表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第一章:砂漠の少女
78/119

引き継がれる血


 ネレストは、愛する者に裏切られて死んだ。

 エドガルドはそう語った。

 



 「それは、ひどいね。愛してた人に一方的に裏切られて、その上に殺されちゃうなんて。あんまりな話だよ。ネレストさん、あんな風に飄々としてたけど色々あったんだ……」


 ケーナは、何だかネレストを疑った事に対して申し訳ない気分になった。知らなかったからやむおえない話だが、それでも何だか悪い気がした。彼女の目は元気なく床を見る。それを察するか否か、エドガルドはゆっくりと話しを続けた。


 「時代も悪かったのよ。身分が違ったとて人間と言うものに変わりは無いのにのお。神とは、実に人を狂わせ悲劇を起こすのがお好きなものよ」


 「そうですね……」


 「しかし、ネレストもただ哀れに死んだだけではない」


 「えっ?」ケーナが顔を上げる。


 「ネレストは、その血を残したのじゃ」


 「それは……」レイルも興味深そうに耳を傾ける。


 「毒を盛られたその時、ネレストは子を身ごもっていた。ネレストは、確かにその時死んでしまったが、お腹の子は無事摘出され無事だったのじゃ」


 「それじゃあ!」


 「ああ、今も彼女の血を引く子孫がどこかで生きているじゃろう。案外、近くにいるかも知れんぞ」


 「へーっ」


 ケーナは、それを聞いて元気を取り戻した。

 ネレストの死が無駄じゃ無かったという事を嬉しく思った。

 

 「ってことは、もしかしてネレストさんはその事を知ってるの?」


 「かもな。 ワシからは言った事は無いが、おそらく知っているのだろう。現世にとどまるのも、もしかするとその子孫を見守る為なのかもしれんな。」


 「そっか、じゃあ悪霊とい言うよりも守護霊みたいな感じだね。今日は心配して損したかも」


 「ふぉふぉ、まあ、心配するに越した事は無いさ。ネレストも悪い奴じゃないがイタズラ好きでのお……レイルのその姿を見れば……ふぉふぉふぉ!」


 「はっ!?」


 レイルは改めて自分の体を眺め見る。

 踊った時のままの、素っ裸に近い服装の自分がそこにいた。

 少年の顔はみるみる赤くなっていった。 




 







 







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ