庶民の料理
レイルとファリーダは夕食を取る。
「へぇ、色々あったんだねぇ。」
熱々の焼き鳥を食卓に置いてファリーダはレイルに話しかけた。
腕によりをかけて作ったのか、なかなか豪華な内容の料理だった。
「はい。でも、全部ケーナがやってくれた感じで……何だか申し訳ないです。」
「気にする事は無いよ! あの子は、そういう性格なんだし。レイルも、自分の巡りあわせがよかったって思っていいと思うよ。運も実力のうちって言うでしょ?」
「そうだけど……」
もどかしい仕草を取るレイルに、ファリーダはさっさと食事をいただこうと促した。
人数分以上ありそうな料理を、2人で食べる。どの料理も味は中々の物で、家庭的な温かみの様なものを感じさせた。
「どう? 私のごはんは。おいしい?」
「はい! 上手だね、ファリーダは。」
「そういってくれると嬉しいなー、作った甲斐ががあるってもんだ。ケーナの奴も、わざわざウチに食べにくるくらいだからねぇ。あの子は、自分のトコにもっと美味しいもんがありそうなもんだけど。」
確かに。と、レイルは思った。
あんな大金を一日で工面できるほどのものなら、毎日高級な料理を食べていてもおかしくない。
その割に、商業区のジャンクフードや庶民の料理が好きなのはちょっと不思議だ。
「しっかしケーナも……」
野菜を食べながらファリーダは何かを言おうとしたが、何故か言葉を詰まらせた。
レイルが不思議そうに覗き込むと、彼女は別に大したことじゃないとごまかした。