賑やかな街並み
門の入ってすぐはデルアラスの商業地だった。
賑やかな街並みを2人は通り過ぎて目的地の神殿へ向かう。
馬に乗った2人が門をくぐると、そこには賑やかな街の風景が広がっていた。
爽やかな白煉瓦の建物が太陽に照らされてずらりと立ち並び、道端には様々な露店が軒を連ねている。
そして、人々が、馬が、猫が、和気あいあいとあちらこちらを歩いてものを売り買いしていた。
「どう? なかなか良い街じゃない?」ケーナがレイルに振り返らずに聞く。
「うん、僕の住んでたと事は違うけど。すごい人だね! 何だかお祭りみたいだ。」
「ふーん、レイルの国は寂しいとこなんだね。この街ではこれが普通だよ。色んな国から色々な目的で人がやって来るからね! 許可さえ取れば誰でも路店をせるから、他の国から来た人が結構商売してるんだよ。」
馬は、悠々と人ごみを歩いて行く。辺りには食べ物か何かの良い匂いが混ざり合って漂っていた。
レイルは、何だかお腹がすいてきた。砂漠では殆ど何も口にしていなかったからだ。屋台で店員が燻した肉の塊をスライスしてお客に売っているのを見ると思わず自分も買いたくなったが、ここで馬から降りるのは大変だし、まずは目的地にたどり着いてからにしようと思った。
暫くして商業区を抜けると、人はまばらになった。
目の前に名も知らぬ木の並木が現れる。
ノルマーダ神殿は、その並木を過ぎてすぐ右に曲がったところにあった。
馬はそこで足を止める。
「はい、到着!」
ケーナはそう言うと先に馬を降り、続いてレイルが降りるのを手伝った。
レイルは地に足が揃うとすぐにお辞儀をした。
「ありがとうケーナ。おかげで助かったよ。」
「どういたしまして!」ケーナは腰に手を当てていった。
「じゃあ、せっかくだから祭司様のとこまでついて行ってあげるよ。レイルだけじゃ上手く話せるか心配だからね!」
「うん!」
2人は、丸い特徴的な物体が付いた屋根を持つその建物の扉を開け、中に入る。
中は薄暗く外と比べて格段に涼しかった。