恐いおじさん
遺産管理局に入室した2人だが……
遺産管理局の内部は、とても静かだった。
人はいるのだが、静かだった。
張り詰めたようなピリピリした雰囲気が辺りに漂う。
それらの発生源は真ん中の机に座る、整った髭の厳つい中年男性だろう。
彼が、この課の受付であった。
ケーナはそうでもないが、レイルは恐る恐る席に座る。
体が震える。先日のレインザードと同じくらい怖い目をしていた。
「何だね? 用があるなら早く言わないか!」
受付の男は短気であった。彼が机をドンと叩くと。レイルの体はビクッと痙攣した。どうしてこんな人が受付をやっているのかわからなかった。
「あ、あの……その……」
「声が小さい! もっと声を出さんか!」
「はぃぃぃ」
委縮するレイルを見かねて、ケーナは口を開く。
「おじさん。私達は、王家の墓に入る許可をいただきに来ました。」
「おじさんではない!」男はまた机を叩く。
「スカークという名前がある! そして、小娘! お前が誰だか知らぬが、王家の墓に簡単に入れさせる事など出来るわけがなかろう!?」
「あの、スカ-クさん」ケーナは、あまりに高圧的な彼の態度にカチンと来た。
「私は、ケーナ。ケーナ=ファアールと言います。お聞きになった事無いでしょうか?」
「フン、そんな名前聞いた事ないわっ!」
「本当に?」
「ああ……うん? まてよ? まさか!」
ケーナは、スカ-クが自分の素性に気付いて、驚きを隠せないのを見るとしてやったりと思った。