持ってる女
翌日、ケーナは言葉通り……
翌日の朝、ケーナは革製の袋を持ってレイルのもとにやってきた。
レイルが、袋の中を覗かせて貰うと金貨や銀貨がタンマリと入っていた。すごい家の者である事は分かっていても、一日で持ってこられると驚きは隠せなかった。
驚いたのはレイルだけでは無い、要求したガドスもだった。
彼の自宅でそれを見た瞬間に、冗談だろうと言葉が漏れた。
「へへへ、お譲ちゃんただ者じゃねぇな。」
「まあね、ちょっと面倒だったけど。」
「わかったよ、採ってきてやる! 貰うもん貰ったんだ、<砂漠跨ぎのガドス>の名において必ず期待に応えてやるよ!」
ガドスはそう言って、革袋を持ったまま自分の胸を叩いた。
ジャラジャラと貨幣の音が響く。
それから、3日経った。
ケーナとレイルはその間、デルアラスを観光がてら見て回っていた。この日は、国立図書館に来た。3階建てのその建物には、古書から新書まで様々な本が眠っている。2人は一緒にその内部を探索して良い本が無いか探していた。
「すごいな、こんなに大きい図書館は見たこと無いよ。」
「そうなんだ。私は、ここよく来るからこんなものなのかなーって感じだけど、やっぱり大きいんだね。そういえば、ここの地下には伝説の書物があるらしいよ。」
「伝説の書物? もしかして禁経本とか?」
「あるかもね。レイルも禁経使ってみたいの?」
「それは……」
禁経とは、人々の間では究極と言われる冥術の事で、とてつもない効果や威力を持つものを言う。レイルもいくつかは聞いた事があった。しかし、そのリスクについても多く聞かされて来ていた。
禁経は、国を滅ぼす事もあると。