小汚い部屋で
ガドスの家の中はとっても酒臭くて散らかっていた。
レイルは、<竜巻地帯>の事を聞くが……
ガドスの家の中は散らかっていた。
あちらこちらに新聞紙や怪しげな本がが点在しており、酒の入っているのかいないのか分からない瓶が
卓上に並んでいた。食べかけの皿も現れずにそのままになっている。ノエリーが気まずそうに言ったのも無理は無いくらいに、がさつな雰囲気が部屋全体を漂っていた。
ガドスは、ケーナとレイルに部屋の奥にあった謎の食べ物を渡してきた。
干からびた何かの肉らしきものだったが、何だかこの環境で渡されると不安を感じさせる。
「うめぇぞ、食え。」
「は、はい……」
レイルは、恐る恐る肉をひとちぎりすると震える手で口に運ぶ。
死にやしないかと不安になったが、断る事も出来なかった。
がじっ
肉を、歯で挟む。
舌の奥に染みわたるものは、想像を絶するものだった。レイルは思わず顔の筋肉がゆるむ。
ケーナも思わず、おいしい! と口に出した。
「どうだ、美味いだろう? ぺサート牛のジャーキーは絶品だぜ。」
ケーナもレイルも大きくうなずく。
「酒のつまみには最高なんだよな。肉汁と胡椒の絶妙なコンビネーションがたまらねえのよ。デルアラスでもそう出回っていない貴重なモンさ。」
「ありがとうございます。そんなものをわざわざ僕達にくれるなんて。」
男は、ガハハと笑った。
「おお、礼は良いぞ少年! 俺も金に関しては困ってないからな。お前らみたいに<竜巻地帯>に用があるやつも多いから、結構良い金になるんだ。」
「えっ?」
「なーに、金さえ払ってくれりゃあ俺がそのオアシスだって行ってくるさ。あそこもよく、冥術師の輩が頼みに来たし採ってくるものも分かる。例の草だろ? 人と似たエネルギーを持ってるって言う……」
「はい! それで……いくら払えば採ってきて貰えるんでしょうか?」
男はタバコを一本口にくわえてライターで火を付けた。
そしてふーっと白煙をレイル達に吹きかけたので、少年少女は咳き込んだ。
「まあ、相場で150000ってとこだな。」