友の記憶
久々にベッドで眠れると、レイルは喜ぶ。
レイルが案内された部屋は、よく片付いたこぎれいな部屋で。南側に大きな窓があった。
とても居心地のよさそうな部屋だった。
ファリーダが、また明日と階段を下りていくと、レイルは真っ先にベッドに身をうずめた。こんなふかふかのベッドで寝るのは久しぶりだったので心躍った。
この家に居候できるなんて本当にラッキーだ。
食べ物も作ってくれるみたいだし、小ぶりだがお風呂もあって、さっき砂漠でたまった砂埃と汗を一気に流す事が出来た。ケーナには本当に感謝しなくては。
レイルはあおむけになると、ふぅっと息をする。
長旅で本当に疲れていたため、あっという間に眠気がやってくる。今日はもう寝てしまおうと彼は思った。明日から試練は始まりを迎えるからだ。
ゆっくりと目を閉じ、故郷の事を思い出す。
良い思い出はそうはない、故郷の風景を。
友人の顔が、ふと脳裏によぎった。カインと言う金髪の少年だった。
良く笑う元気な子で、色々とおせっかいだったが人柄のよい人間だった。
レイルは一緒に色んなイタズラをしでかしたものだった。もっとも、ただレイルはほとんどカインに引っ張られていただけだったし、イタズラされる側になることも多かったのだが、今となっては、良い思い出だった。
しかし、そのカインとはもう何年も会っていなかった。レイルのように厳しい旅に出て、そのまま行方知らずになっていた。
カインは今どうしているのだろう?
生きているのだろうか?
そう考えているうちに、レイルは夢の世界に誘われた。