白蛇の弱点
ケーナはノエリーに白蛇の対処法を聞くが……
「……そんな感じで、あの白蛇はずっとあの神殿に巣食ってるわけ。冥術師の試練の内容に入ってるのは、オルドレア冥司祭が関わってるからだろうね。あの白蛇が<蛇真珠>を生み出すようになったのはオルドレアを飲み込んでからの事だから。あの美しい珠にはその冥司祭様の冥の力が込められているって話だし、持っていると何らかのご利益があるのかもねぇ。」
「ふーん、私も少しは聞いた事があるけど。改めて聞くととんでもない白蛇なんだね。」
「そうだよ、あれは神話の生き物レベルだもん。大黒龍ヴァシバンや巨人ガンビオスに匹敵するよ。ちなみに、あの白蛇の名は正確にはレインザードと言います。」
自分の知識を語る時のノエリーはとても嬉しそうだった。調べる事も楽しいが、他人に話す事もまた彼女にとっては楽しみの一つなのだ。他人と接する機会はそう多くないので、こうやって2人もお客が来たのは久しぶりでノエリーにとっては吉日だった。だから、ケーナの質問にも快く答える。
「それで、そのレインザードが襲ってこない方法ってあるの? 普通に近づくと襲ってくるんでしょ?」
「らしいね。ただ、今まで冥術師達はその試練を乗り越えてきてるわけだから、あるんだよね方法が。」
「ノエリーは知らないの?」
「実は、知ってまーす!」
「何だ、知ってるんだったら教えてよ。」
「簡単だよ、人間が一人食べられた後はレインザードは暫く襲ってこない。ああみえて小食らしくてねー数分間おとなしくなるよ。」
「えっ……ちょ、ちょっと! ノエリー、冗談はやめてくれない?」
「冗談でもないよ。試練を受ける冥術師達は、盗賊なんかをそそのかして神殿に連れて行きレインザードの生贄にして珠を取ってくるって言ってたもん。」
レイルの顔がサーっと青ざめたのがケーナには見えた。