一か八か
レイル達は、臭くて汚いボル爺の家を出た。
「まったく……あの爺さんとんだ食わせモンだわ!」
ケーナはあの臭い家を出てからも、まだプンプン怒っていた。
結局、今回もケーナが払う事を申し出たが、ボル爺の事は不満なようだ。
レイルは、何だか色々と申し訳ない気分になったので、彼女に謝る事にした。
「ケーナ、ごめん……」
「レイルが気にする事無いんだよ。悪いのはあのスケベ爺さんなんだから。」
「でも……」
レイルがあまりにも元気無さそうだったので、ケーナは怒りを納めてにっこり笑った。そして、今日も商業地に行こうと言い出し、2人は馬を走らせた。
今日の商業地は、昨日にも増して賑やかだった。
何やら、道のど真ん中に人の行列が出来ている。2列で並んでいるが先が見えないほどに長かった。
「これは、何の列なのかな?」レイルは興味深そうにケーナに聞いた。
「ああ、これね。」ケーナは腕組みをする。
「これは、1年に一度の<砂漠くじ>を買ってるんだよ。」
「何そのサバククジって? 何か当たるの?」
「勿論! 1ぺサートで1枚買えるんだけど……一等賞は何と70000000ぺサートなんだよ! すごいでしょ?」
「えっ!」レイルの目が輝く。
「それが当たったらケーナにお金返せるね! 買ってみようかな……」
「おー、乗り気だねぇ。じゃあ、列に並んでみようか! 早くしないと売り切れちゃうかも知んないし。」
「うん!」
2人は暑い日差しの中、長い長い列に並んだ。
人の熱も加わって汗がドンドン湧いて出た。