握手
難関を思わせる試練にケーナはエドガルドに詰め寄る。
エドガルドはレイルに間接的にヒントを与える。
ケーナはエドガルドに詰め寄る。
「ちょっと! あの白蛇のところにレイルを一人で行かせるんですか?」
「左様じゃ。」老司祭エドガルドはゆっくりと頷く。「皆、この試練は必ず行っておる。レイルにやってもらうのは当然の事じゃ。」
「しかし、あの白蛇は人を食べるって聞いた事があるんですけど。かつて何人かはごくりと丸飲みにされたらしいじゃないですか?」
レイルはギョッとした。
どうやら想像どうりに危険な内容のようだ。しかし、断る事はできなかった。
だから、心配するケーナの手に触れて止めに入る。
「ケーナ、いいんだ。これは試練なんだから。」
「だけど……」
「大丈夫だよ、何とかやってみるから。」
「うん、わかったよ。レイルがそうするなら止めはしない……でも。」
ケーナは再び、エドガルドの方に振りかえる。
「司祭様! 私も、レイルに同行していいですか? 今の話だと、一人で行かなければならないとはいっていませんでしたから。」
老司祭エドガルドは、気付いたかと言うように髭をさするとにんまりと笑った。
「ムフ、それは構わん。この試練には、人の手を借りてはいけないと言う条件は無いからのぉ。どれだけの人間の力を借りられるかと言う社交性を試す意味もこの試練にはあるんじゃからな。」
「そうなんだ。」ケーナはレイルの方を嬉しそうに振り向く。
「よかったね! 私がいれば、この試練は難なくこなせるはずだよ。剣の腕だってばっちりだから。」
「すごい自信だね。」
「ホントだもん。もしもの時は任せなさい!」
レイルはケーナを頼もしく思った。
エドガルドの前で、若き2人は改めて握手をする。
ケーナの手は柔らかくて暖かだった。