ファリーダの腕まくり
レイルは、ファリーダにも茶化される。
「あの子、珍しく粘ろうとしたね。いつもならサクッと帰るんだけど。」
ファリーダは椅子にどぉんと座った。
胸の部分が波打つ。ナイスバストなのが克明であったが、くそ真面目なレイルはそれには興味を示さなかった。
「よっぽど、あんたが気に入ったのかもね。男に興味なっしんぐのケーナに気に入られるなんて中々大したもんじゃないか、レイル。」
「は、はぁ……」
レイルは、顔が真っ赤になった。
褒められると、すぐに照れるタイプだった。
そんな彼を、ファリーダは頬杖を付いて見る。そして、あまりの純朴さに笑みがこぼれた。
「ハハッ! もっと自分に自信持ちなって。途中までは一人で砂漠越えて来たんだろ? 並の人間が出来る事じゃないんだからさ。それに、結構美少年じゃないの……下手すりゃ女の子にすら見えるくらいだよ。」
「は、はぁ……」
「こりゃ、楽しくなりそうだな~作る料理は倍になるけど、逆に練習にもなりそうだし。レイル、明日からご飯は任せといてよ腕をふるって最高のご飯を作ってあげるからさ。」
そういって、腕まくりをするファリーダにレイルは安心感を得た。
ケーナ同様、信用できそうな人だと思った。
ただ、まだ彼女とケーナの2人の事を深く聞く事はやめておいた。
おいおい、ゆっくりと聞いて行くことにした。