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砂塵りのケーナ  作者: 束間由一
第二章:愛の輝き
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不死身の肉体

 要塞の中で最凶の魔物、「ガロウド」がレイル達の前に現れる。

 その不気味な肉体から繰り出される攻撃、俊敏な動きは、少年達は圧倒し追い詰める……



 「これが……」



 一瞬、レイルはその樹木に気をやったが、すぐにまた後方に体を返す。

 そこには、邪悪なる魔物ガロウドがカシャカシャと不気味な音を立てながら近づいて来た。



 「こうなれば、やるしかない!」ケーナが、剣を構え光らせる。


 「うん! 総力戦だ!」


 

 まだ、速度上昇と詠唱時間短縮の冥術の効果は残っている。レイルは、自らの知る最強の冥術を使った。



 「抗う物に厳粛なる神の裁きを! 雷魔神皇砲<バルス・エルカノン>!」



 バリバリバリと空気が裂けるような音と共に、雷の束が巨大な柱となってガロウドを襲う!

 素早いこの魔物であっても、裂ける事は出来ず、閃光が辺りを包みこんだ。レイルは眩しさを避けるため目を覆う。



 「よし、命中した……」光がおさまると、レイルは手を下す。

 



 3人の目の前には、半身が溶けたガロウドの姿だった。

 効果はあったとレイル達は思ったが、その喜びもすぐに絶望に変わった。何と、ガロウドのドス黒い体が泡立つと、あっという間に削られた部分を修復し、更にその骸骨の首を増やしてしまった。



 「そ……そんな」レイルの顔が目に見えて青ざめる。


 「やはり、そうなのかしら」


 「ファムナさん」


 「こいつは、不死身なのかもしれない」


 「ええっ!?」


 「冥術が効きにくいだけじゃない。驚異的な再生能力を持っているみたい。これは、一瞬で完全に消し去るくらいでもないと無理そうね」


 「そんな……今の冥術であれだけのダメージしか無かったのに!」


 「言ったでしょう? 他の魔物とは違うのよ。人間、はとんでもない物をこの世に生み出してしまったものだわ」


 「どうしよう……」



 レイル達の頭は混乱していてまるで働かなくなってしまった。どうしたらいいか分からないという気持ちだけがぐるぐると脳内を循環する。そんな、彼の方に、ガロウドの骸骨の首が目を光らせた。



 「レイル、ケーナ!」ファムナが叫び、2人の前に立つ。


 「えっ!?」

  


 ガロウドから放たれたのは真空の刃だった。

 それが、ブロトロンのふてぶてしい肉体を切り裂く。レイルも使った事がある<エアクロウ>だ。それを詠唱無しで最凶の魔物は放ったのだった。



 「ううっ!」


 「ファムナさん!?」


 「私は大丈夫よ、レイル。それより、気をつけて……あいつは、今みたいに冥術も使うわ」


 「あんな簡単に風の冥術を……しかも、僕のより強力だ!」



 レイルがそう言っている時に、第二波が来た。

 今度は、火炎の冥術<バイダレイヴ>だった。3人の周りを炎と熱風が包み込む。



 「きゃぁぁ!!」


 「ケーナ!? ……周囲よ水滴となり降り注げ! <レイム>!」


 レイルは、降雨の冥術を使い周囲の空気を水に変えて降らせる。

 炎を消火するには、十分な効果があった。しかし、今のガロウドの攻撃で、2人の衣服の一部は焼け焦げてしまった。


 

 「強すぎる……このままじゃ……」


 「レイル、私が何とかするよ! 私の持ってるこの剣は、魔物には絶大な効果があるらしいから、もしかしたらコイツにも……」


 「無茶だよ!」


 「だけど、このまま何もせずにいたら、みんな死んじゃうよ!」



 レイル達が言いあってるところに、ファムナが割って入った。

 流石はブロトロン。再生能力が高く、傷はもう塞がっていた。



 「2人とも……落ち着いて」


 「でも!」


 「ケーナ、あなたが1人で出てもガロウドには敵わないわ。それよりも、まず試してみるべきものがある」


 「えっ? 何か思いついたんですか?」


 「ええ。これがダメなら諦めなきゃならないけど、1つだけアイツに対抗できるかもしれない手段が1つだけあったわ」


 「それは……」


 「後ろを御覧なさい」



 2人は、後方に在る大きな樹木を見た。

 その木の下には、<歩みの種>が沢山転がっていた。




 






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