冥司祭エドガルド
レイルは、神殿の主である冥司祭に自己紹介をし、試練を受ける事を言う。
「冥司祭様、久しぶりっ! まだ、ピンピンしてて何よりだよ!」
ケーナは親しげに老人に話しかける。
冥司祭は、冥術師の中でも最上位の存在で、神殿の主を務める事が多かった。レイルは、老人が冥司祭としると慌てて深く頭を下げた。ケーナがこれほどの偉い人に軽々しく話しかけるのが信じられなかった。
「ほう……この子はケーナの友達かね? えらく砂塗れだが……」
「そう! この子はレイルって言う名前で、さっき砂漠の中で友達になったんだよ! 冥術師の試練を受けに来たんだってさ。」
「ふむ。」老人は、レイルに近寄る。
「君は、一人で砂漠を越えて来たのかね?」
「は、はい。冥司祭の方にそれも試練だと言われて、ウォーターボトルだけ貰って……その……」
老人は眉を顰める。
「魔法水筒だけじゃと? 普通の冥術師の修行ではそこまでの事はせんのじゃがな。大体何人か連れで来るものじゃ。して、レイルよ。おぬしの師はどういう名じゃ?」
「ええと、アファルガ冥司祭様です。」
「ほう、聞いた事はある。大国ファブリドの司祭じゃな……全く無理をさせるものじゃ。それで、メダロスはちゃんと持っておるのか?」
メダロスは正方形の銀版で冥術師の免許の様なものである。右上には穴が開いており、各所の神殿で修業を積み試練を乗り越えた時、クレロスと言う銅板を貰いこの穴に輪を通して繋げられるようになっていた。このクレロスが10枚に達するとと一人前の冥術師として認められるのだった。レイルは袋から、このメダロスを取りだして司祭に手渡した。
「ふむ、確かに。クレロスがまだついていない言う事は、試練はここが初めてのようじゃな。」
「はい、まだ他の試練は受けた事がありません。ここが、はじめてです。」
司祭は髭をさすった。
そして、ふぉふぉふぉと笑った。
「ここの試練を真っ先に受けようとは大したものじゃよ。言い遅れたが、ワシの名はエドガルドじゃ。レイルよここの試練に挑もうと言うなら止めはせん。しかし、相当に甘くは無いぞい?」
「はい!」と、レイルはたじろぐ事なく答えた。