……

 



 <ガレフ庭園>


 王宮の北にある、コモ杉をはじめとした様々な樹木が生い茂る砂漠の中で唯一と言える森林地帯だ。



小さな山一個分くらいの面積があるこの森に「庭園」などと言う名がついている理由は、かつての姿にある。2000年程前まではこの森は本当にデルアラスが所有する巨大庭園だったのだ。それが、後に何らかの理由で手入れ放棄されて、木々が生い茂るようになり今に至ったのだ。


 森の入り口で馬を止め、2人は森を眺めた。

 名も知らぬ鳥の声が、辺りにチチチと響き渡る。


 「確かに、隠れるのには最適かも」


 「そうでしょ。今までも、よくここに逃げ込んだ人がいたらしいよ。だから、管理も厳しくなってる。そこに、事務所があるでしょ? 王家の墓みたいにそこで侵入者を監視してるの。まあ、あそこより監視が甘いんだけど、今日は流石に多いね。」


 レイルが振り向いた先には、木製の2階建ての建物があった。

 多くの兵士の姿も見える。


 「あんなに、いるんじゃ、僕達が探さなくても見つかるかも」


 「どうかな? この森は思ったよりも広いからね。じゃあ、ひとまずあの詰め所にいってみようよ」


 2人は、兵士たちの間を抜けて建物の一階に入った。

 そこにもまた多くの兵が屯していた。そして、その中心に1人、強そうな、がたいのいい男が立っていた。


 「マゼル隊長!」


 ケーナは、大きな声でそう言うと、男に向けて手を振った。

 マゼルと呼ばれたその男は、彼女に気付くと兵士たちを避けて2人に近づいてきた。


 「ケーナ。君がどうしてこんなところに? 今、外は危険だとあれほど王宮で言われているのに、わざわざこんなところまで来るとは、どういうことだ?」 


 「隊長、私も今回の事件黙って見ていられなかったのです。何とか、力をお貸し出来ないかと思って来ました」


 マゼルは、困った顔をした。子供が2人でやってきて手伝うと言われても頼めることが浮かばないのだ。


 「ケーナ、君の腕はある程度分かっている。しかしなぁ……森の中も、さっき探し尽くしたぞ?」


 「でも、まだ安心とは言えません! 私達にも探させてください!」


 「うーむ……別に、止めるまではしないが、ほどほどにしておけよ。」


 マゼルは、意外と簡単に森に入る許可を出した。

 それは、この森の道はきちんと整備されているし、森の中には兵士も残っているので安全性は高いと考えたからだ。


 ケーナは、はい! と張り切って声を出すと、すぐにレイルを引っ張って森の中へと向かった。



 


 




 

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