ピラミッド
レイルとケーナは、王家の墓へ向かう。
2日後、レイル達は「王家の墓」へと馬を走らせた。
白蛇のいた神殿よりは近い距離にあり、30分ほどで辿り着く事が出来た。デルアラス王家の墓地とも言える場所なので、利便性を意識して建てられたのかもしれない。
2人は昨日、ノエリーに色々と王家の墓と憑依についてのレクチャーを受けていた。ノエリーの熱弁は、聞く者を引き付けるものを持っており、長かったが充実した時間をレイル達は過ごす事が出来た。
「あっ、見えてきた!」
ケーナが指差す先には、砂色の三角形の建造物が見え始めた。
太陽の光を浴びて神秘的な威光を放つその姿に、レイルの心は躍った。
あれが、王家の墓である「ピラミッド」。
デルアラスの歴代の王達の眠るところ。
近くまでやってくると、人の姿があった。
王家の墓を守る監視員だ。レイル達に気が付くと馬に向って近づいてきた。
「お前達は何者だ? ここに何の用だ?」
ケーナは、かけている革の鞄から、例の許可証を取り出して、男に見せた。
男は、うんうんと頷く。
「よし、では向こうに馬を預けて来い。それから案内してやる」
張られたテントの裏側に砂漠馬を停めると、2人は監視員の男に連れられてピラミッドに向け歩きだした。近づくにつれ、その三角形の建物の大きさが実感に変わってくる。こんなものを昔の人はよく作ったものだとレイルは思った。
どれくらいの時がかかったのか。
どのくらいの月日が流れたのか。
ピラミッドは今日も堂々たる姿で砂漠に座っているのだった。