表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第一章:砂漠の少女
33/119

そっと財布にしまっておく


 レイルは、<砂漠くじ>を買ってファリーダの家に戻った。



 「へぇ、なけなしのお金で買ったんだ。やるねぇ、レイル。」


 ファリーダは、少年の方を揉んだ。

 そして、入れて来たコーヒーを机に置いた。勿論向こう側に座っているケーナの分もある。

 ケーナはふーっ息を出してからケーナに話しかけた。


 「ホント、あの列に並んだのが一番疲れたよ。もう汗だくだく~まあ、ボル爺のくさーい部屋にいるのも楽じゃなかったけどね。ガドスのおっちゃんもアレだけど、ホントあの爺さんはファリーダに遇わせたくないな~」


 「それ、さっきも言ってたわよ。よっぽどそのボル爺さんってのは困った人なのね。」


 「うん、金と女の事になると急に耳が聞こえるようになる都合のいいお方でしたから。おまけに人の事を色気ないとかぺちゃんこだとか言ってくるし。」


 「聞くからにエロいお爺さんだね! でも、ぺちゃんこなのは当たってるんじゃない?」


 「ファリーダっ!」


 冗談よと言いながら、褐色肌の彼女は褐色のコーヒーをケーナの胸下に置いた。

 ケーナは、不機嫌そうにぐんぐんとコーヒーを飲んでプハーと大きく息を吐いた。


 「それにしても、レイルったら私が払うって言ってるのに断るなんて真面目だなぁ。」


 「だって……」レイルはもじもじする。

 「これ以上人のお金借りるなんて悪いよ。返せる当ても無いんだから。」


 「くじの1枚や2枚どうってことないのに。」


 「ケーナは気にしてないかもしれないけど、それに甘えちゃいけないと思うんだ。出来る限りは僕が自分で何とかしなくちゃいけない。もし、この<砂漠くじ>が当たったら、今まで払ってもらった分全部返すからね。」


 「ふーん」ケーナはレイルの考えに感心した。

 「ただ、分かってると思うけど、それが当たる確率はすっごい低いよ。なにせ何百万枚と出回っているんだからさ。くじはお楽しみと思っておいた方が良いと思うよ。」



 レイルは頷いた。そして、財布の中に挟まれたくじの数字を確かめる。

 3枚買ったこのくじが、意外な結果をもたらす事をこの時は誰も予想していなかった。








 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ